darklyさん
レビュアー:
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気分転換には最高です。酷い目にあった著者には気の毒ですが。
以前、NHKBSで関口知宏が中国鉄道旅行する番組がありました。途中下車して駅の周辺を散策したりするのですが、好きだったのは大都市や観光地ではなく、観光客どころか住民もまばらな田舎町、農業地帯、荒涼とした風景が広がる町などが放送される回でした。観るべきものもほとんどない町を関口さんがただ歩いたり住民と話したりする場面の何が私を惹きつけるのかは未だに分かりません。
シルクロードの岩と砂漠、アメリカでも東海岸でも西海岸でもなく荒野に果てしなく長い一本道が通っているロードサイドにあるうらぶれたモーテルやダイナー、その中にいるやる気のない店主、アンニュイな雰囲気のウエイトレス、ここからも人生としてもどこにも行けない地元の客たち。なぜかそんなイメージが好きなのです。
そのような私にはなんと魅力的な題名とジャケット。著者の嵐さんも私と同じようにイメージ先行型で色々想像しながら、私と違って辺鄙な場所に実際に旅行に行きます。本書では10の場所を訪れていますが共通するのは目的地に辿り着くまでの不便さが半端ないことです。そのうちいくつか印象に残った場所を紹介します。
【スペインのハポン村】
約400年前、支倉常長を大使とする外交使節団がスペインに到着した。そのうち日本に帰国せず現地に留まった8名はハポン(日本)という姓を名乗る子孫を残した。現在800名いるそうだ。ロマンティックな話に期待を膨らませて行くと、しょぼい銅像と宮城県から寄贈された鳥居があるだけ。町で誰に聞いてもハポン性の人はいない。それにしてもその場所がある町の名前がコリアとは。
「誰も行かない場所」なので面白くないリスクが高いのは当たり前ですよね。私的には本当に何もなかったということがとても面白かったです。
【モロッコの青い街シャウエン】
家や壁が青く塗られている幻想的な街。ジプシーやらがすぐ群がってくる他の街と違い、人々もゆったりとしているし、ホテルもなかなか綺麗。食事をしにレストランに行くとイスラム圏だけにビールがない。しかも食事が不味い。街にも沢山いたがレストランの中にも猫が何匹も。客の隣の席に猫が座り食べ物にちょっかいを出している。著者も3匹の猫に囲まれてしまった。
私なら猫レストランはありですね。料理が不味いのはいただけませんが。
【風葬を行うトルニャン村】
インドネシア・バリ島の小学生が聞くと喜びそうなキンタマーニ高原から車とボートで乗り継いだ先に現在も風葬を行っているトルニャン村がある。トルニャン村に降りた途端半径1メートル以内には常に犬がいる。恐るべき犬口密度。名前はトルニャンなのに。風葬は竹で作ったテントのようなものの中に死体を設置し虫が分解する。
村に向かう途中でヤクザに絡まれるわ、村に入るとたかられるわ、野良犬ばっかりではちょっと行きたくないですね。それでもまだましになったほうでもっと昔は住民とのトラブルが多くて現地でもお薦めできない地域だったようです。
【バオバブが立ち並ぶマダガスカル】
バオバブの木を見に行くために著者はマダガスカルへ。しかし衛生状態が極端に悪く旅慣れた著者でもずっと腹の調子が悪い。現地の屋台の不衛生さに比べるとタイやベトナムの屋台は高級ホテルだそうだ。街では10人ほどの少年窃盗団に絡まれ身ぐるみはがされそうになるが誰も助けてくれない。ガイドも酷かったがバオバブの並木道とサンセットの光景はとても素晴らしかったそうだ。
子供の頃よく世界地図を見てマダガスカルやアフリカの海岸ってどんな感じなんだろうといつも想像していました。しかしいくらバオバブの木が良くてもこんなところへは行きたくない!
結局のところ、「誰も行かない場所」はそれぞれその理由があるわけでとても私のようなへなちょこが行けるようなところではありません。でもこの本を読むとすぐにのめり込んでちょっと旅行した気分になります。昼休みの気分転換には最高でした。宇多田ヒカルの「2時間だけのバカンス」って感じです。
シルクロードの岩と砂漠、アメリカでも東海岸でも西海岸でもなく荒野に果てしなく長い一本道が通っているロードサイドにあるうらぶれたモーテルやダイナー、その中にいるやる気のない店主、アンニュイな雰囲気のウエイトレス、ここからも人生としてもどこにも行けない地元の客たち。なぜかそんなイメージが好きなのです。
そのような私にはなんと魅力的な題名とジャケット。著者の嵐さんも私と同じようにイメージ先行型で色々想像しながら、私と違って辺鄙な場所に実際に旅行に行きます。本書では10の場所を訪れていますが共通するのは目的地に辿り着くまでの不便さが半端ないことです。そのうちいくつか印象に残った場所を紹介します。
【スペインのハポン村】
約400年前、支倉常長を大使とする外交使節団がスペインに到着した。そのうち日本に帰国せず現地に留まった8名はハポン(日本)という姓を名乗る子孫を残した。現在800名いるそうだ。ロマンティックな話に期待を膨らませて行くと、しょぼい銅像と宮城県から寄贈された鳥居があるだけ。町で誰に聞いてもハポン性の人はいない。それにしてもその場所がある町の名前がコリアとは。
「誰も行かない場所」なので面白くないリスクが高いのは当たり前ですよね。私的には本当に何もなかったということがとても面白かったです。
【モロッコの青い街シャウエン】
家や壁が青く塗られている幻想的な街。ジプシーやらがすぐ群がってくる他の街と違い、人々もゆったりとしているし、ホテルもなかなか綺麗。食事をしにレストランに行くとイスラム圏だけにビールがない。しかも食事が不味い。街にも沢山いたがレストランの中にも猫が何匹も。客の隣の席に猫が座り食べ物にちょっかいを出している。著者も3匹の猫に囲まれてしまった。
私なら猫レストランはありですね。料理が不味いのはいただけませんが。
【風葬を行うトルニャン村】
インドネシア・バリ島の小学生が聞くと喜びそうなキンタマーニ高原から車とボートで乗り継いだ先に現在も風葬を行っているトルニャン村がある。トルニャン村に降りた途端半径1メートル以内には常に犬がいる。恐るべき犬口密度。名前はトルニャンなのに。風葬は竹で作ったテントのようなものの中に死体を設置し虫が分解する。
村に向かう途中でヤクザに絡まれるわ、村に入るとたかられるわ、野良犬ばっかりではちょっと行きたくないですね。それでもまだましになったほうでもっと昔は住民とのトラブルが多くて現地でもお薦めできない地域だったようです。
【バオバブが立ち並ぶマダガスカル】
バオバブの木を見に行くために著者はマダガスカルへ。しかし衛生状態が極端に悪く旅慣れた著者でもずっと腹の調子が悪い。現地の屋台の不衛生さに比べるとタイやベトナムの屋台は高級ホテルだそうだ。街では10人ほどの少年窃盗団に絡まれ身ぐるみはがされそうになるが誰も助けてくれない。ガイドも酷かったがバオバブの並木道とサンセットの光景はとても素晴らしかったそうだ。
子供の頃よく世界地図を見てマダガスカルやアフリカの海岸ってどんな感じなんだろうといつも想像していました。しかしいくらバオバブの木が良くてもこんなところへは行きたくない!
結局のところ、「誰も行かない場所」はそれぞれその理由があるわけでとても私のようなへなちょこが行けるようなところではありません。でもこの本を読むとすぐにのめり込んでちょっと旅行した気分になります。昼休みの気分転換には最高でした。宇多田ヒカルの「2時間だけのバカンス」って感じです。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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- 出版社:彩図社
- ページ数:192
- ISBN:9784801301177
- 発売日:2015年12月18日
- 価格:669円
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