本書は編著者として3名をあげているが、著者は編著者を入れて10人。1人を除いて巻末の執筆者紹介のところに教育社会学が専門だと明記している。私は教育社会学についてよく知らないので、残りの一人の専門が教育社会学に属しているかは良く分からない。本書は京都、滋賀の高校生を中心に約6万7千人の調査結果を纏めたものだ。全体を読んでみていくつか疑問がわいた。
まず、本書を読んだ感想だが、分析に終始しており、ネットいじめやスクールカーストをなくすための提言が見当たらない。やっとあったと思ったら新聞記事だった。私は次のように考える。まず肉体的なものには、学校に監視カメラを設置し、抑止力とする。もちろん死角を見つけられてはまずいので、どこに監視カメラがあるかは秘密にしておく必要がある。次にいじめなどというあいまいな言葉を使わず、はっきり犯罪と呼ぶことだ。いじめの中には犯罪行為が多く含まれている。犯罪の取り締まりは警察の仕事。学校は犯罪未満の道徳的なことを教育すべきだろう。本来刑事犯は警察が自主的に操作する権限がある。ただ警察が全部を知ることは不可能だということで、被害届はきっかけに過ぎず、調査するのに必要ではない。そして犯罪者にはきっちり罰を受けさせるのだ。
スクールカーストというのは誰が言いだしたんだろう。言葉があってこそ、初めてそれに当てはめることができる。それにたかが高校生の子供のころにできたカーストが社会人になっても続くのだろうか。高校の頃のスクールカーストと社会人になってからの年収を調べてみるのも面白いと思う。子供の頃のスクールカーストはよく言われるように走るのが早いとか、ボールを早く投げられるようなことで決まってしまう。逆に頭の方は、ガリ勉だとか碌な評価を受けない。要するにスクールカーストには頭より体という傾向があるのではないか。陽キャとか陰キャというのも嫌いな言葉だ。私に言わせれば単にへらへらした者と内省的な人という風に分けた方がいいとと思うのだが。
第2章3ではでは、京都と滋賀を比較しているが、二つの府県は地理的に近すぎる。もしかするとこれしかデータがないのかもしれないが、できれば西日本のどこかと東日本のどこかを比べて欲しかった。表1-3は性別のネットいじめの推移を示したもので2015年には女子5.9%、男子5.6%で、女子の方が高いが2020年は男子8.5%が女子8.2&と男子が上回っていると書いてある。最初はこの数字がどこからきているのかと表1-3を見てもすぐには分からなかった。しばらく表を見ていて、これは100-(経験なし)の数字だと気が付いた。これは分かりにくいのでしっかりどこかに記載すべきだと思う。それに男女差は非常にわずかである。きちんと統計処理をしたのだろうか。もし統計的に検証していないのならたまたまということも考えられる。このあたりの記載はまったくない。隔年ごとも推移でもついていればなるほどと思うかもしれないが。
以上結構厳しいことを言ったが、参考にして欲しいと思う。
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