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非常に理知的な小説。辣腕女性弁護士の担当事件が並ぶ、その配列の妙たるや。弁護士、容疑者、そして真実の三つ巴で描かれる「暗黒の瞬間」に圧倒されます。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
暗黒の瞬間
主人公は、ベルリンの刑事弁護士エーファ。
プロローグが描くのは「弁護士資格を返上する旨の手紙」を手に、「重大な過ちを正し」「これまでの歳月で積み重なった多くの暗黒の瞬間を過去のものにする」彼女の姿です。

プロローグ
第1の事件 正当防衛(2021年10月)
第2の事件 生かしておく(2010年8月)
第3の事件 少年兵
第4の事件 塩(2022年6月)
第5の事件 人食い(2022年6月)
第6の事件 遺稿
第7の事件 強姦(2023年8月)
第8の事件 自白(2024年2月)
第9の事件 シュテファン・ハインリヒ(2004年6月)
すべてよし(2024年9月)

第3、第6の事件に時期の明記がないのは、世代を越えた期間にわたる背景を持つから。

エーファが心に傷を抱えていることは、最初から明かされています。
第1の事件では、夫のペーターが
「確かにあれはひどい出来事だった。でももうすぐ二十年になるだぞ。」
と述べ、
第2の事件では、
かつてシュテファン・ハインリヒの身に起こったことが、自分で認めるよりもずっと多くの傷跡を私の心に残したのだ。
と明記されているのです。

その事件が明かされるのは最後の最後、第9の事件。
確かに、この事件を読むのは非常につらかったです。
そして、第1から第8までは、エーファの弁護士として凄腕ぶりが描かれていくように見えるのに、最後の最後に「えっ?」というどんでん返しが待ち構えている、という構図です。

実にスリリングで、かつ、単なるエンタテインメントに終わらず、人生の意味について考えさせる、深みのある小説です。
近年、読んだなかでも特に印象に残る作品と言ってよいでしょう。
おすすめです。
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  • 掲載日:2026/04/17
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