星落秋風五丈原さん
レビュアー:
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ペレス警部のボーイミーツガール シェトランドシリーズ第一弾
シリーズものを後から読んでしまうと、「ああ、この人とこの人はこうなって、この人物の先も知っている。」という思いをどうしても拭うことはできない。しかし、まあ最初を知っておくのもいいか、と最後は納得。
シェトランド島の新年。孤独な老人マグナス(新シリーズ第三作『地の告発』は彼の葬列から始まる)は対照的な女子高生サリーとキャサリンの訪問を受ける。とかくの噂のある彼を訪ねることは、彼女たちにとって一種の肝試しのようなものだった。ところが四日後、キャサリンが死体で発見される。本土からやってきたテイラー警部と、シェトランド出身のペレス警部が捜査に当たるが。
ペレス警部初登場&運命の相手フランとの出会い回。ペレス警部は地元出身ということで今回の事件に呼ばれるが、実は彼は僻地と言われるフェア島出身で、本島の連中とは若干距離がある。一方フランもロンドンからの転居組で、元結婚相手が“島の皇太子”の異名を持つ男性だったため、やはり居辛さを感じていた。今から思えば島との中途半端な距離感と疎外感が、二人を結び付けたのかもしれない。初対面から何となく好意を抱いていた風は匂わされており、フランの娘キャシーの誘拐事件が二人を結び付ける。
物語は全て三人称視点。心理描写はあるものの、喋りすぎると犯人がわかってしまうので、作者は語らせすぎない。また、怪しい人はそれなりに怪しげに誘導しているのだ。うまいなぁ。外からやってきて島というクローズドサークルを客観的に見られる人、逃れられない人、庇い合う人達がそれぞれの立場から登場人物を見ているので彼等を多面的に捉えられる。そんな中でも地元出身の若き巡査サンディが「絶対この人が犯人!」と発言を繰り返すのに対して、疑念は抱きながらもそれだけで決断しないよういさめるペレス警部が最初から大人の対応だった。
CWA最優秀長篇賞受賞作。
新シリーズ
『空の幻像』
『水の葬送』
『地の告発』
『炎の爪痕』
旧シリーズ
『白夜に惑う夏』
『青雷の光る秋 Blue Lighting』
マシュー・ヴェンシリーズ
『哀惜』
『沈黙』
シェトランド島の新年。孤独な老人マグナス(新シリーズ第三作『地の告発』は彼の葬列から始まる)は対照的な女子高生サリーとキャサリンの訪問を受ける。とかくの噂のある彼を訪ねることは、彼女たちにとって一種の肝試しのようなものだった。ところが四日後、キャサリンが死体で発見される。本土からやってきたテイラー警部と、シェトランド出身のペレス警部が捜査に当たるが。
ペレス警部初登場&運命の相手フランとの出会い回。ペレス警部は地元出身ということで今回の事件に呼ばれるが、実は彼は僻地と言われるフェア島出身で、本島の連中とは若干距離がある。一方フランもロンドンからの転居組で、元結婚相手が“島の皇太子”の異名を持つ男性だったため、やはり居辛さを感じていた。今から思えば島との中途半端な距離感と疎外感が、二人を結び付けたのかもしれない。初対面から何となく好意を抱いていた風は匂わされており、フランの娘キャシーの誘拐事件が二人を結び付ける。
物語は全て三人称視点。心理描写はあるものの、喋りすぎると犯人がわかってしまうので、作者は語らせすぎない。また、怪しい人はそれなりに怪しげに誘導しているのだ。うまいなぁ。外からやってきて島というクローズドサークルを客観的に見られる人、逃れられない人、庇い合う人達がそれぞれの立場から登場人物を見ているので彼等を多面的に捉えられる。そんな中でも地元出身の若き巡査サンディが「絶対この人が犯人!」と発言を繰り返すのに対して、疑念は抱きながらもそれだけで決断しないよういさめるペレス警部が最初から大人の対応だった。
CWA最優秀長篇賞受賞作。
新シリーズ
『空の幻像』
『水の葬送』
『地の告発』
『炎の爪痕』
旧シリーズ
『白夜に惑う夏』
『青雷の光る秋 Blue Lighting』
マシュー・ヴェンシリーズ
『哀惜』
『沈黙』
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2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:446
- ISBN:9784488245054
- 発売日:2007年07月01日
- 価格:1155円
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