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『ソ連共産党とは何だったのか』など、「社会主義」と「共産主義」とが違うということが分らないフリをする日共関係者の共産党礼賛書を読むと「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」という言葉を思い出します?

聽濤弘さんの『ソ連共産党とは何だったのか』(かもがわ出版)を読みました。

社会主義はなぜ人々からの信頼を失ったのか。
本書は、ソ連共産党の大国主義と権威主義が社会主義そのものを空洞化していく過程を、日本共産党との対比を通じて、内部から冷静に描き出す。最期まで「未来の社会主義」を諦めなかった、聽濤さんによる厳しくも不可欠な歴史的反省である--とのふれこみ。
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そもそもふれこみにある「社会主義はなぜ人々からの信頼を失ったのか」ですって?

 信頼を失ったのは「共産主義」(左翼全体主義)であって、「社会主義」(民主社会主義・社会民主主義?)は別に「人々から信頼を失っていません」から。欧州各国などを見てください。英国(豪州)だって、いまは保守党政権ではなく労働党政権ですからね。

聽濤さんも、本書の中で「社会民主主義」への言及がありますから、ふれこみの「社会主義」は「共産主義」とすべきでしょう。
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さらなる証拠というとヘンですが、ニューヨーク市長になったゾーラン・マムダニは(自称?)「民主社会主義者」でしたよね。

岩波書店からも本を出している矢作弘さんは『社会主義都市ニューヨークの誕生』(学芸出版社)という本を最近刊行しています。こちらも聽濤さんの本と並行して一読したところです。この本はアメリカの「社会主義勃興」をテーマにした本で、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニさんの「成功物語」を追っています。
矢作さんによるとマムダニさんはこういう方です。

「日本のメディアは『急進的左派市長が当選』と報じたが、『急進』とは言い切れないことは、本書を通読してもらえばわかる。マムダニノミクスは、所詮、ヨーロッパの社会民主主義レベルのリベラルである」
「マムダニが掲げる政策は、国内の州政府や他の都市政府にも多くの類例を見る。マムダニノミクスはそれを拡張、充実する程度の場合が多い。アメリカの保守系メディアが『急進』と形容してマムダニに対して恐怖心を抱かせる術策に誤魔化されてはいけない」

矢作さんの御指摘はもっともだと感じました。私がニューヨーク市民なら、この「民主社会主義者」に投じたかもしれませんね。他の候補者がイマイチ?だから?
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それって、2016年の大統領選挙で、民主党候補がヒラリー・クリントンではなく、これまた「民主社会主義者」だったサンダースさんが正式候補者だったら、トランプとサンダース、どっちに入れるか悩んだと思います(民主党の正式候補者はヒラリーになったから、それだと、米国人だったなら、トランプにさっさと入れたかと?)。

というのも、サンダースの『バーニー・サンダース自伝』 (大月書店)を読んだことがあるからです。
昔(1997年)出した本(『アメリカ下院のはぐれ者・アウトサイダー・イン・ザ・ハウス』に若干の加筆(「まえがき」と「解説」)をしてまとめたものでした。市長選挙、下院選挙を無所属の民主的社会主義者として、共和党&民主党主流派と、いかにして闘ったか。とりわけ議員になってから、共和党に妥協をするクリントン大統領、民主党主流派やギングリッチ保守派共和党の攻勢をいかに跳ね返していったかを論じていました。
しかし……。
法案によっては、共和党保守派と「共同歩調」を取ることもあったとのこと。

本書『バーニー・サンダース自伝』の解説によると、「サンダース下院議員は、ノースカロライナ州選出のウォルター・ジョーンズ下院議員のような共和党保守派と、貿易政策、対外投資、アメリカ軍のイラク撤退工程表策定といった多様な問題でよく共闘した」とのことです。

ベトナム戦争や湾岸戦争やイラク戦争など、アメリカ軍派兵には一貫して反対しているサンダースさんですが、「私は不戦主義者ではない。恐ろしい体制のもとで、他にとりうる手段があっても、戦争が正当な場合はあると信じている」とも語っています。このあたり、戦争は絶対反対と叫ぶ単細胞型平和運動屋(空想的平和主義者)とは一線を画していますね(でも、イラン攻撃には反対しているのでしょうか?)。

国防費の不正な支出に関しても、「おもしろい左右連携をつくりだした」「下院議員クリス・スミスは、保守的な共和党員であり、私はほんの少ししか面識がなかった。彼は妊娠中絶の権利に反対する主な議員としてよく知られている。しかし、ロッキード・マーティンは彼の選挙区の工場を閉鎖し、そこには三千人の労働者が雇われていた。スミスは、この閉鎖はペンタゴンの資金援助によって進められたと確信していた。私がこの解雇促進プログラムを終わらせる修正案を提出すると、スミスは支持してくれた」と。

この自叙伝を読む限り、サンダースは共産主義者ではなく、「容共リベラル」でもなく、最左派の民主的社会主義者なのだろうと思いました。

私のような「無党派中道右派」的で「つむじ曲がり」的な人間は、アメリカの政界だと、立ち位置が微妙になります。

「ネオコン」が近いような気もしますが、主敵はロシアではなく中共と私は認識しています。内政に関しては民主社会主義、福祉国家路線も悪くはない? 新自由主義路線とは異なることでしょう。

中絶に関しては、独身、未成年、強姦の場合、容認することもありうるけど、結婚している夫婦がするなんておかしいよねとの立場。仮に既婚者などの中絶は容認するとしても医療保険などの適用外にすべき…と考えるし。

それにしても、昨今のトランプ大統領の「ネオコン」化。解任したボルトン路線(イラン攻撃すべし)を実践しているかのようなトランプさんの姿勢をどう評価すべきなのか?

トランプを熱烈に支援していた渡辺惣樹さんの『トランプの理性を破壊したのは誰か イラン、イスラエル、ウクライナ、ロシア…トランプ外交を分析する20の視点』(徳間書店) を読むと、悪いのはやはり「ネオコン」? 彼らがトランプを惑わしている?
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話が脱線しました。

聽濤さんの本に戻しますが、聽濤さんは、聽濤さんの本でも分析されている「日共除名」の松竹伸幸さんと比べると、除名もされず離党もしなかった方です。当然、知的限界があるわけです。不破哲三や宮本顕治などへの言及は辛口でなく、かなり甘言的になっていますね。ひとこと程度の違和感は表明していますが……。

松竹伸幸さんは、元日共党員で党内民主主義の拡大を求めて除名された人です。除名の原因になったのは『シン・日本共産党宣言』(文春新書)。

続編の『私は共産党員だ! シン・日本共産党宣言2』(文春新書)も面白い本でしたが、『不破哲三氏への手紙  日本共産党をあなたが夢見た21世紀型に』(宝島社新書)もユニークな本でした。聽濤さんの本を読む前後に、松竹さんの本、及び、兵本達吉氏の『日本共産党の戦後秘史』(新潮文庫)を一読されることをおすすめします。公式史観では分らない日本共産党の醜い恥部を垣間見ることができるからです。

聽濤さんの本では、こんな記述があります。

「ソ連の覇権主義の有害性は明瞭です。フランス共産党がソ連のアフガニスタン侵略戦争を支持したのは信じがたいものです。かつてハンガリー事件でソ連を支持したため、あのピカソやイブ・モンタンがフランス共産党から離れていきました。フランスにとっても世界の革新運動にとっても、こういう人物を失うことがどれほどの損失か計り知れないものがあります。ソ連覇権主義に心底から怒りを感じるものでした」

でも、自党がハンガリー事件を黙殺というか、ソ連の行為を「支持」した史実には触れません。核実験をめぐるソ連追随の歴史もちょこっと触れていますが、開き直りの屁理屈を述べているだけです。そのあたりは聽濤さんの本の52頁から63頁をお読みください。

チェコの時も幹部会声明で、ソ連のチェコ侵入を批判しようとしたものの、当時健在だった袴田さんが「侵入」はダメだ、「進入」に直せというので、「進入」になったとお嘆きのご様子ですが、所詮はこんな程度でしょう。

アフガニスタン侵略も批判したと豪語していますが、日共は本心から反対の時は、街頭デモをします。でも本心からでない時は、紙切れ一枚の「声明」をだしてアリバイ工作をします。

ソ連大使館前で、チェコ侵入、アフガン侵入を数百人を動員して反対デモをやったでしょうか?見たこと、聞いたことがありません。

安保法制やらベトナム反戦なら国会前でデモをしていたかと思いますが、そのあたりの行動力の「格差」は、信条のホンネの「格差」と見るべきでしょうね。アメリカ帝国主義は紙でも集団・徒党を組んででも批判しても、ソ連帝国主義は結党時からずっと従属し、ある日からちょこっと紙だけで批判する程度。

悪いのはスースロフに袴田という視点からの非難もお笑いものでした。コワレンコも悪者になっていったようです。コワレンコやスースロフは日本社会党(左派)を操るようになっていったようですが、所詮、社会党(左派)と日本共産党は「五十歩百歩」の革命幻想に取りつかれた政治勢力、同じ穴のムジナというしかないでしょうね。
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日本共産党の知的限界というか、バカの皮は、1950年6月25日に北朝鮮の南侵によって始まった「朝鮮戦争」に対する認識・評価の変遷を見れば明々白々です。よく言って「狡智」「狡猾」「腹黒」でしょう。聽濤さんの本から離れて、日共の公式見解を見ていくことにします。

使用するテキストは以下の通りです。

『日本共産党の五十年(増補版)』(1972)
『日本共産党の六十年』(1982)
『日本共産党の七十年(上)』(1994)
『日本共産党の八十年』(2003)
『日本共産党の百年』(2023)

長くなるので、一旦ここでピリオド。次回のブログにて、上記の本を解析いたします。

では、ごきげんよう。
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みんな本や雑誌が大好き!? さん本が好き!1級(書評数:729 件)

現代史関連の本や雑誌が好きです。そうした本の紹介をしていきたいと思います。皆様の読書の参考、そんな本があるのかとの発見があれば幸いです。

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