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DBさん
DB
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アマモと海の豊かさの本
アマモといえば、水族館で日本の海と題して稲の葉っぱみたいな草が水槽に沈んでいるのを見ることがある。
所々茶色くなっている薄緑の葉っぱで、泳いでいる魚も小型の地味なものが多く、正直熱帯の海や深海に比べて地味だな~と通り過ぎることが多かった。
本書ではアマモの保全に取り組む高専の先生が、アマモが地球で果たしている役割や、その保全活動について語っています。

アマモは地味な海草だと思ってはいたが、もともとは陸上に生えていた植物が白亜紀に古代の海であるテチス海に進出したと言われている。
その後長い年月をかけて種子や地下茎を伸ばして生息域を拡大していき、今では地球上でもっとも分布面積が大きい海草となっているそうだ。
そんなアマモの草原では魚や貝、ナマコなど多くの生物が生活していて「海のゆりかご」の役割を果たしている。
そしてアマモは海中で光合成することができるため、海洋中に溶け込んだ二酸化炭素を光合成によりデンプンへと変換することで二酸化炭素の削減に役立っている。
海で二酸化炭素削減を行うブルーカーボンに、アマモとマングローブと干潟があげられるという。
そしてその三つともが減少の危機に面しているのだ。

アマモの草原が喪失していく原因としては、除草剤の流入や貧栄養化、海水温の上昇、そして餌が減少したことで残るアマモを喰いつくしていくアイゴなどの草食魚の食害があるそうだ。
アマモを増やすことで海の持つ力を上げようと、まだ生き残っているアマモの調査をしたり、種を回収して新たなアマモ場を再生するために種子を海底に植え付けていく取り組みをしている団体がある。
学校で子供たちもその取り組みに参加してもらい、将来にもアマモの生い茂る豊かな海を残していこうという活動もしている。
そんなアマモ養殖の活動風景や種子を植えるための様々な工夫について語られていました。

種をまけば終わりというわけではなく、種子が発芽して成長し、さらに新たな種子をつけるサイクルが確立できなければ成功とはいえない。
そのために水槽内で様々な条件を変えてアマモが成長できる環境を知ることも重要だ。
水温や種を植える深さ、そして海底の砂に含まれる栄養素といった条件がそろわないとうまくいかないようです。
面白かったのはとある学校が花壇に放置していた土を使ったらアマモが発芽し成長しただけなく、花まで咲いて無事に次の種子がとれたという話だ。
アマモの生い茂る海に様々な生物がすむ豊かな海を取り戻してほしいと思う。
そして今度水族館に行ったら、そんな活動を思い出しながらアマモの水槽をじっくり見てみようと思った。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2135 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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