花ざかりの森・憂国―自選短編集
若書きの香りも清々しい、デビュー作から哲学的問題作まで。著者自選による13の短編集。
三島由紀夫のデビュー作『花ざかりの森』は1941(昭和16)年の作品で、新潮文庫による本短編集には三…
本が好き! 4級
書評数:15 件
得票数:216 票
辻邦生作品をこよなく愛する昭和生まれ。辻邦生さんに関することは基本noteにて。
若書きの香りも清々しい、デビュー作から哲学的問題作まで。著者自選による13の短編集。
三島由紀夫のデビュー作『花ざかりの森』は1941(昭和16)年の作品で、新潮文庫による本短編集には三…
明治末期〜大正にかけての、貴族階級の純粋な愛の形を格調高く綴った佳編!
2025年は辻邦生さんの生誕100年であるとともに三島由紀夫もまたそうです。今更ながら三島由紀夫を読…
一貫して命の美しさ、厳しさ、喜びを見つめ続けた辻邦生の最後の長編
私(寂然)が西行とともにいた日々、知ることのできた秘密といえば、ただ一つ ⎯⎯ この、我を捨て、こ…
「鉄道一筋の紀行作家が何を思ったか、ある日突然、<日本縦断僻地バスの旅>を企てた!(文庫本帯のキャッチコピー)
拾得さんの『終着駅は始発駅』に触発されて、手元にある宮脇俊三ものを読み返してみました。とは言っても鉄…
活花をモチーフに描かれる、ある親子の連作短編。一つひとつ、それ自体があたかも活花のような美しい物語。
舞台は京都嵯峨野大覚寺とその周辺の寺々。大覚寺の花務職僧侶で華道家の、未生流華道2世、不濁斎広甫は実…
明治から昭和へ。時代を背景に自国の外で懸命に生きようとする日本人の、それぞれの5つの物語。
本書は、明治・大正・昭和という時代に、主に自国以外で生きようとした名もなき日本人と、彼らを取り巻く時…
ただ厳しく生きること、そして愛すること
『時の扉』は大作『春の戴冠』が終わるのと前後して新聞に連載された、9作目の長編です。毎日新聞紙上にき…
船とともに揺蕩う日常〜静かなフランス映画のように〜
本作が生まれるおそらく10年ほども前、名古屋の堀川は納屋橋の袂に係留して営業する船の喫茶店がありまし…
1000年もの間、奈良法隆寺夢殿の奥、黒い厨子の中に秘せられてきた救世観音。その厨子の開扉に立ち会った人々それぞれの物語
先月5月18日まで、法隆寺に於いて救世観音菩薩像の春の特別公開が行われました。奈良へは何度か訪れたこ…
小劇場での三人芝居 ⎯⎯良質な会話劇
『燃焼のための習作』という妙なタイトルから得た第一印象は、この小説自体が何かの習作なのか、ということ…
辻邦生の繊細な文章が、100の短編によって美しい人生の流れを描き出す
『ある生涯の七つの場所』は、ある日本人の三代に渡る人生を、100の短編で描いた連作です。今年は辻邦生…
『その姿の消し方』こんな出会いの仕方がある、市井の会計検査官の詩を影として
辻邦生作品にはいくつか連作短編というものがあり、それは、それぞれ一編一編の独立した短編として読めるけ…
再会した、ユダヤ人の旧友との何気ない一日。<熊の敷石>をモチーフに語られる、<私>の小さなわだかまり。
本作は、生活に縛られているわけではない<私>が、同じく自由業の古い友人、ヤンに「何となく」連絡を取っ…
恋愛小説、経済小説、そして、詳細な史料研究に基づいた、優れた歴史エンターテインメント!
辻邦生さんの二作目の歴史小説は、江戸初期の長崎を舞台にしたミステリー仕立てのエンターテインメントです…
シングルファーザーとその息子の非日常的な日常と、彼らを取り巻く個性的な人々、稲村ヶ崎の季節の中で
離婚して、一年半ほど前から鎌倉は稲村ヶ崎の借家で暮らし始めた僕(中野さん)と一人息子の五歳になる圭太…