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efさん
ef
レビュアー:
なるほどねぇ~。これは考えさせられますねぇ。
 ある民族、種族が使っている言語が、他の言語に比べて、例えば語彙が乏しいとか、特定の語がないという場合、言語が貧困(と、一応ここではそう言っておきます)な民族等は文化、感情その他も低位なのか?
 という議論があったのだそうです。
 んで、この頃は、多くの言語学者らは「そうだ!」と肯定する意見が多かったのだとか。

 例えば、フランス語の『エスプリ』にぴったり合うような語彙は英語にはないのだとか。
 だからバートランド・ラッセルは、英語圏の者は『エスプリ』のような感覚は理解できない、低級なのだと主張したのだとか。
 一方で、英語の『マインド』は、それを簡潔に言い表すフランス語はないのだとか。そういう反撃もあったみたいです。
 本当にそうか? というのが本書の一つの論旨です。

 本書ではまず、『ホメロス』にまつわる議論を紹介します。
 グラッドストンは、『ホメロス』おかしくね? と疑問を呈したのだそうです。
 というのは、『ホメロス』では海の色を「葡萄酒の色」と書き、牛の色も同じ言葉で表現しています。または鉄のことは「スミレ色」と書いているのです。さらにハチミツの色は緑色を指す『クローロス』という言葉を使っているのだそうです。
 確かに変だわ。
 「それは詩的表現だ」という解釈もあったそうなんですが、それにしてもおかしすぎる、そういう例をグラッドストンは積み上げました。

 こうなってくると、『ホメロス』を書いた時代の人達は私たちのように色を識別できていなかったんじゃないか? という生物学、進化的な説も唱えられたのだそうです。
 結局、どういう結論に至ったかは本書をお読み頂きたいのですが、なるほどねぇ。

 色に関して言えばどうも様々な論点がありそうです。
ある言語では色に関する語彙が非常に少なく、ほんの少しの言葉しか持たないのだそうです。
 たとえて言えば、私たちなら「青」、「緑」、「黄色」と区別するような色の差を言語としては持たず、ただ一つの言葉で全部ひっくるめてしまうとか。
 見えてないのか?
 ということで調べてみると、ちゃんと色は識別しているのです。
 でも言葉は持たない。何故か?

 あるいは、位置に関する表現方法の違いも面白い議論でした。
 右、左、東、西みたいな言葉を、位置に関して私たちは使いますが、それが思考方法の違いによりかなりの食い違いが生まれてしまう例を読者にも実証してみせてくれます(ちょっとした問題が出るのですが、やってみることをお勧めします。そういうことか~)。

 言葉の問題の中で私たち日本人がよくワカラン! と思ってしまうものの一つに、男性名詞、女性名詞というのがありますよね?
 私たちの日本語にはその区別はありません。でも様々な言語で名詞に性を与えています。
 私なんか「なんでだよ~! 船は船で性別ないだろ! どうして女性なの?」なんて思ってしまいますが、これがまた根深い問題で。
 この性別名詞は共通というわけでもなさそうで、ある言語では男性名詞だけれど別の言語では女性名詞というのもあるようです。
 んでね、翻訳の際、この辺りを汲まないとエラいことになっちゃうとか(翻訳って難しいですよね)。

 というように、言語に関する手厚い一冊であります。
 興味深い論点が色々あり、楽しませて頂きました。
 これはちょっと慎重に考えないといけないなと、私も思いました。


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ef
ef さん本が好き!1級(書評数:5125 件)

幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!

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