ぱせりさん
レビュアー:
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言葉に、自分の思い出を乗せながら、揺らぎながら
滝口悠生の本はまだ『長い一日』一冊しか読んでいないのだけれど、この本『たのしい保育園』の表紙を見た瞬間、『長い一日』のご夫妻にお子さんが生まれたんだ(そして保育園に通っているんだ)と思った。知り合いの嬉しい便りを聞いたような気でいる。
子どもの名前はももちゃん。文筆業のおとうさんが保育園の送り迎えをすることが多い。
おとうさんは、保育園の連絡アプリのコメト欄につい長いコメントを書いてしまう。ももちゃんのことはもちろん、ももちゃんの友だちのことも書く。子どもたちを見ながら考えたことも書く。
この物語は、そういうおとうさんのコメント欄からはみ出した、書いても書いても書ききれない続きの話のようだ。
ももちゃんのおとうさんは(この物語の文章もそうだが)一つの事を伝えるために、遠くから話を始めるという。
「長く長く話すために、できるだけ遠くからはなし始めるんだ」
「私もできるだけ長くあなたに話しかけていたいと思うから」
一体どこに向かっているのかわからないくらい遠くから、少しずつ核心に近づいていく話し方が心地よいのは、お父さんが目に留める遠いこところにある景色も、近くの景色も、味わい深いから。
たとえば言葉。ちいさな子どもたちは、言いたいことを周囲の大人にうまく伝えられない。だけど、ももちゃんのおとうさんは考える。
伝えられない、というのは大人の思いであり、子どもはすでにじゅうぶんに言っているのではないか、と。多くの言葉、文法を知っている大人の話は「たがいの共有する文脈や通念の確認みたいなことで済まされてしまって」いないだろうか。
子どもと一緒にいて、子どもの気持ちを理解しようと思い、子どもを見ているうちに、今まで当たり前だと思っていた事が揺らいでくることもあるものだ。
子と散歩しながら、それそれの個性まるだしの子ども同士の小競り合いや仲直り、そして、これまでのあゆみ、子どもたちが育っていく未来に至るまで。見た事、聞いたこと、体験したこと、出会った人たち。子どもが介在することで、一人の時とちがってくる感じ方。考え。それが揺らぎ、だろうか。
遠い言葉や近くの言葉に、自分の思い出を乗せながら、揺らぎながら、この本を読んでいるのは心地よい。
子どもの名前はももちゃん。文筆業のおとうさんが保育園の送り迎えをすることが多い。
おとうさんは、保育園の連絡アプリのコメト欄につい長いコメントを書いてしまう。ももちゃんのことはもちろん、ももちゃんの友だちのことも書く。子どもたちを見ながら考えたことも書く。
この物語は、そういうおとうさんのコメント欄からはみ出した、書いても書いても書ききれない続きの話のようだ。
ももちゃんのおとうさんは(この物語の文章もそうだが)一つの事を伝えるために、遠くから話を始めるという。
「長く長く話すために、できるだけ遠くからはなし始めるんだ」
「私もできるだけ長くあなたに話しかけていたいと思うから」
一体どこに向かっているのかわからないくらい遠くから、少しずつ核心に近づいていく話し方が心地よいのは、お父さんが目に留める遠いこところにある景色も、近くの景色も、味わい深いから。
たとえば言葉。ちいさな子どもたちは、言いたいことを周囲の大人にうまく伝えられない。だけど、ももちゃんのおとうさんは考える。
伝えられない、というのは大人の思いであり、子どもはすでにじゅうぶんに言っているのではないか、と。多くの言葉、文法を知っている大人の話は「たがいの共有する文脈や通念の確認みたいなことで済まされてしまって」いないだろうか。
子どもと一緒にいて、子どもの気持ちを理解しようと思い、子どもを見ているうちに、今まで当たり前だと思っていた事が揺らいでくることもあるものだ。
子と散歩しながら、それそれの個性まるだしの子ども同士の小競り合いや仲直り、そして、これまでのあゆみ、子どもたちが育っていく未来に至るまで。見た事、聞いたこと、体験したこと、出会った人たち。子どもが介在することで、一人の時とちがってくる感じ方。考え。それが揺らぎ、だろうか。
遠い言葉や近くの言葉に、自分の思い出を乗せながら、揺らぎながら、この本を読んでいるのは心地よい。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
この書評へのコメント

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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:0
- ISBN:9784309039619
- 発売日:2025年04月28日
- 価格:2200円
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