書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ムーミン2号
レビュアー:
見習うべきは、祖母の考え方か、超一流ホテル従業員たちのプロフェッショナルか
キャッチコピー欄には、祖母の対極としてホテルマンを置いたが、ロンドン行きの前に的確なアドバイスを下さった国際線CAさんも、当時のロンドンにあった、三越やそごうの従業員さんたちも、出店間もない寿司屋の従業員さんもそこには含まれている。

ひょんなことから留学経験を買われ、生きているうちにイギリスのロンドンに行きたいという祖母の要望を家族全員で叶える旅のお供に指名されたのが著者。

祖母は当時80代。体力的にも厳しい面があることを、ホテルでは従業員(バトラーやドアマン、ベルボーイなど)は十分に承知で、さまざまに、けどさりげなく、手を差し伸べてくれる。
その鮮やかなこと!
人を慮り、先まで予測してあらかじめ手を打つ、情報は共有する、など手本としたい、見本となる言動があちこちに散りばめられている。
ヘタなビジネス書よりよっぽど役に立ちそうだ。

祖母はロンドンではまるで姫のごとく振るまう。
当然、表向きは言い出したら頑として折れないわがままで、我が道しか行かないように映るが、著者が約一週間帯同して気が付いたのは、祖母には自分をごまかさず、凛として生きてきたという矜持と自信があるからこその振るまいなのだ、ということ。

そしてスーツ姿で何かれと常に祖母を気遣い、行動する著者のことを本人は秘書孫と称しているが、どうやらホテルマンたちには孫であることは知られていなかったらしい。
そんな著者も、祖母が眠りに落ちた夜の時間は、カジュアルに変身し、留学時代の友人と飲み歩く“バッド・ガール” に変身する。
最初にバッド・ガールに接した時のホテルマンの驚き様が面白いが、そこはやはり一流ホテル。夜のロンドンでは女性の一人歩きは危ないからとタクシーを強く勧める一方で、バッド・ガールに変身した著者を陰に日向に支え、応援してくれる。
この感じも素敵ではないか!
留学時代のブライトンにいる友人(男性)に会えなかった秘書孫に、仕事を離れてまで会えるようにしてくれるバトラーのティム。何十年か前のイギリスには存在したであろうジェントルマンだ。(とは言え、イギリスどころか海外に行った経験もないし、ジェントルマンとはどういう人を指すのかもわからないが、何となく・・・ね)

究極は、ロンドン最後の日に祖母姫が寿司を食べたいと言った際に、ティムを招待するエピソード。本来、呼ばれたからと言って客室でバトラーが食事を共にすることはご法度なのだが、それを快く承認してくれる上司がこのホテルにはいた。

帰りのヒースロー空港でのエピソードが何より深い。祖母姫曰く、
謙虚と卑下は違うものなの。自信がないから、自分のことをつまらないものみたいに言って、相手に見くびってもらって楽をしようとするのはやめなさい。それは卑下。とてもみっともないものよ。
ああ、ね。かつて卑下ばかりしてたからわかるけど、振り返れば何ともお恥ずかしいことか・・・。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ムーミン2号
ムーミン2号 さん本が好き!1級(書評数:720 件)

容姿が似ているため、ムーミンと呼ばれています。
いろいろと読みますが、海外文学と児童文学が好みでしょうか? マンガも読みますが、手塚治虫に偏っています。
もう半世紀以上生きていますので、それなりの感想を書いていきたいです。某サイトでは255文字しか書けないので、いっぱい書きたいときはこちらを大いに利用させていただきます。
高知県に在住。出身は広島県。男性。

読んで楽しい:1票
参考になる:7票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ