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スーヌさん
スーヌ
レビュアー:
12歳の少年が同い年の少女と出会う物語。 ただし少年はロボット。
 SFです。ロボットと少女って珍しいな、普通ロボットときたら少年でしょ?ターミネーター2みたいに。それからロボット社会に少女が一人っていうのも珍しい。普通は人間社会にロボットが現れて騒動起こすもんでしょ?
 近未来、ロボットによって人類が排除された地球ではロボットが人間のように暮らしていて、ロボットなのでプログラム通りに動くので戦争も犯罪もない理想社会が築かれていました。
 主人公のロボットXR935は擬似親ロボットの両親と共に暮らしていて、同僚のロボット2台と共に、ソーラーパネルの設置という仕事に就いています。
 その変化のない暮しの中、XR935は人間の少女と出会います。
 彼女の名前はエマ。彼女は地下に隠されたシェルターで生き延びていた人間たちの生き残りで、疫病で全滅したシェルターから脱出して、両親がくれた地図を頼りに旅に出たのでした。
 人間は脅威だから排除しなくては、と思うXR935でしたが、あなたたちのロボット社会がそんなにうまくいっているなら、私みたいな女の子が脅威になるわけないじゃない、とエマに言われて混乱してしまいます。
 結局同僚ロボットと共に、エマの旅に同行してしまうXR935。
 彼らのプログラムから外れた行動はすぐに発覚して、追われる身となりますが、XR935はエマの非効率で非論理的な行動に翻弄されつつも次第に人間らしさを理解していきます。
 その姿はまるでオズの魔法使いのドロシーと友人たちのようです。しかし彼らに必要なのは勇気や知恵ではなく、人間的な情動なのです。
 そして彼らもその願いを誰かに叶えてもらうのではなく、旅の過程で自ら獲得して行くのです。
 そういう解釈の一方で、それまで男の子同士だけで遊んでいた少年が、女の子と付き合うようになって、その異生物ぶりに動揺しつつも人間的に成長して行く過程のようでもあって微笑ましくもあり、ジュブナイルとして高得点をあげたい。
 か弱い人間の少女がロボットに守られて旅をしているようで、実際は繊細なロボットが少女に導かれて大人になっていく物語なのでした。
 こういう物語は少年より大人の方が楽しめると思います。もちろん少年少女が自分を投影しつつ読んでくれたらそれに勝るものはないでしょう。
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スーヌ
スーヌ さん本が好き!1級(書評数:33 件)

50代男性 実は書店員だが業務で書評を書く機会はない。

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