羊男さん
レビュアー:
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17世紀オランダの暗く湿ったゴシックワールドが堪能できる変格ミステリ
17世紀オランダを舞台に、商人や医者と画家といった登場人物たちの間でおこる二重密室劇。
本格的なミステリというよりも、日本独特の変格ミステリといった様相。
しかし、日本人は出てきません。
17世紀はオランダはペストの恐怖や海面下にある国である水没の恐怖にある、当時の暗い時代の雰囲気がとてもよく表されていると思う。
画家レンブラントの息子が蘇った死体の謎に挑んでいくのだが、繰り広げられる事件が高野史緒独特の伏せんや小道具に溢れていて、やはりこの作品もてんこ盛り状態。
アムステルダムに雨が降り続き、運河の水位が上昇して街が水没の危機に彩られるあたりは、「ブレードランナー」が想起される光景であり、その暗く湿った街で起こる密室劇は江戸川乱歩のようでもある。
このミステリーでは双子が重要な役目になっていて、「三角館の恐怖」を思わせないでもない。
ただこのゴシックワールドのような17世紀の密室劇には明智小五郎のような名探偵ではなく、ラストで探偵さながらの推理をする画家が登場するに至っては、やはりこの著者にしか書けないだろうなあ、と思うことしきり。
本格的なミステリというよりも、日本独特の変格ミステリといった様相。
しかし、日本人は出てきません。
17世紀はオランダはペストの恐怖や海面下にある国である水没の恐怖にある、当時の暗い時代の雰囲気がとてもよく表されていると思う。
画家レンブラントの息子が蘇った死体の謎に挑んでいくのだが、繰り広げられる事件が高野史緒独特の伏せんや小道具に溢れていて、やはりこの作品もてんこ盛り状態。
アムステルダムに雨が降り続き、運河の水位が上昇して街が水没の危機に彩られるあたりは、「ブレードランナー」が想起される光景であり、その暗く湿った街で起こる密室劇は江戸川乱歩のようでもある。
このミステリーでは双子が重要な役目になっていて、「三角館の恐怖」を思わせないでもない。
ただこのゴシックワールドのような17世紀の密室劇には明智小五郎のような名探偵ではなく、ラストで探偵さながらの推理をする画家が登場するに至っては、やはりこの著者にしか書けないだろうなあ、と思うことしきり。
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長野羊。SF、幻想文学好き。
もっと本を読みたいけど、酒酔いと寄る年並みに勝てず、さっさと寝てしまう日々。
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- 出版社:講談社
- ページ数:269
- ISBN:9784065125922
- 発売日:2018年08月23日
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