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ムーミン2号
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白夜がもたらす少し明るめの作品
さてはて、この物語をどのように受け止めればいいんだろうか?
白夜の4日間で、孤独な青年が清純な17歳の女性・ナースチェンカに恋をして、そしてその恋は成就せずに幕を閉じる物語なのだけども…。それだけを記すと、ありきたりの恋愛小説っぽくなる。

二人は偶然に会って、少しずつお互いを知り合い、恋の気分を高めあうのだけれど、当初はお互い「親友ね」という関係を貫こうとしていた。というのも、ナースチェンカにはこの一年、待ち続けている若者がいて、彼とは結婚の約束までしているからだ。ただ、もう彼が帰ってきてナースチェンカを迎えに来てもいい時期だというのに、まだ現れずにいる、というシチュエーション。
だから孤独な青年も、二日目くらいまでは自分を抑えて「親友」を貫こうとするが、後半では内からほとばしり出る愛情があふれてしまう。ナースチェンカもいくら待っても来ない彼氏とその孤独な青年を両方想いながら、彼氏が来ないのなら、孤独な青年と自分と気は合うし…などと思い始める。

最後は、ご推察の通り婚約者が颯爽と現れ、孤独な青年の思いは白夜の束の間の夢となってしまう。けども、妙に清々しい感じも余韻として残るのは、青年がナースチェンカを憎むことをしなかったせいだろうか? あるいは白夜のせいだろうか?

さらにまたよくわからないのは、ナースチェンカが同居している祖母と昼間はピンで繋がれているとかいう異常さ。あるいはかの孤独な青年というのが、一言でいうとわりと‟めんどくさい” お方だったりするのだ。自分で夢想家だと言って憚らないし…。

その他、「キリストの樅ノ木祭りに召された少年」「百姓のマレイ」という短い小説をはさんで、ラストは「おかしな人間の夢」となる。

自殺を図った人が、(多分失敗して)地球のような惑星にたどり着いた夢を見る。
そこは自殺を図るような人間も愛情をもって受け入れてくれるし、お互いの争いもない社会(要するに‟原罪” を背負っていない)なのだけど、彼が原因で「嘘」を覚えてしまい、堕落していく。
それは、現在の人類と全く同じで…。
だから、自殺未遂者は、伝道師となって説いて回る活動に入る。ほとんどの人たちに哄笑されようと、その活動を止めない。

個人的には、この自殺未遂者も‟めんどくさい” お方と感じてしまったのだけど、こちらは「白夜」とは異なり、明らかにキリスト教への深い傾倒により生まれた作品のように感じた。

付録のように付けられている「一八六四年のメモ」も宗教と作者の思考とがないまぜになった文章で、カラマーゾフや「罪と罰」の要素が散見される。ただし、光文社古典新訳文庫をもってしても読み易くはない。

長編ばかりがドストエフスキーじゃないよ、とは駒井稔さんの『編集者の読書論~面白い本の見つけ方、教えます』で説かれていたことで、その影響で読んでみた短めのドストエフスキーだったが、ワタシには理解力も感応力も少し以上に不足しているらしい。
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ムーミン2号
ムーミン2号 さん本が好き!1級(書評数:705 件)

容姿が似ているため、ムーミンと呼ばれています。
いろいろと読みますが、海外文学と児童文学が好みでしょうか? マンガも読みますが、手塚治虫に偏っています。
もう半世紀以上生きていますので、それなりの感想を書いていきたいです。某サイトでは255文字しか書けないので、いっぱい書きたいときはこちらを大いに利用させていただきます。
高知県に在住。出身は広島県。男性。

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