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rodolfo1さん
rodolfo1
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因縁の十角館にミステリ研究会メンバーが集結した。大半のメンバーにとってここは他人が起こした殺人現場だったが、犯人にとっては千載一遇の、彼らを罰する聖地だった。次々とメンバー達は殺され、ついに。。。
綾辻行人作「十角館の殺人」を読みました。1987年に刊行されたこのミステリは綾辻行人のデビュー作で、その後152万部を売り上げたベストセラーです。実は刊行当時うちの連れが既に購入しており、私は最近好意的なレビューを見て初めて読みました。

何者かは考えます。罠は整い、餌も投げられた、完璧な計画ではないが、神の身ならぬ自分にはむしろ臨機応変な計画の方が向いている筈でした。そして何者かはガラス瓶に今回の殺人計画の詳細を記した告白文を入れ、海に流しました。運命がその何者かを阻むならその瓶は拾われ、計画は露見するのでした。

6人の大学生が九州の無人島角島を目指していました。その島にはかつて青屋敷と呼ばれた建物とその離れ、十角館がありましたが、青屋敷は火事で全焼し、殺された男の幽霊が出るという噂が残っていたのでした。彼らは大学のミステリ研究会メンバーで、それぞれ有名ミステリ作家の名前を仇名にしていました。男性陣はエラリイ、カー、ルルウ、ポウ、女性2人はアガサとオルツィでした。島に到着した6人を先乗りしていたヴァンが出迎えました。ヴァンは風邪を引いて体調が悪いと言い。。。

7人は十角館に入りました。玄関ホールから進むとそこは正十角形のホールでした。ホールの回りを十個の部屋が取り囲み、1つは台所、1つはトイレとバス、残りの7部屋が客室でした。ヴァンは既に1室に入っており、6人はそれぞれの部屋に入って名札を掛けました。火事に際して電線は切れており、上水道は来ていて煮炊きはプロパンガスでした。女性達は台所仕事を始め、5人の男性は島を探検しました。5人は青屋敷で起こった4重殺人事件について語りました。7人は1週間ここに泊まり込む予定でした。

半年前、青屋敷は炎上し、焼け跡から青屋敷を建てた中村青司と妻の和枝、住み込み使用人夫婦4人の死体が発見されたのでした。全ての死体から睡眠薬が検出され、使用人夫婦は斧を頭で叩き割られ、青司は灯油で焼き殺され、和枝夫人は紐状のもので絞殺されていたのでした。しかも夫人の左手首は切り落とされ、どこにもありませんでした。更に泊まりで仕事に来ていた筈の庭師が行方不明になっていたのでした。エラリイは自分が事件を解決してやると意気込み。。。その夜、ヴァンは体調不良で先に部屋へ引き上げ、6人はくつろぎながら夜を過ごします。オルツィは、この島には深い思いがあり、何かを秘めている様子でした。

一方本土では、元ミステリ研の江南孝明(コナンと呼ばれる)の元に不可解な手紙が届きます「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」。
差出人は 中村青司。だが青司はすでに死亡しているはずでした。

千織とは、数年前のミステリ研新年会で急死した女子学生。急性アルコール中毒と心臓発作による事故死とされていました。しかし当時のメンバーの多くは、現在角島へ旅行中。江南は不安を覚え、青司の弟・紅次郎の元を訪れます。そこで島田潔という謎めいた男と出会い、二人は青屋敷事件の背景を聞かされつつ、千織の死の真相を探り始めます。

オルツィは一人で自室に籠っていましたが、全く落ち着きませんでした。実は千織はオルツィのたった一人の友人でした。追悼の為に千織の実家であったこの島を訪れたのでした。しかし顔を洗いに行くと、テーブルの上に、7枚のプラスティック板が置いてあり、それぞれに、第一の被害者、第二の被害者、第三の被害者、第四の被害者、最後の被害者、探偵、殺人犯人とそれぞれの肩書きが記され、不気味な殺人予告と受け止められました。。。

朝の遅いアガサは翌日昼頃目覚めました。ホールに出てみると、オルツィの部屋に、第一の被害者と書かれたあの板が張り付けられており、アガサは悲鳴を上げました。オルツィが絞殺死体で発見され、和枝と同様 左手首が切断されていました。青司が生きていて島に潜んでいるのか――恐怖が広がります。続いてカーが 毒入りコーヒーで死亡。部屋の扉には「第二の被害者」の板。そしてカーの切断された左手首がバスタブから見つかります。5人は次第に疑心暗鬼に駆られ。。。

島田は江南を誘って紅次郎を尋ねました。今回は紅次郎は在宅しており、だしぬけに島田は、千織は紅次郎の娘だったかと尋ね、紅次郎は否定しましたが、一瞬顔色が変わりました。さらに島田は、青屋敷が全焼する前日、普段酒など飲まない紅次郎が電話して来て一緒に酒を飲み、「和枝許してくれ」と言って泣き出したのはどういう意味だったかと尋ねました。すると紅次郎は、庭の藤棚を指して、あれは千織が生まれた時に植えたものだと言いました。。。

その頃守須は江南の家を訪れていました。深夜帰宅した江南と島田にに守須は、国東半島で絵を描いていた帰りだが、何か進展はあったかと尋ねました。江南は、紅次郎によればあれは青司が図った無理心中だったと打ち明け。。。実は青司は。。。

アガサは口紅に仕込まれた毒物で死亡し、ついでルルウが失踪し、のちに外で撲殺死体で発見されました。残された3人は誰が犯人かという推理を繰り広げましたが、ついに結論は出ず。。。しかしその過程でエラリイは、カー毒殺のトリックを解き明かしました。。。

さらにエラリイは、他の殺人に比べてルルウ殺しは、なんとも乱暴な手口だったと言い。。。ふとエラリイは思いつき、2人を連れてルルウの殺害現場に赴き、そこに残された誰かの足跡を頭に刻み付けました。そして館に戻ってその足跡を図示しました。エラリイはこの足跡からはたった一つの推論しかありえないのだと言い。。。そしてエラリイは犯人の動機を明かし、犯人を名指ししました。しかしその瞬間ポウもまた毒殺され。。。しかしエラリイはこの館にはまだ秘密があると言い。。。ついに突き止めたその秘密の場所には腐敗死体が。。。その夜十角館は炎上したのでした。。。

翌朝守須は、十角館炎上の知らせを受け取りました。守須は江南に電話し、島田と共に3人は角島を訪れました。焼け跡には7人の遺体が残され、江南は自分の不甲斐なさを責めましたが、島田は別の意見でした。それは。。。

遺体の内6人はミステリ研究会メンバーでしたが、最後の1人は庭師の吉川だったと判明しました。。。

警察の見方は、エラリイが全員を殺した後に灯油をかぶって焼身自殺したと言うものでした。江南達は他に犯人がいるのではないかと指摘しましたが、警察は否定的でした。警察は更に、エラリイが大量殺人を犯した理由を尋ねましたが、守須は、それは千織の為だと内心強く思い。。。更に警察は、青司から来たと称する手紙の事について尋ね。。。さらにこの事件の驚くべき真相が明かされるのでした。。。

本作品は本邦でのクローズド・サークルミステリの嚆矢となる作品です。日本ミステリ界に新本格ブームを巻き起こしたとされるベストセラーです。この作品のトリックの一つとして重要なのが、名前と実存の不一致です。その思い込みを逆手にとったトリックは、日本ミステリ史に残る大仕掛けとして語り継がれています。

確かにプロットとトリックは素晴らしかった。しかしこうしたミステリの特徴として、そこに注力するあまりに、キャラクターと犯行動機があいまいである所が食い足りない所であったと思いました。こんなに人を殺した動機がたったこれだけというのはいかにも無理筋でしょう。それに拘泥するなら、犯人がこの動機にこだわるファナティックな人物であったという記載が必要ではなかったですかね。まあしかし、何もかもこの作品に求める事はするべき事ではないでしょう。日本のミステリ小説としては一つの金字塔と呼んで差し支えない作品であったと思いました。
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rodolfo1
rodolfo1 さん本が好き!1級(書評数:906 件)

こんにちは。ブクレコ難民です。今後はこちらでよろしくお願いいたします。

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