日本編に続いて海外編のご紹介です。
本短編集には沢山の古書愛好家、蒐集家が登場しますが、どの作品の登場人物も、その執念には恐れ入ります。
確かに本を愛する気持ちは理解できますが、ここまでとなるとさすがに……。
収録作品からいくつかをご紹介。
○ 愛書狂/フローベール
古書蒐集家にはライバルが存在します。
自分と同様に貴重な古書を蒐集している同好の士が厳然たるライバルになるわけですね。
しかも、悪いことに集めようとしているのはこの世に数冊しか存在しないという貴重な本ですから、いきおいその競争もヒートアップしていきます。
ここにも2人の愛書家が登場するのですが、一方は何とかして貴重な古書を入手しようとするのですが、ことごとく競売などで資力に勝るライバルに敗れ続けていたのでした。
しかし、どうしてもこの本は手に入れたい。さてどうする?
○ シジスモンの遺産/オクターブ・ユザンヌ
ここにも古書蒐集家のライバルが登場します。
それぞれに貴重な古書を蒐集しているのですが、ある日その一人が亡くなってしまいます。
さて、こう言った蒐集家は、自分の死後、苦労して集めた古書をどうするのでしょうか。
多くの場合、遺族によって売り立てられるのでしょうけれど、この亡くなった蒐集家は、自分が苦労して集めた古書が、売り立てにより散逸することをきらい、とある遺言を残したのでした。
その遺言の内容はライバル達を気が狂うまでにくやしがらせるような内容だったのです。
さらに、悪いことにはその遺産相続人が古書にまったく関心が無い、というよりも恨んでいるときたから始末に悪い。
さて、古書の危機に対して、愛好家はどう立ち向かうのか?
○ クリストファン/ジョージ・ギッシング
古書蒐集家の多くは男性のようです。しかも、その陰で女性が犠牲になる場合も多いようです。先ほどご紹介した「シジスモンの遺産」もこのパターンでしたが、本作も同様です。
しかし、ようやく女性を犠牲にしていたことに気付く場合もあるのですね。
巻末解説によれば、本書の主人公の「クリストファン」は、古書蒐集家の代名詞ともなっているのだそうです。
○ 目に見えないコレクション/シュテファン・ツヴァイク
本編は古書の蒐集ではありません。版画蒐集家を描いていますが、彼も自分が生きている間はどんなに生活に困ろうとも蒐集した貴重な版画を売りに出すことを厳しく禁じていました。
しかし、彼はある年になると目が見えなくなってしまうのですね。
もう、見えないのだから版画を売って生活の足しにしても……と思うのですが絶対に売ることを許しません。
さて、そんな彼のもとに有名な古美術商が訪ねてきました。彼の貴重なコレクションから何点かでも売ってもらえないかという考えからでした。
とにかくどの作品も強烈な執念が描かれています。
何ともはや……。
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