efさん
レビュアー:
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どうして馬は家畜化されているのにシマウマは家畜化されないのか?
著者自身が、本書を要約した言葉があります。
まずはそれを引用すると、「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」ということです。
本書には、既に沢山の素敵なレビュアーさんのレビューが累積しています。
この上、私が何を加えられるのだろうかとも思わないでもないのですが、読了しましたので書かせてくださいね。
著者は問います。現在でも石器を使う種族がいるのに何故文明社会はこれほどまでに進化したのか?
ある説は、文明社会が発展した(特に)ヨーロッパの人種が優れていたからなのだと。
それは、冒頭に書いた、著者の本書要約から分かるように、そんなことはないのだと言い続けているのが本書です。
人、人種の優劣で決まる要素などどれほどのものかということを論証しています。
本書(上)を読了して、目から鱗というような感覚はありませんでした。
ええ、それはむしろとても合理的に論証していたからこそなのだろうと思います。
ここで大切なことは、『学際』(あんまり良い言葉ではないのですが、要は、多くの学問分野に渡る知識を通覧し、該博な知識を身につける必用がある分野とでも言いましょうか)です。
例えば、本書では、植物学、医学、史学、考古学、文学、哲学、物理学、生物学……その他、それこそ人間の持っている『知』を総動員してかからなければいけないような切り口で考察をしています。
それが一番の魅力なのではないでしょうか。
相当昔のことですが、PCゲームに『シヴィライゼーション』というのがありました。
最初は、開拓民がどこか適当な土地に居場所を定め、食べていくための食料を得る努力をします。
その後、色々な発明をするのですが、それには段階があります。
農耕が見出された後で無ければ車輪は発明できないとか、系統だった順序があるんですね。
ゲームでは、その系統をいかに早く達成して、自国民を増やし、この世界を制覇するかというテーマでした。
まさに、本書は、そのメカニズムを解明しようとする意欲的な作品だと思います。
たとえば、人類は最初は狩猟民族でした。
そこから農耕民族が生まれるのですが、何故、狩猟から農耕に移行するのか?(いえ、農耕を知ってもそこに移行しない種族もいるのですよ)。
はたまた、農耕と定住は何故セットになり、あるいはならないのか?
農耕定住は何故、力を持ったのか?(それは安定した食料生産を可能にし、だから人口を多く養え、さらに生産に従事しない社会階層を養う余裕を生み出し、そこから文字などが生まれ……というまさに連鎖です)。
そのようなことどもを、大きな、ダイナミックな視点から分析しているのが本書です。
なかなかに興味深いテーマがありますよ。
家畜も考えさせられるテーマの一つです。
例えば、人類は、馬を飼い慣らし、戦争にも使ったのに、どうしてシマウマはいまだに家畜化されていないのか?とか。
それぞれの疑問には、合理的な答えが与えられています。
決して、派手な本ではないと思いますが、堅実に、しかも誠実に検証を重ねている良書ではないでしょうか。
『銃・病原菌・鉄』(下)
まずはそれを引用すると、「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」ということです。
本書には、既に沢山の素敵なレビュアーさんのレビューが累積しています。
この上、私が何を加えられるのだろうかとも思わないでもないのですが、読了しましたので書かせてくださいね。
著者は問います。現在でも石器を使う種族がいるのに何故文明社会はこれほどまでに進化したのか?
ある説は、文明社会が発展した(特に)ヨーロッパの人種が優れていたからなのだと。
それは、冒頭に書いた、著者の本書要約から分かるように、そんなことはないのだと言い続けているのが本書です。
人、人種の優劣で決まる要素などどれほどのものかということを論証しています。
本書(上)を読了して、目から鱗というような感覚はありませんでした。
ええ、それはむしろとても合理的に論証していたからこそなのだろうと思います。
ここで大切なことは、『学際』(あんまり良い言葉ではないのですが、要は、多くの学問分野に渡る知識を通覧し、該博な知識を身につける必用がある分野とでも言いましょうか)です。
例えば、本書では、植物学、医学、史学、考古学、文学、哲学、物理学、生物学……その他、それこそ人間の持っている『知』を総動員してかからなければいけないような切り口で考察をしています。
それが一番の魅力なのではないでしょうか。
相当昔のことですが、PCゲームに『シヴィライゼーション』というのがありました。
最初は、開拓民がどこか適当な土地に居場所を定め、食べていくための食料を得る努力をします。
その後、色々な発明をするのですが、それには段階があります。
農耕が見出された後で無ければ車輪は発明できないとか、系統だった順序があるんですね。
ゲームでは、その系統をいかに早く達成して、自国民を増やし、この世界を制覇するかというテーマでした。
まさに、本書は、そのメカニズムを解明しようとする意欲的な作品だと思います。
たとえば、人類は最初は狩猟民族でした。
そこから農耕民族が生まれるのですが、何故、狩猟から農耕に移行するのか?(いえ、農耕を知ってもそこに移行しない種族もいるのですよ)。
はたまた、農耕と定住は何故セットになり、あるいはならないのか?
農耕定住は何故、力を持ったのか?(それは安定した食料生産を可能にし、だから人口を多く養え、さらに生産に従事しない社会階層を養う余裕を生み出し、そこから文字などが生まれ……というまさに連鎖です)。
そのようなことどもを、大きな、ダイナミックな視点から分析しているのが本書です。
なかなかに興味深いテーマがありますよ。
家畜も考えさせられるテーマの一つです。
例えば、人類は、馬を飼い慣らし、戦争にも使ったのに、どうしてシマウマはいまだに家畜化されていないのか?とか。
それぞれの疑問には、合理的な答えが与えられています。
決して、派手な本ではないと思いますが、堅実に、しかも誠実に検証を重ねている良書ではないでしょうか。
『銃・病原菌・鉄』(下)
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:草思社
- ページ数:416
- ISBN:9784794218780
- 発売日:2012年02月02日
- 価格:945円
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