efさん
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贅沢は素敵だ! ……そうか~?
中国の皇帝、貴族、商人らがどんな贅沢をしてきたのかについて書いた本であります。
まあね~、色々やっただろうなぁと思いながらページをめくってみましたよ。
冒頭に出てくるのはタイトルにもなっている『酒池肉林』。
殷の紂王がやっちまったことなんですが、これ、今では結構誤解されていませんか?
『肉林』って……という誤解。
いやいや、これは、池に酒を満たし、当時は貴重品だった干し肉を枝に吊して贅沢な酒食にふけったことを指しているわけで、現在よく思われているような事ではないんですよぉ(私、ここのエピソードを中学で教えてもらったことをよく覚えています)。
まあ、確かにその傍らで裸の男女に鬼ごっこをさせてそれを見て楽しんでいたらしいので、そういう面ももちろんあったのでしょうけれど。
はたまた秦の始皇帝。
こいつ、建築マニアであります。
阿房宮は造るわ万里の長城は造るわ。そうそう、兵馬俑も造っちまった(その他多数)。
著者によるとどうやら全宇宙を支配し、冥界までもという発想からの造営だったとか。
しかし、そのためにどれだけ多くの人々を労役させたか、まあ、気が遠くなるような話であります。
前漢の武帝もかなりの建築マニアであります。
こいつが残した建築では長安から江都までつなげた大運河が特筆すべきところでしょうか。これ造ったの別に考え抜いた都市デザインというわけでもなかったようで、ただただ壮麗な船団を仕立てて行幸したかったからだけなんだって。
でも、結果的には海運に資する大変便利な運河になったわけで、まあ、結果オーライっすかね。
貴族たちも互いにその贅沢を競い合ったのだそうです。
皇帝は唯一無二の存在なので、他者と贅を競うなんていう意識はないのですが、貴族たちは自分の富を誇るために互いに競い合ったそうです。
それが結構アホなんですよ~。
王愷が貴重な乾飯で釜を炊くと、石崇はこれまた貴重な蝋燭で飯を炊くとか。別に何で炊いても同じじゃね~か! なんですが、こういう無駄な浪費を誇ったのだそうですよ。
豚に人乳を飲ませて育てるとかね(それ、美味しかったの?)。
宦官も贅沢しました~。
まあ、彼ら取っちゃったので、色の方は無理でありまして、じゃあどうしたかというと多くは美食に走ったのだとか。まあ、喰うわ喰うわ。
私のイメージでは、宦官って結構ぽっちゃり体型に描かれていることが多いように思っていたのですが、ホルモン異常からかな~と思っていたけれど、それはもしや贅沢な食事のなれの果て?
中にはおぞましい方向で贅沢(というのか? これを?)を尽くした奴もおりまして、明末の張献忠はとんでもない奴と『蜀碧』という書物に書かれているのだそうです。
こいつ、大量殺人鬼。明末期に反乱を起こし、一時は勢力を伸ばし、皇帝を自称するまでになったのですが、結局、清の攻撃を受け北京から追われてしまいます。
自棄になったんですかねぇ。この辺りからとんでもないことをやり始めます。「殺(シャー)! 殺! 殺!」であります。蜀の住人の皆殺しを始めるんですね~。部下にも報奨金を出して人狩りを奨励し、まあ、殺しまくったとか。
とんでもね~奴だな……。
商人も結構な贅沢をしたそうですが、この辺りは皇帝、貴族ではないので、史料としてはあまり残っていないのかもしれません。本書では『紅楼夢』や『金瓶梅』などを引いてその様子を語っています。
女性もやっております。
清の西太后。まあ彼女がとんでもないことをしたことは様々なところで書かれていますが、ここは食についてご紹介。
西太后専用の厨房には常時数百人の料理人が詰め、一日四回の食事を提供させたとか。
うち二回が正餐で毎回百皿の料理を並べさせ、あとの二回は『小吃(おやつ)』なのですが、それでも四〇~五〇皿を並べさせたそうです。
その詳細なメニューが本書に書かれているのですが、こんな量食べられるわけがない。
実際食べてないんですよ~。ほんの数皿を食べるだけ。箸をつけて気に入らなければそれ以上食べない。多くは箸もつけられず下げられ、捨てられたとか。
どの皿も超贅沢な料理ばかりだというのにですよ~。
こいつ、どういうつもりだ! フード・ロスの極みだな。
さてさて、こういう贅沢とは無縁に思索を深めた存在……とばかり思っていた『竹林の七賢』っていますよね。ところが! 本書によればそうでもなかったようなんです。
こいつら清貧を旨として……と私も思っていたのですが、実は全員貴族!(金には困らねぇぜ!)。
しかも結構なことをやっていたのだそうですよ。
概ね二派に分かれたそうですが、一派は酒浸り。劉怜なんかひどいもので、完璧アル中! あまりの鯨飲に妻が涙を流しながら「もう飲まないでください」と懇願した際、「わかった。神に誓って禁酒しよう」と言い、誓いを立てるための御神酒を持って来させそれをぐびぐび飲んでグデングデンになったとか(奥様、可愛そう……)。
もう一派は麻薬ジャンキーであります。なんかよく分からないのですが、当時、数種の鉱物から作った『五石散』という麻薬があったそうで、これを常用したのだとか。
これを摂取した際の惨状も本書に書かれているのですが、ほとんど廃人。
あの~……『竹林の七賢』ってこんな状態でどんな思索を深めたのでありましょうか?
まあね。
人は権力、財力を手にすると腐るという好例かもしれません。
今の世の中にも、そういうことやっているどっかの大統領とか主席とか、とんでもない人が何人もいますよねぇ。
ひどいもんだ……というか、普通の人達はこいつらのせいで大迷惑!
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)/237ページ:2026/04/03
まあね~、色々やっただろうなぁと思いながらページをめくってみましたよ。
冒頭に出てくるのはタイトルにもなっている『酒池肉林』。
殷の紂王がやっちまったことなんですが、これ、今では結構誤解されていませんか?
『肉林』って……という誤解。
いやいや、これは、池に酒を満たし、当時は貴重品だった干し肉を枝に吊して贅沢な酒食にふけったことを指しているわけで、現在よく思われているような事ではないんですよぉ(私、ここのエピソードを中学で教えてもらったことをよく覚えています)。
まあ、確かにその傍らで裸の男女に鬼ごっこをさせてそれを見て楽しんでいたらしいので、そういう面ももちろんあったのでしょうけれど。
はたまた秦の始皇帝。
こいつ、建築マニアであります。
阿房宮は造るわ万里の長城は造るわ。そうそう、兵馬俑も造っちまった(その他多数)。
著者によるとどうやら全宇宙を支配し、冥界までもという発想からの造営だったとか。
しかし、そのためにどれだけ多くの人々を労役させたか、まあ、気が遠くなるような話であります。
前漢の武帝もかなりの建築マニアであります。
こいつが残した建築では長安から江都までつなげた大運河が特筆すべきところでしょうか。これ造ったの別に考え抜いた都市デザインというわけでもなかったようで、ただただ壮麗な船団を仕立てて行幸したかったからだけなんだって。
でも、結果的には海運に資する大変便利な運河になったわけで、まあ、結果オーライっすかね。
貴族たちも互いにその贅沢を競い合ったのだそうです。
皇帝は唯一無二の存在なので、他者と贅を競うなんていう意識はないのですが、貴族たちは自分の富を誇るために互いに競い合ったそうです。
それが結構アホなんですよ~。
王愷が貴重な乾飯で釜を炊くと、石崇はこれまた貴重な蝋燭で飯を炊くとか。別に何で炊いても同じじゃね~か! なんですが、こういう無駄な浪費を誇ったのだそうですよ。
豚に人乳を飲ませて育てるとかね(それ、美味しかったの?)。
宦官も贅沢しました~。
まあ、彼ら取っちゃったので、色の方は無理でありまして、じゃあどうしたかというと多くは美食に走ったのだとか。まあ、喰うわ喰うわ。
私のイメージでは、宦官って結構ぽっちゃり体型に描かれていることが多いように思っていたのですが、ホルモン異常からかな~と思っていたけれど、それはもしや贅沢な食事のなれの果て?
中にはおぞましい方向で贅沢(というのか? これを?)を尽くした奴もおりまして、明末の張献忠はとんでもない奴と『蜀碧』という書物に書かれているのだそうです。
こいつ、大量殺人鬼。明末期に反乱を起こし、一時は勢力を伸ばし、皇帝を自称するまでになったのですが、結局、清の攻撃を受け北京から追われてしまいます。
自棄になったんですかねぇ。この辺りからとんでもないことをやり始めます。「殺(シャー)! 殺! 殺!」であります。蜀の住人の皆殺しを始めるんですね~。部下にも報奨金を出して人狩りを奨励し、まあ、殺しまくったとか。
とんでもね~奴だな……。
商人も結構な贅沢をしたそうですが、この辺りは皇帝、貴族ではないので、史料としてはあまり残っていないのかもしれません。本書では『紅楼夢』や『金瓶梅』などを引いてその様子を語っています。
女性もやっております。
清の西太后。まあ彼女がとんでもないことをしたことは様々なところで書かれていますが、ここは食についてご紹介。
西太后専用の厨房には常時数百人の料理人が詰め、一日四回の食事を提供させたとか。
うち二回が正餐で毎回百皿の料理を並べさせ、あとの二回は『小吃(おやつ)』なのですが、それでも四〇~五〇皿を並べさせたそうです。
その詳細なメニューが本書に書かれているのですが、こんな量食べられるわけがない。
実際食べてないんですよ~。ほんの数皿を食べるだけ。箸をつけて気に入らなければそれ以上食べない。多くは箸もつけられず下げられ、捨てられたとか。
どの皿も超贅沢な料理ばかりだというのにですよ~。
こいつ、どういうつもりだ! フード・ロスの極みだな。
さてさて、こういう贅沢とは無縁に思索を深めた存在……とばかり思っていた『竹林の七賢』っていますよね。ところが! 本書によればそうでもなかったようなんです。
こいつら清貧を旨として……と私も思っていたのですが、実は全員貴族!(金には困らねぇぜ!)。
しかも結構なことをやっていたのだそうですよ。
概ね二派に分かれたそうですが、一派は酒浸り。劉怜なんかひどいもので、完璧アル中! あまりの鯨飲に妻が涙を流しながら「もう飲まないでください」と懇願した際、「わかった。神に誓って禁酒しよう」と言い、誓いを立てるための御神酒を持って来させそれをぐびぐび飲んでグデングデンになったとか(奥様、可愛そう……)。
もう一派は麻薬ジャンキーであります。なんかよく分からないのですが、当時、数種の鉱物から作った『五石散』という麻薬があったそうで、これを常用したのだとか。
これを摂取した際の惨状も本書に書かれているのですが、ほとんど廃人。
あの~……『竹林の七賢』ってこんな状態でどんな思索を深めたのでありましょうか?
まあね。
人は権力、財力を手にすると腐るという好例かもしれません。
今の世の中にも、そういうことやっているどっかの大統領とか主席とか、とんでもない人が何人もいますよねぇ。
ひどいもんだ……というか、普通の人達はこいつらのせいで大迷惑!
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)/237ページ:2026/04/03
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:講談社
- ページ数:248
- ISBN:9784061595798
- 発売日:2003年01月09日
- 価格:882円
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