僕の名はアラム





『我が名はアラム』として知られている作品の新訳です。ウィリアム・サローヤンという作者の名前が語り継がれるとしたら、それはひとえに「世界に詩と若さがあった古きよき日々」を描いたこの作品のおかげでしょう。
ウィリアム・サローヤン(1908-1981)は、アルメニア系移民の子供として、アメリカのカリフォルニ…

本が好き! 1級
書評数:2351 件
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「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。





『我が名はアラム』として知られている作品の新訳です。ウィリアム・サローヤンという作者の名前が語り継がれるとしたら、それはひとえに「世界に詩と若さがあった古きよき日々」を描いたこの作品のおかげでしょう。
ウィリアム・サローヤン(1908-1981)は、アルメニア系移民の子供として、アメリカのカリフォルニ…




「人間には考えること、信ずることがあるが、また気質というものもある。人生はおそろしく、何も期待すべきものはないと考えながらも、同時にいつも陽気でいることもできるのだ。自分がそうだ」(作者の言葉)
2006年に刊行された「本書は十の短編から成るが、『シンメトリー』(1991)をのぞく他の九篇は今世…





「あのころ、人生で挫折することこそ唯一の美徳であるように私には思われていた」(訳者山田稔の解説に引用されているジョージ・オーウェルの言葉)
「今ではもう私は昔のように、自分の人生をこれからどう生きるのだろうと自問したりしない。どう生きてきた…




『殺戮の月』に登場する強盗俳優グロフィールドが、作中で使っていた偽名がアラン・グリーンでした。もちろん、本書の作者の名前ですが...
アラン・グリーンというのは、実は比較的ありふれた名前のようで、Wikipediaで調べても、他に同名…




自分の寝室で惨殺された美人モデル、その殺人が行われている最中、隣の部屋では彼女の5歳の娘が人形を抱え、恐怖に怯えて隣室の叫び声を聞かないように人形に話し続けていました。87分署シリーズ第二十作です。
前作『灰色のためらい』がシリーズ異色作だったこともあり、1965年刊の本書では刑事たちの視点で物語が…





「『この女のひと、いくつ?』 『35か40です』 『命とりになった病気は...?』 『人生です』とわたしは言った」(本書より)
1961年刊の本書の作者ロス・マクドナルドは、ハメット、チャンドラーを継ぐ正統派ハードボイルド作家と…





87分署シリーズ第十九作の本書は、シリーズの中の異色作ですが、同時にシリーズの枠を超えて大変な意欲作でもあります。
1956年の『警官嫌い』に始まった87分署シリーズも、10年経過し、19作を数えるようになって、作者…





パーカーと強盗俳優グロフィールド、そして「パーカーズ11」が活躍する、悪党パーカー・シリーズ第十六作にして、シリーズの総決算とも言うべき傑作!
1974年刊の本書は、その二作前の『殺人遊園地』(1971年)のダイレクトな続編ですが、それだけにと…





「今後、自力で歩けない者は自決せよ」太平洋戦争のインパール作戦の退却路で下された命令です。日本軍が作り出した地獄で、戦死、餓死、病死、自決のみならず、自軍に殺された兵士の姿も語られている証言の書です。
「防衛庁戦史室編纂の『インパール作戦』によると、作戦参加者人員は、当初は八万五千六百名で、作戦途中に…




「わが国では、12歳未満の児童を対象にしたレイプ事件が昨年5800件発生し、11歳から17歳までの子供のレイプ事件は約一万件起きている」(本書より)南アフリカ共和国からの印象的なミステリーです。
アフリカーンスという言語があります。南アフリカ共和国の公用語の一つで、Wikipediaによると「オ…



「もはや名前もわからなくなった人々を死者の世界に探しに行くこと、文学とはこれにつきるかもしれない」(本国フランスで本書に寄せられた批評より)
「彼らはこの世に生きた証拠などろくに残していない人たちだ。ほとんど無名と言ってよい。私は彼らが住んで…




両親はアイルランドからボストンへの移民、作者はその地で生まれたものの、10歳の時に両親と共にアイルランドに戻りました。こういう経歴に接すると、国家という単位で人をくくる馬鹿らしさをあらためて感じます。
メアリ・ラヴィンの短編集を読むのは『砂の城』についで2冊目です。両冊とも日本独自編纂ですが、表題作の…




内気で人見知りする若い新聞記者(そもそも職業の選択が正しかったのかとは思いますが)ティベは、ある日、以前はネコだったというミヌースという女性と知り合い...という楽しい物語です。
「いいかい、ティベ、きみはいいやつだ、それに文才もある。だが、ここは新聞社だ。新聞はニュースを知らせ…





成瀬巳喜男とクロード・シャブロルという映画史に残る二人が、この作品を映画化しています。また、渡辺淳一の『愛の流刑地』の元ネタでもあるようです。
題名の「細い線」とは、正常と異常、現実と妄想を隔てる境界線のことです。 物語と展開はシンプルで…




20世紀のアメリカ=資本主義の発展と実像を描いた『U.S.A』三部作の第二作です。あまりにも「リアルタイム」な作品のため、現在ではあまり読まれなくなってしまったのは残念です。上下巻通しのレビューです。
本書は、20世紀を代表する作家と一時は評価されながらも、現在の日本ではほとんど読まれなくなった作家ド…





『十二人の怒れる男』(1957年)という有名な映画があり、元々はテレビドラマ(1954年)なのですが、あの作品は1940年刊の本書からヒントを得たものだろうと思っています。
「人間の存在を決定するのは意識ではなく、反対にその社会的存在が彼らの意識を決定するのである」(本書冒…




原題は「新しいがごとき人生」で、邦題よりずっと皮肉なものです。しかし「新しい人生」というものは誰にでもできるのでしょうか。
ジョルジュ・シムノンの作品の主人公には、自発的か受動的かは別として、現在の人生を捨てて全く新しい人生…




「殺人を犯しても罪にならない方法を知っている」体重60キロに満たない小男ドナルド・ラムと、彼が雇われた私立探偵事務所の所長、体重100キロはありそうな大女バーサ・クールが活躍するシリーズの第一作です。
E.S.ガードナーといっても、今の若い方はなじみがないかもしれません。刑事事件専門の法廷弁護人ペリー…





「古い映画のポスターが壁を埋めつくし」「アダムズファミリーの家みたい」な「閉所恐怖症になりそうな部屋」に住んでいる始末屋ジャック初登場!上下巻併せてのレビューです。
「ジャックは映画に狂っていたー古い映画、新しい映画、いい映画、ひどい映画、何でもいいのだ」 始…




斧が頭に突き刺さった状態で発見された86歳の老人...スティーヴ・キャレラ刑事とコットン・ハウズ刑事がこの血なまぐさい殺人事件を探ります。1964年刊の87分署シリーズ第十八作です。
このシリーズの魅力としては、事件の解決にあたる刑事たちの地道な活躍の描写、若しくは刑事たちやその家族…