楽しい悪夢




ロバート・ブロックの短編集のレビューも、これで四冊目になりました。1960年刊の本書は彼の第二短篇集ですが「直接的」かつ「露骨」なブロックらしい恐怖と怪奇が味わえます。
ロバート・ブロックに関しては、余計な説明は要らないでしょう。本書には12の作品が収められています。そ…

本が好き! 1級
書評数:2351 件
得票数:45055 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。




ロバート・ブロックの短編集のレビューも、これで四冊目になりました。1960年刊の本書は彼の第二短篇集ですが「直接的」かつ「露骨」なブロックらしい恐怖と怪奇が味わえます。
ロバート・ブロックに関しては、余計な説明は要らないでしょう。本書には12の作品が収められています。そ…





「他の男と結託することで、 ぼくをあの墜落から救ってくれた、 魅惑的なエドナに」(本書収録『忘却への墜落』の巻頭)
表題作『蠅』は、デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画『ザ・フライ』(1986年)、またはカート・ニ…





「朝鮮戦争とベトナム戦争のあいだの、ロックンロールが完成に近づいたころ」(本書収録『荒廃地帯』より)に青春を過ごした作者が語る、風と人が通り抜ける街シカゴの記憶。
1990年刊の本書の原題は'The Coast of Chicago'、直訳すると「シカゴの海岸」で…




鉄道怪談というとまず思い出すのは、マルセル・シュオップ『列車081』、チャールズ・ディケンズ『信号手』ですが、本書は、鉄道怪談ばかり集めた「ポーランドのラヴクラフト」と呼ばれる作家による短編集です。
「訳者が出版のあてもなく本書の訳出を始めたのが2014年3月末か4月頭のこと。一篇ずつ訳しては電子書…



前作『殺人遊園地』の最後で、7万3千ドルの大金をあきらめざるをえなかったパーカーは、本作ではゲルピン(若い人はわからないかな?)のせいもあったのか、美術品の強奪計画に加わるのですが...
1972年刊の悪党パーカー・シリーズ第15作です。実は、このシリーズは、次作の『殺戮の月』(1974…





「手や命を捧げられることを期待するような国家に、いったいどんな愛国心をもてばいいというんだろうね」(本書登場人物の言葉) 同じ作者による『そこに僕らは居合わせた』に続いての、第二次大戦の証言です。
「第二次世界大戦が終結して70年になります。敗戦国となったドイツは大きな代償を支払うことになりました…





「青年たち以上に絶えず死を考えている者などありはしない」(ポール・ニザン著『陰謀』より) 62歳の誕生日前に自殺したヘミングウェイが、28歳の時に発表した本書には既に死と老いが色濃く影を落としています。
「ぼく自身は眠りたくなかった。暗いなかで目を閉じたままにしていると、魂が身体から脱けだしていくのを、…




「(壁に古代スラヴ語の血文字を書いた)犯人は非常に博学な学者か、さもなければ五百年ばかり冷凍されて生き続けてきた何者か、とでも考えるほかはありません」(本書より)上下巻あわせてのレビューです。
第二次大戦中、吸血鬼伝説が多々残るトランシルヴァニアの山中のディヌ・バスという村を通る街道の確保を命…





照準器付ライフルを使った、狂気のスナイパーの仕業に見える連続射殺事件に挑む、キャレラ刑事とマイヤー刑事、60年代の87分署シリーズを代表する作品です。
貿易会社の副社長、弁護士、売春婦、イタリア移民の果物屋...照準器付ライフルを使って遠距離から一発で…




1935年から1963年までに発表された中から選んだ13作品と、ロバート・ブロックとSFを論じた文章が収録されていて、彼がいかに映画好きであったかがよくわかる、日本独自編纂の短編集です。
ロバート・ブロックなら、長編から短編まで50作近く(本書刊行1976年時点)訳している仁賀克維が、そ…





本書の一章もしくは一編である『雨の中の猫』は、猫のショート・ショートのアンソロジーを作るなら、外すことなど考えられない名作です。
シャーウッド・アンダスンが1919年に発表した『ワインズバーグ・オハイオ』は、半ば独立した短編小説を…





SFでもあり、ホラーでもあり、ファンタジーでもあり、ブラッドベリを連想させる短編集です。
最近「奇妙な味」の本が読みたいと思い、初読の短編集を二冊ほど手をつけたのですが、冒頭の一編がどうも個…




1913年刊の本書は、ジャック・ザ・リッパー事件をモデルに書かれた多々ある作品の中でも、草分け的なものでしょう。また、ヒッチコック監督が1927年に映画化し、彼の出世作となったことでも有名です。
最近読んだヘミングウェイ著『移動祝祭日』の中に次のような一節がありました。 「(ガートルード・…




パトリック・モディアノが年末に読むにふさわしい作家なら、年の初めはジャック・リッチーあたりが無難でしょう。
本書は『クライム・マシン』『10ドルだって大金だ』に続く、日本オリジナルのジャック・リッチー傑作集で…



「男たち、女たち、子どもたち、犬たち。この途切れることのない流れ中で、通り過ぎた、あるいはさまざまな通りの彼方に消え去った彼らの中で、人は時おり、ある面ざしをとりとめたい、と希う」(本書より)
「記憶」を語る作家パトリック・モディアノは、去る一年と来る一年を思う、この時期に読むのがふさわしい小…





強奪した7万3千ドルを持ったまま、出口が一か所しかない遊園地に追い込まれたパーカー、彼を狩り出そうとするギャングは総勢20名、果たしてパーカーの運命やいかに?シリーズ第十四作です。
俳優強盗グロフィールドと共に、銀行の装甲車から7万3千ドルを強奪したパーカーですが、逃走用に雇ったド…




「たとえば、どんな」 Like what? 「たとえば、愛」 Like love (キャレラ刑事とハウズ刑事の会話より) 刑事たちの行動より、犯行の動機 Whydunit を中心に据えた87分署シリーズの異色作です。
1962年刊のシリーズ第十六作です。本書は異例の出だしを見せてくれます。このシリーズの主役格であるス…





「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ」(作者の言葉) 私にとって、これぐらい真実な言葉はありません。
先に引用した文章は、本書の冒頭に掲げられているものです。そして、次に引用する文章は、本書の最後の部分…





「私はウォーレン委員会が嘘をついていると断言することを躊躇しない。狙撃地点を斜面からだと証言した58人の言葉を委員会は否定してしまったのだ」(作者の言葉)
「大統領の傷口についてのジャクリーヌ夫人の証言は削除する」「パークランド病院の医師達が言ったとされる…





「かわいいカトリーヌ、ちょっとしたことで人生はずっとすばらしくなるんだ…ちょっとしたこと…自分をとりまく環境や人々のことでね…」作中のカトリーヌのパパの言葉です。
ノーベル賞作家パトリック・モディアノと『プチ・ニコラ』の挿絵で知られるジャン=ジャック・サンペのコラ…