松本清張短編全集 3




光文社文庫版の『松本清張短編全集』の第三巻です。権威なり権力なりを確立した人間に対する反感が彼の作品の屋台骨であることを感じさせる作品が多く収録されています。
本書には、8作が収められています。例によって、特に印象的なものを紹介します。()内は初出年です。 …

本が好き! 1級
書評数:2372 件
得票数:45454 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。




光文社文庫版の『松本清張短編全集』の第三巻です。権威なり権力なりを確立した人間に対する反感が彼の作品の屋台骨であることを感じさせる作品が多く収録されています。
本書には、8作が収められています。例によって、特に印象的なものを紹介します。()内は初出年です。 …




「精神病院の浴室で、患者が風呂の中に釣り糸を垂れ、じっと見ている。医者がからかい半分に『どう?釣れますか』と聞いたら、患者が答えて『釣れるわけないでしょ。ここは、風呂場ですよ』」(星新一の好きな小話)
1961年刊の星新一の第三短編集です。35作収録されていますが、それまでの短篇集には、ショートショー…





「新聞で読んだことはありませんか?ひとりの男を破滅させておきながら、なんの罰も受けずにいる公僕がいることに関する記事です」(本書主人公の台詞)冤罪や部下の自殺を招いた個人の罪を日本はなぜか問いません。
上下巻併せてのレビューです。1976年にワルシャワで生まれた作者ジグムント・ミウォシェフスキの検事テ…




「パパ、褐色って、白色より絶対いいんだよね?」「そう考える人もいるよ。だけどね、アメリカ人っていうことの方が、そのどっちよりもいいことなんだ」(本書収録『黒いボール』の親子の会話より)
ラルフ・エリスン(1914-1994)は、主に『見えない人間』(1952年)で20世紀を代表する黒人…



モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』を連想させる絵本ですが、ちょっと「リアル」なのが、不思議な印象を与えます。
1933年にエジプト生まれで今はイギリスで暮らしているペネロピ・ライヴリー(本書ではペネロープ・リベ…




「牢の中に閉じこめられてるってことと、牢の外でも閉じこめられてるってことは、あんまり変わらない(中略)おれたちはどこにいようと、みんな手錠をかけられてるんだよ!」(本書登場人物の台詞)
作家の柳美里さんは、2015年に福島県南相馬市に移住しました。4月7日に放送されたNHK福島の『はま…




「ドラッグ使用者はわたしが請ける案件の大きな割合を占める。依存症患者、年金生活者、自殺者は、死後発見されない確率の高い三大グループだ」(本書より)孤独死のあった部屋の特殊清掃人がヒロインの小説です。
2022年刊の本書が処女作の作者C.R.ロバートソンは、イギリスのスコットランドで20年以上のキャリ…





「神は偉大なり」とはちっとも思わないのですが、「ドストエフスキーは偉大なり」という言葉は、人類が存続する限り、真実でしょう。本書には『貧しき人びと』『地下室の手記』『罪と罰』の3作が収録されています。
「ドストエフスキーを論ずるあらゆる著作は、人類がこの作家を認めたという地点から出発しなければならない…





「もったいない」を世界に広め、ノーベル平和賞も受けた、ケニア生まれのワンガリ・マータイ(1940-2011)は、実在の「木を植えた人」でした。
フランスの作家ジャン・ジオノ(1895-1970)の小説に『木を植えた男』(1953年)という短編が…





「あの動物に酒を飲ませちゃいけません!」「動物だと!おまえだって動物じゃないか。あいつはキリスト教徒のように酒をたしなむんだ。そこをどけ」(本書中の会話より)
H.G.ウェルズ(1866-1946)が1896年に発表したSFの古典です。映画化されたものも二本観…



ブッツァーティは21歳の時に入社したミラノの新聞社《コッリエール・デラ・セーラ》で、編集長を含む様々な仕事を務め、死ぬまでそこで働きました。本書は彼が新聞に載せた記事やコラム集です。
ディーノ・ブッツァーティ(1906-1972)は、20世紀イタリアを代表する作家の一人です。彼は、ミ…





私が読んだ範囲では、ヒラリー・ウォー最高の作品だと思います。
ヒラリー・ウォー(1920-2008)というと、まずは『失踪当時の服装は』(1952年)、『事件当夜…



トランプ政権によるマドゥロ大統領の誘拐、2026年2月のインフレ率が618%、WBC優勝など、最近話題の多いベネズエラですが、日本に紹介された小説は多くありません。ということで、本書を手にしました。
ミゲル・オテロ=シルバ(1908-1985)は、ベネズエラに生まれましたが、生涯、政治に深く係わった…





「現在、フランスで最も上演されている劇作家は誰か、それがジャン=リュック・ラガルスである。HIVに感染し、1995年、『ルル』の稽古中に倒れ、わずか38歳の若さでこの世を去った」(本書解題より)
ジャン=リュック・ラガルス(1957-1995)は、本書解題によれば「20年に満たない期間に、25本…



このシリーズの主人公「スミスの宇宙冒険物語は、人間の生命、精神、心、魂を吸い取って糧にしようとする吸血鬼ともいうべき、吸血鬼の変形であるエイリアン・モンスターたちとの戦いである」(本書解説より)
C.L.ムーア(1911-1987)は、本書収録の『シャンブロウ』(1933年)でデビューしたSF・…




「マイナス45度では、唾が雪の上ではじけることは知っていたのだが、今吐いた唾は空中で砕けた。いまや温度がさらに下がっているのはまちがいない」(本書収録『たき火』より)
ジャック・ロンドン(1876-1916)の短編集を読むのは、これが初めてです。訳者あとがきによると、…



「飛行機にはみんな人が乗っているんだ、撃ってくるのも爆弾を落とすのも、その人たちなんだ。砲弾が飛びでてくる大砲も、みんなその後ろには人がいる」(本書中の台詞)
本書のことは、ぱせりさんの書評で知りました。感謝いたします。 作者クリスチーネ・ストリンガー(…




「大人がどれほど多くの人を戦争で殺したと思ってるんだ?とりわけああいう連中を。ユダヤ人とかロシア人とかもだ」「ああいう連中ってどういう意味だい?」「頭がおかしい連中のことさ」(本書中の会話より)
本書に収録されている作者の『日本の読者のみなさんへ』という文には、次のような記述があります。 …




「われわれをまともに扱ってくれるところが故郷だ。子どものときに虐待された親の家には、大人になってもけっしてセンチメンタルな愛情のこもった思い出など持たないだろう」(本書登場人物の台詞)
菅原万亀さんの書評で、本書のことを知りました。感謝いたします。 作者イルムガルト・コイン(19…




「4年ぶりにアメリカ合衆国大統領へと返り咲いた御仁による、無節操で思慮を欠いた振舞いと、時代錯誤ともいうべき自国第一主義がもたらす不穏なニュースが、メディアを騒がせない日はない」(本書解説の冒頭句)
2023年刊の本書は、新人作家ケン・ジャヴォロウスキー(名前からして東欧・ロシア系でしょう)が、現在…