カラマーゾフの兄弟1





「神さまが世界をお造りになったのは最初の一日目ですよね。で、太陽とか、お月さまとか、お星さまは四日目でしょう。だったら世界って、最初の一日目はどうやって光ってたんだろう」(本作登場人物の台詞)
全5巻まとめてのレビューです。フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー(1821-1881)の…

本が好き! 1級
書評数:2323 件
得票数:44519 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。





「神さまが世界をお造りになったのは最初の一日目ですよね。で、太陽とか、お月さまとか、お星さまは四日目でしょう。だったら世界って、最初の一日目はどうやって光ってたんだろう」(本作登場人物の台詞)
全5巻まとめてのレビューです。フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー(1821-1881)の…





「私がいなければあなたは生きていけないわよ」 こんなことを20歳の女性に言われる、じきに50歳になる主人公の話ですが、主人公のみならず男性読者の偽善をも糾弾するラストが待っています。
20世紀イタリア文学を代表する作家の一人ディーノ・ブッツァーティ(1906-1972)は、長篇小説を…




「すべてのドイツ人が1933年3月を境に別人になった。わたしが常々言うように、”銃口の前では、誰もが国家社会主義者”なのだ」(本書より) 1933年3月、ヒトラーは国会選挙の結果、政権を掌握しました。
「人それぞれに腐敗の形があるというのが、国家社会主義政権下の生活のきわだった特徴だろう。政府は、ワイ…




「だが、グレースはいったではないか。あのとき生徒たちが抗議したのは、学校で、自分たちの頭に『ごみ』をつめこまれることに抗議したのだと。じゃあ、自由になった学校では、なにを学ぶのだろう」(本書より)
作者のビヴァリー・ナイドゥーは、1945年、アパルトヘイト政策下の南アフリカに生まれた白人女性です。…




「世間には『犬にも劣る』などという言葉があるが、そういうことを言う人間の大半は、実際に犬に比べてはるかに下等な動物だ」 志賀直哉の短篇『菰野』では主人公がこういう趣旨のことを飼犬に呟いているそうです。
安岡章太郎(1920-2013)は、もちろん名前は知っていましたが、初読みです。代表作は何かと聞かれ…




「ネコの手を借りる」とは、よく言いますが、「ネコの足を借りる」お話です。
本書の作者紹介には、次のように書かれています。 「作者はネコだけを診察するキャットドクターです…



1960年代から70年代にかけて、SF・ファンタジーの分野で活躍したケイト・ウィルヘルムは、80年代からミステリーも手掛けるようになり、80年代後半からはそちらに注力していたようです。
ケイト・ウィルヘルム(1928-2018)は、SF・ファンタジー作家というイメージが、たぶん一般には…




「実績とは過去です」「AIは正確であっても正解ではありません」 少し前の朝日新聞に掲載されていた特集で語られていた棋士・藤井聡太の印象的な言葉です。藤井聡太というと、私が思い出すのは升田幸三なのです。
最初にお断りしておきますが、この拙文では敬称を略させていただきます。というのは、升田幸三については「…



ティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』では、ヴェトナム戦争に参加した米兵の一部が殺した敵の耳を集めていた描写があります。では、それが片手だったら、何が違うのでしょうか。
本多勝一のヴェトナム戦争のルポ『戦場の村』(1968年)には、次のような描写があります。 「上…




終戦直後の日本推理小説界は、幾多の傑作を世に出しましたが、『本陣殺人事件』もその一つだと思います。他に『蝶々殺人事件』と『獄門島』という、作者が自選ベスト5に挙げているうちの3長篇が収録されています。
横溝正史(1902-1981)は、戦前から活躍していましたが、その名を残すことになったのは、やはり金…



「わたしは昔から、何かをしろといわれるのがきらいだった。こいつは、この商売では気質上の欠陥ということになる」 主人公の私立探偵アルバート・サムソンの述懐ですが、その通りですね。
アメリカ生まれで、インディアナポリスで育ち、その最も有名な私立探偵アルバート・サムソン・シリーズもイ…



「僕は世界を小さな目から見ているんだ。その目はあまりにも小さいので、世界の方は見られていることに気づかないのさ」(本書収録作『ウーリー』の登場人物の台詞)
「僕の詩を読んでくれるのは、だいたい僕の友だちぐらいだろうと思っている。でも僕の本は僕の友だちの数よ…




原題はボストンの地名が使われている"The Black Bay Murders"です。この邦題と表紙の絵からお分かりかりかもしれませんが、白いペルシャ猫が重要な役割を演じるミステリーです。
日本では江戸川乱歩が絶賛した『エンジェル家の殺人』(1932年)が、おそらく最も有名なロジャー・スカ…




先に読んだレイラ・スリマニの『アデル 人食い鬼の庭で』の内容は、本書の影響大と思われたので、数十年ぶりに読んでみました。
本書の作者ジョゼフ・ケッセル(1898-1979)は、共にスラヴ系ユダヤ人の両親の元で、アルゼンチン…




「しかし女優というのは、自分を解き放つことを知らなくてはならないのですよ、マドモアゼル」(本書登場人物の台詞) しかし「自分を解き放つこと」ができる人間はどれくらいいるのでしょうか。
主人公は、パリで成功した医師である夫との間に子供を一人もうけ、ジャーナリストとしても働いている30代…



本書は1959年刊ですが、実は、シャガールが同題のリトグラフを1952年に発表しています。
モンテネグロの作家ミオドラグ・ブラトーヴィッチ(1930-1991)は、少し前に読んだ『ろばに乗った…





「世論の専制は、変わった人間を非難するものだ。だから、まさしく、この専制を打ち破るために、われわれはなるべく変わった人になるのが望ましい」(本書より)
ロンドン生まれのJ.S.ミル(1806-1873)は、カール・マルクス(1818-1883)や、フリ…





素晴らしい詩と素晴らしい訳文と素晴らしい絵、素晴らしい絵本です。ですが、あえて出版社に注文するならば、大型本で出してもらいたかったと思います。
まず、題名となっている詩を紹介します。 「あのね ふしぎなことが あるんだ だれか ものし…



無政府主義者の主人公が、同じ組織の人間が無差別爆弾テロに走るのを阻止しようとするという話です。シムノンはメグレ警視シリーズも含め、けっこう読んでいるのですが、こういう小説は初めてでした。
本本書は1938年に出版されました。この年は、シムノンが長篇第十九作『メグレ再出馬』(1933年)を…



「人間というものは、この地上で不幸にして人間と同じ食物をとって生存するように運命づけられている動物たちに、食料の獲得権を認めてやろうという考えにはなれぬもののようである」(『アザラシのサミー』より)
1978年に世界動物文学全集の一冊として出版された本書には、アザラシ、猫、犬をそれぞれを題材にした、…