スモールワールズ




 
  

甘くない人生を生きる人達を容赦なく描きながらも寄り添うように温かい。ぐるりと閉じられた先に人生ってこういうものだよねと苦くも心広がるような、不思議で深い余韻が体中に響き渡る。中毒性を孕む一穂ワールド。
色とりどりの人生の断片を見事に紡ぐ6つの短篇。それぞれ短い物語でありながらその人物たちが鮮やかに立ち…

					本が好き! 1級
					書評数:604 件
					得票数:10215 票
					
ジャンル問わず、読みたい本を
雑多に読んでいます。
共通の、また新しい世界を
一緒に楽しめたら幸せです。
よろしくお願いします。




 
  

甘くない人生を生きる人達を容赦なく描きながらも寄り添うように温かい。ぐるりと閉じられた先に人生ってこういうものだよねと苦くも心広がるような、不思議で深い余韻が体中に響き渡る。中毒性を孕む一穂ワールド。
色とりどりの人生の断片を見事に紡ぐ6つの短篇。それぞれ短い物語でありながらその人物たちが鮮やかに立ち…




 
  

少年の煌めくような日々に暗い影を落としていく6歳の少年の失踪事件。蟻地獄へと沈んでいくような「罪」が生み出す新たな地獄。冷静なる観察者・ルメートルならではの新境地。
村一体が顔見知りの小さなボーヴァル村で起きた6歳の少年の失踪事件。ツリーハウス作りに夢中になった少年…




 
  

生きていく上で避けられない喪失の哀しみも、人生の失敗も、陽だまりのような庭で心を伸ばし全てを柔らかに救い上げてくれる。明日を灯し「生きる」ということを鷹揚に包み込む物語。
なんて愛おしい物語だろう。木皿さんの著作「すいか」の物語が、それを象る人達が、いつまでも胸に残り幾度…




 
  

彼岸と此岸、夢と現実、闇と光。相反する世界を事も無げに並列世界へと導き、小説と随筆を隔てる区分すら軽やかに消し去る。人の感知する境界線の全てを朧に包んでいく百閒の物語に身を委ね、惑う幸せ。
内田百閒の世界を小川洋子さんが編む。この幸せなアンソロジーの各短篇に添えられた小川さんの想いが余韻を…




 
  

フードファイターという沢山食べる能力に突出したアスリートたち。限界を越えて踏み出す精神力の先に訪れる圧倒的な膨満感。体全身がはちきれそうにエキサイティング!
「底が見えた気がした」。 フードファイターにとって一番恐ろしい瞬間ではないだろうかと思われる場…



 
  

「いつも心に伊藤野枝を」読者の心にしっかりと根を降ろし豪快に笑う野枝。なんと力強い友人を得たのだろうか。
本書を読み通す間、交互に脳内を駆け巡るアナーキー・イン・ザ・UKと監獄ロック。 こんなことで負…




 
  

震えるような孤独と恐怖の中に透き通るように美しい景色を見る。野江が憑依したように物語る、圧巻の見事な傑作。
真っ暗な深い闇の底、一条の光を浴びるような小さく丸い空の青。声も出ず、痛みも感じない、唯ひとり置かれ…




 
  

生きるということの翳りと再生を描く、魂の軌跡の物語
忙しく走り回る人で溢れる世界。ヤンもまたどこか遠くに自分の魂を置き忘れてきてしまった一人だった。しか…




 
  

過去作品を内包しながら失神と覚醒を繰り返し、世界の理をいとも鮮やかに振りほどいていく受胎告知の旅。
ある夫婦の新婚旅行の話であることが冒頭に明記され始まる、過去作品を内包した圧倒的な山尾ワールド。「新…




 
  

仄暗い高揚感を伴う「生きる」ということの泥臭さが美しい。
「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」 始まりにして絶望へと続く終焉とも言える最初の一行目で全…
 
  



 
  

完全に幸福だった時間たちの儚い甘やかさが切なくも美しい。
「クマのプーさん」挿絵画家E・H・シェパードが7~8歳の頃に過ごした、ヴィクトリア朝の英国ロンドン。…




 
  

辺りを銀色に染めながら歩く、お月さまの幸せの夕べ
太陽が沈み深い紺碧に染まる世界にそうっと優しい光を連れて現れるお月さま。空に浮かんで皆を遠くに見てい…
 
  



 
  

死刑執行人としての運命を背負い生きたサンソン家の長きに渡る苦悩。自らの想いと課せられた役割の狭間で生涯苦しみ抜いた一族の慟哭のような手記は、現代の歪んだ正義への警告のようにも思えた。
フランス革命期にパリの死刑執行人を務め、ルイ十六世やアントワネット、ロベスピエールなどを含む3千人に…




 
  

ゴッホの絵に息づく詩情の美しさ。その身を削るように生きたゴッホの人生を知る入門に最適の1冊。
「僕は聖書を全部空で覚えてしまいたい。その言葉の光の中で、人生を見つめたいのだ」 根底には限り…



 
  

憧れの?魔女になるための魔法の書。
マルカム・バード(訳)岡部史(金の星社)P95 憧れの?魔女になるための11のレッスンが詰まっ…




 
  

知っているはずのその感触が不意に変質する静かな寒気に戦慄しながらも魅了されていく。
日本の古い怪談にも似た世界観を感じるマンビー古書怪談集。 恐怖を恐怖として煽り立てるものではな…




 
  

呪いでも祟りでもない<現象>再び。かつてない厄災の日々が渦巻く、最凶にして最高の快作!
「考えて。___そして思い出して。」 帯を見てしまった故、考えて、思い出してしまった過去の厄災…




 
  

どこか少し重力の軽い涼やかな世界
著者のエッセイは、現実に起きている事と脳内で感知し思考している事が混ざり合って、どこか少し重力の軽い…




 
  

幸せな光と、匂いと、風。誕生の素晴らしさ、生きることの歓びが聞こえてくる。
きのこのランプに見守られ、どんぐりの飾りのついたフカフカのベッドで寝ていると、長い夜を引き裂くように…



 
  

外周を持たない無数の円を象るように配置された、誰しもの季節の一端に重なる8つの一人称単数なる円たち。
外周を持たない無数の円を象るように配置された8つの一人称単数なる円たち。それぞれの話はエッセイのよう…