社会を変えるには





「この本に書いてあることに納得できなかったり、あてはまらない事例があったら、お互いに対話して、お互いに変わっていけばいいことです。」(513–514頁、「おわりに」より)
2011年の東日本大震災での福島原発の大事故を契機に、反原発デモが大いに盛り上がった。すでに10年…

本が好き! 1級
書評数:691 件
得票数:8219 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。





「この本に書いてあることに納得できなかったり、あてはまらない事例があったら、お互いに対話して、お互いに変わっていけばいいことです。」(513–514頁、「おわりに」より)
2011年の東日本大震災での福島原発の大事故を契機に、反原発デモが大いに盛り上がった。すでに10年…





マンガ版の舞台となる高校校舎の一部が自由学園明日館をモデルにしている。もしかしたら、コトハとシュレ猫にそこで会えるかもしれない、と思うとちょっと楽しい。
『ケンブリッジの哲学する猫』までもがマンガ化されているのか、と勘違いして手にとった1冊。ほどなく似…




見返しからトビラまで、おそらくは都内大田区の写真が使われている。書名通りの灰色が強調された町の姿は手にとる者の心をざわつかせる。
本書の「売り文句」は、著者が20年以上前に目にして以来、ずっと気になっていたある記事を元にして小説…





「忘れたいことも 全然忘れてない」(59頁)
2020年は本作が完結した記念すべき年である、などと書いていた紹介文を目にしたこともあり、遅ればせ…





原理原則を強調しつつ、融通無碍な対応を指南。
著名な研究者による社会調査の概論書。刊行は1987年と30年以上も前であり、さすがにもう古いであろ…





今のところ全2巻ですが、「メイド漫画を描かせておけばおおむね健康」(189頁)というくらいなのですから、掲載誌がなくても描き続けていかれることでしょう。
シリーズ第1巻は実は作者のデビュー作らしく、本人も「マンガ描き白亜紀」とも呼んでいます。10年経っ…




「総じて言えば、都市論はこれだけ汗牛充棟であるのに、一向に日本の都市景観がよくならない理由には、論者が具体的にわがこととして景観を思い浮かべていないことがあると思います。」(松原隆一郎、77頁)
2004年刊行の本書は、社会問題を扱ったものとしては「古いもの」として扱われ、学術教養書としては流…




タイトルだけを見たら、たいていの人の反応は「余計なお世話である。」(西村喜良、文庫版解説、280頁)では?
本書の存在は以前から知ってはいたものの、初見の感想は「文庫版解説」の一声と同じである。そもそも最近…




「《可愛い子供を連れている大人は、とりあえず善人に見える》という謎の理論が、ここでも実証されたわけだ。」(258頁)
実は先日、初めて南武線に乗った。今までなかなかご縁がなかったのだけれど、真新しい駅舎と車体で「新線…




「しかし、善意がいつも好結果につながるわけではない。」(92頁)
広田弘毅――東京裁判でA級戦犯として問われ、文官として唯一絞首刑となった人物として有名となってしま…





「その理由が分からないまま、京都の街に何かを激しく求めていた」(45頁)
本書を原作とした映画を見てからほぼ20年が経ってしまいました。そのあとに原作を手にとったのですが、…





2022年1月放送のNHKのドラマ「わげもの」を見ていて驚いた。江戸末期の長崎を舞台に、座敷牢の格子ごしに英語を教え学ぶシーンが再現されていたのである。
座敷牢から英語を教えるのは米国人ラナルド・マクドナルド、学ぶのは小池徹平さん演じる森山栄之助をはじ…





「書くんだよ・・・きみは遠慮せずに書きなさい」(344頁)
辻真先、著名な作家として名前は知っているけれど、さほど多くの作品は読んではこなかったです。本書が刊…





「「歴史」と「地理」は、二者択一のものではなく、密接に関わる運命共同体、いわば一蓮托生の間柄だということに気がついた」(本書4頁、「はじめに」)
本書の内容はタイトルに尽きる。より正確にいえば、現在の景観を種々の歴史史料をたどってさかのぼって読…





「日本とロシアは異なる姿勢を保ったまま対決の方向に向かった。双方は相手方の意向をつかめないままに動いていたのである。」(本書、85頁)
日清・日露戦争を学んでいるとき、教科書の地図を見ていてもやもやがつのったことがある。 まず、両…





絶対音感に絶対はない。
本書刊行のときは、本格的なサイエンス・ノンフィクションといったふれこみだったようにおぼえている。あ…




なんとも語呂のよいタイトルが印象的な1冊です。店頭ですぐおぼえらえるタイトルというのも小説の重要な特徴ではないでしょうか。ただ「社会」はどこへ行った?
小学生から中学生を対象としたJSS学習塾を舞台に「誘拐」騒動が起きます。小学6年生の山下愛子を誘拐…




モノから日本史をよく見てみよう、という試み。
2020年刊行の話題の1冊。遅ればせながらやっと手にとることに。日本史上における謎を科学の視点で迫…




「本当はまだ自分は高校生で、卒業してからの十六年間は長い夢。病気もなにもかも悪い夢だったら・・・。そんなことをふと考える。」(遼賀、243頁)
本書の筋を簡単にまとめれば、33歳の働く独身男性・笹本遼賀が「がん」の宣告を受けてからの約1年半の…





「世の職業人でいちばん自由に読書ができるのは、もしかすると、研究者でもなく、評論家でもなく、勤め人かも知れません。」(223頁)
『野蛮な図書目録』以来、〈狐〉の読者なのです。ただ、彼の書評を読むために『日刊ゲンダイ』を手にとる…