サーチライトと誘蛾灯




第10回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む5編からなる連作短編集。共通するのは物語がいずれも騙し絵のような構図になっていることで、櫻田智也はそれを叙述トリックを用いずに行っている。
私にとってミステリを読む醍醐味とは、「自分が見ていると思っていたはずのものが、実は全然違うものだった…

本が好き! 1級
書評数:594 件
得票数:10324 票
「ブクレコ」からの漂流者。「ブクレコ」ではMasahiroTakazawaという名でレビューを書いていた。今後は新しい本を次々に読む、というより、過去に読んだ本の再読、精読にシフトしていきたいと思っている。
職業はキネシオロジー、クラニオ、鍼灸などを行う治療家で、そちらのHPは→https://sokyudo.sakura.ne.jp




第10回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む5編からなる連作短編集。共通するのは物語がいずれも騙し絵のような構図になっていることで、櫻田智也はそれを叙述トリックを用いずに行っている。
私にとってミステリを読む醍醐味とは、「自分が見ていると思っていたはずのものが、実は全然違うものだった…





好き嫌いや快不快はさておいても、人は誰しも“奇書”の形をしている。(「ブックマン──ありえざる奇書の年代記」より)
井上雅彦による〈異形コレクション〉シリーズは以前、書店でチラと目にしてから気になっていて、それを今回…




ホラー作品における要諦の1つに、胡散臭いヨタ話──いやホラーだけにホラ話か──をいかに実話のように感じさせるか、ということがある。そして、その点に関して三津田信三の右に出るものはいないのではないか…。
お願い 本書に掲載した五つの体験談について、執筆者ご本人またはご親族でご存じの方がおられましたら…




酔狂な研究者が不気味な怪異譚や不可解な因習などの調査に赴く伝奇ミステリ。こうした作品を読むことは(バーチャルなレベルではあるものの)かつての日本が持っていた多様性を追体験することでもある。
本当は図書館で別の本を借りるはずだったのが、たまたま目にして何だか気になって、この『奇譚蒐集録 弔い…




何とも形容しがたい奇妙な小説。それでも、英国推理作家協会から最優秀翻訳小説賞に選ばれた、という本作は読む価値はある。それは本作の持つ世界観が「今」という時代を確実に捉えているからだ。
ハヤカワのポケミスから出ているが、ミステリのようでもあり、不条理小説のようでもあり、奇想小説のようで…



ミステリとしてのネタは悪くない。いや、正直、アイディアは秀逸だ。なのに、それを物語の冗長さが完全に台無しにしている…。(=ェ=;)
『ネプチューンの影』はフレッド・ヴァルガスによる、パリ十三区警察署長、ジャン=バチスト・アダムスベル…




この本をきっかけに「もうちょっと上のレベルの本も読んでみようかな」などと色気を出して、ついには数学沼にハマってしまう人が出てきてしまうのではないか、と危惧している。
よく言われることでありながら、一部の人は意外に思うかもしれないが、数学書(=数学専門書)を読むことと…




狩る者と狩られる者、最後に生き残るのは誰か?
この『沈黙の少女』はずっと図書館の棚にあったが、今までは食指が動かず、ずっと目で流していた。ところが…




自身の災厄を肩代わりさせる名前だけの存在「忌名(いな)」をまとうための儀礼の最中に殺害された少年の謎。ラスト1行でタイトル『忌名の如き贄(にえ)るもの』の意味が回収される離れ業に瞠目せよ。
三津田信三による、終戦から10年くらいの日本が舞台の、土俗的な因習が色濃く滲む本格謎解き伝奇ミステリ…




誤解を怖れずに言うなら、この『ウィトゲンシュタイン入門』は、ウィトゲンシュタインの哲学ではなく「永井均が見たウィトゲンシュタインの哲学」を述べた本だ。だが、そこがいい。
永井均の『ウィトゲンシュタイン入門』は1995年1月頃、ちくま新書から出てすぐに買って読んだ。ウィト…



『そして誰もいなくなった』の小ネタが数多く使われているので、「何だ、『そして誰も~』のパクリか…」と思う向きもあろうが、決して単なる『そして誰も~』のパクリでも劣化コピーでもない。
アガサ・クリスティの作品群は、その物語のプロットや使われたアイディアに非常に高い汎用性があるため、さ…




物語全体に共通しているのは「他者の不可知性」であり、各短篇のミステリとしての仕掛けの根幹にあるのがそれだ。
人の悪意と業(ごう)が渦巻く『暗黒の羊』は、美輪和音による 『強欲な羊』 の続きとなる連作短篇集。一…




ケプラーが予想したことが数学的に証明されるまでの苦闘と今も残る問題についての本。天才でなくとも努力を積み重ねることで、こんな成果を上げることができる、ということが分かる、凡人にとっての「希望の書」。
数学の世界には、何世紀もの間、名だたる数学者たちの挑戦を退けてきた、数多くの未解決問題が存在する。そ…




デンマーク警察の未解決事件専門部署の活躍を描く〈特捜部Q〉シリーズ第9作。今回Qが追うのは、法で裁けぬ悪人を裁く「闇の処刑人(たち)」だ。
ユッシ・エーズラ・オールスンによる〈特捜部Q〉シリーズもいよいよ大詰め。コペンハーゲン警察署にある未…




1900年にイギリスにある孤島、アイリーン・モア島で3人の灯台守が忽然と姿を消した事件をモチーフにした、ミステリ仕立ての文学作品。
1900年、イギリスにある孤島、アイリーン・モア島で3人の灯台守が忽然と姿を消した。この事件は未解決…




「『顧客満足』ではなく『お客様目線』へ」をコンセプトとしたビジネス書。「顧客満足」が「お客様目線」にならない/なれない理由、「お客様目線」を実現するための「仕組み」が分かりやすく書かれている。
しばらく前までビジネス書は「いかに『顧客満足』を達成するか」について書かれたものが多かったが、今やト…


ホラーやミステリ作品を書いている平山夢明による恐怖論だが、どうも私とは考え方のベクトルがズレてるようで全然シックリこない。だから平山が悪ノリ満載で盛り上がっているのに、私の方は半分シラけてる。
『恐怖の構造』は、平山夢明が自らの経験に基づいて恐怖/不安について論じた本である。平山は何冊ものホラ…




どんなふうにやるつもりなのだろう? 上手におやりなさいね、と夫に忠告してやりたい。彼女の父親は娘を殺されて黙っているような人間ではないのだから。(p.12)
ルネサンス期の近世ヨーロッパでルクレツィアと言えば、かのマキアヴェッリが 『君主論』 の中で理想的君…



![模倣犯 全5巻完結セット (新潮文庫) [文庫] by 宮部 みゆき](/book/book/images/noimage_medium.gif)
公園のゴミ箱から紙袋に入った女性の右腕が見つかったことに端を発する、史上稀に見る劇場型犯罪を描いた本作は、文庫版で全5巻、計2500ページの大作にして、宮部みゆきの代表作の1つ。
公園のゴミ箱から紙袋に入った女性の右腕が見つかったことに端を発する、史上稀に見るが劇場型犯罪を描いた…




![影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51cb7nbpZnL._SL160_.jpg)
「じつにだまされやすい人間」を自認するロバート・チャルディーニが、リベンジのため?実験心理学者として承認の心理について研究を重ね、それを人間の行動を司る心理学の原理としてまとめた本。
物心がついた頃からずっと、販売員や募金活動院、その他さまざまな説得上手な人に丸め込まれてきた、という…