冷血(上)
在り来たりの言い方になるが、ふと袖振り合っただけの二人は犯した殺人の罪の意識も浅く、最後まで心が解け合うこともない。底の底にある孤独だけが二人を引き寄せ、支え合ったような……。
本棚を見ると高村さんの本が並んでいて、今年こそ読書の秋に何とか読もう思いつつもう12月。 密度の高…
本が好き! 1級
書評数:645 件
得票数:17434 票
徹夜してでも読みたいという本に出会えるように、網を広げています。
たくさんのいい本に出合えますよう。
在り来たりの言い方になるが、ふと袖振り合っただけの二人は犯した殺人の罪の意識も浅く、最後まで心が解け合うこともない。底の底にある孤独だけが二人を引き寄せ、支え合ったような……。
本棚を見ると高村さんの本が並んでいて、今年こそ読書の秋に何とか読もう思いつつもう12月。 密度の高…
「そばかす」という名前の天涯孤独な少年が、暖かい人々と厳しい自然の中で成長していく物語
小学校の図書室で初めて読んだときは涙が止まらなかった。今でも感動するだろうか。 調べてみると最…
私も読んでいました、イトイ新聞。つまらない思い出話ご容赦くださいまし。ブログから拾ったついでに、書名がでた「ロスト・ケア」も持ってきました。
「ロスト・ケア」で気持ちがドン底に沈んだので、出掛けた帰りに予約しておいたこの本を受け取ってきた。 …
第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。新しい作家の作品も読んでみようか、と軽い気持ちで選んできた。だが暗いくらい話だった。 次の書評に繋がるので古いものを拾って来た。
犯人探しのミステリだが、背後は介護問題、老人介護で追い詰められた家族におきる殺人事件は、救いがたい深…
偶然桐野さんのペンクラブ会長の就任会見を動画で見て、桐野さんはしばらく読んでなかったと思ってこの本を引っ張り出した。書棚の整理中に見つけていたので再読。期待通り面白かった。
短編が六編だが、とに角最初の「虫卵の配列」という題名にインパクトがある。 昆虫は可愛らしいものも多…
大人になって振り返ると、あのとき向かっていたのが切羽だったのかなと、うら悲しい記憶が蘇るような、荒野さんの才能はここかと改めて受賞の意味が分かった。
時の流れに沈んでしまっていた思いに気づかされる。井上荒野さんの繊細に組み立てられた物語にとっくに失っ…
無償の愛と優しさが犬の形をしてやってきて、ともに歩き始めた。 ボストン・テランの二冊目。
傷ついて息も絶え絶えの老犬がたどり着いたのは古い「セント・ピーターズ・モーテル」だった。そこには夫と…
壇ノ浦の戦いから、源頼朝の時代を経て、実朝の時代に北條氏が執権として名実ともに中央政治に加わった、その後尼将軍の政子が亡くなってもこの時代は様々な内乱があり、最後に承久の変を経て実権は北條氏に移る。
武士が台頭し力を拡大するにつれて、内乱や戦いが続き、政権の奪い合いが激しくなリ歴史が複雑になってきた…
頼朝が鎌倉幕府を立て一応の形を作り上げた。以仁王から20年、修善寺で頼家が死に、三代将軍になった源実朝の自撰家集。
「万葉集」「新古今集」を読み込み、当時一人者だった藤原定家の教えを受け、定家から「詠歌口伝」現在「近…
不思議に面白い青蛙さんの奇譚。ユキオが育った寺に帰ってみると子供の頃過ごした懐かしい所だったはずが。奇妙な石に閉じ込められた人外のものが現れ一緒に住むことになる。
住職だった祖父亡き後ひとりで寺を守っていた祖母が亡くなって、後を継いで守っていくのに帰ってきた。その…
書店にふらっと入って、井上荒野さんは読んでないな。と作家開拓で買って来た。「もう切るわ」。津村さんのようなお仕事小説かな。切るのは電話だきっと電話。題名で言いきるのは今度もスカッとするだろう。
車に戻ってやっと裏表紙を読む。「男と女の心の迷路を軽妙にえがく傑作小説」 え!しまった。井上荒野さ…
12歳だったあの時、好奇心の赴くままに僕たち三人が知った、失われるものと生き続けるもの
あの頃、僕たちは6年生だった。 デブの山下が学校を休んだ。「ばあちゃんの葬式に行ってきたんだ」 …
映画化にあたってノヴェライズされたもの。前作の背景や登場人物は残っているが映画は別物と思えば読める。やくざの抗争に巻き込まれていく刑事が主役だが復讐を企むやくざの残虐さがメインのようだ #カドフェス
前作で日岡が心酔する刑事の大上がなぶり殺しに会った(ここまで読んで手を放しそうになった)後、刑事二課…
世界に不思議な話。不思議な出来事は多い、嘘だ、ほらだ、幻だ、錯覚だ、気の迷いだという当時のおかしな出来事が今に伝わったもの。歴史的現象奇譚が伝わったもの。それはなぜ?中野さんは説く。
1ハーメルンの笛吹き男 グリムではハーメルンにやってきた男が報酬をもらう約束で鼠を川に沈めたが、…
読書家が読書について語る本が好きで同じ感想だと喜び、深い考察には感心して勉強になります。荒川さんの、H氏賞受賞の「水駅」という詩集に感動してから、時々コラムやエッセイなどを見つけた時は読んできました。
荒川さんの有名ないくつかの詩に衝撃を受け、中でも有名な作品 見 附 の み ど り に …
日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です――裏表紙――
一言拝借しました。 充実して忘れがたい短編集です、先行の「黄金を抱いて跳べ」を読んで、その後「マー…
脳が壊れると、人も壊れてしまう、謎に満ちた身体の仕組みは脳に限らず人間が踏み込めない深みにまで広がっていて、ただただ不思議なものだと実感する。
小脳の謎を探る これまでは運動調節専門の器官だと思われていた 小脳がそういう機能を持…
雨の休日などに時々パラパラと開く本。筒井節満載の楽しい本。華麗な機智諧謔風刺内幕話。お笑いネタ、ニヤリネタならここ。ただし1980年版で古かった、現代版乞う。
巻頭の自序(第一版)から、 題名でおわかりの通りこれは文学辞典のパロディである。本当はこの序…
マラマッドという名前を知っていたというだけで選んだ本だが、帯の「ポップでサイケな異色作」という一文で、どう読めばいいのマラマッドさん。状態が終盤まで続いた。
ニューヨークの崩れそうなボロアパートの最上階に住むユダヤ人作家(レサー)の話。 アパートは再開発で…
「『奇想の系譜』辻惟雄/筑摩書房」を読んだとき、奇想の画家と定義される6人の作品やそれぞれが生きた歴史のことを読みながら、作品の多くが破損し火災で焼け失われてしまっていることをとても残念に思った。
本流と言われる流派から外れ、その生涯も作品も不明に近い人もいるという。寺などに身を寄せて描いたものは…