「世の中が閉塞的になり、人々の心が灰色に塗りこめられた時、窓を開けて光を射しこませ、
世界に色彩を取り戻し、生きるエネルギーを沸き立たせる言葉を響かせてくれるのは、詩人だ。」
これは、レオ=レオニの『フレデリック』という絵本を紹介した際に
柳田邦男さんが綴った文章です。(『砂漠でみつけた一冊の絵本』所載)
この詩人とは、絵本を訳した詩人の谷川俊太郎さんのことですが、
詩という創作の本質を的確に言い表しているように思います。
『詩人S―谷川俊太郎単行本未収録詩集』は、2024年11月に92歳で亡くなった詩人谷川俊太郎さんの
単行本未収録詩84篇を収録した詩集です。
中でも、「高校生の頃から、谷川俊太郎は詩人だった。」と帯にあるように、
1948年に発行された都立豊多摩高校文芸部編輯の文芸誌に掲載された詩も収録されています。
第一詩集『二十億光年の孤独』より前の詩ですから、とても貴重な作品ですが、
その注釈がなければ高校生の詩だとはわからないでしょう。
谷川さんがいかに早熟の詩人であったかがわかります。
それ以外にもさまざまな型の詩が収録されていて、
詩を読むということはどういうことなのか思わず考えていた時に
冒頭の柳田邦男さんの文章に出会いました。
そうか、詩を読むことでこの世界に鮮やかな色彩をつけることができる、
それはきっと人生そのものを生き生きとさせてくれているに違いありません。
詩はまるで深呼吸のようなものなのです。
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