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きよぴい
レビュアー:
歴史フィクションという再現ドラマは「真実の姿」を描けるのだろうか
歴史の闇に隠された徳川幕府滅亡の最後の謎に挑み、ステレオタイプな幕末史に一石を投じる、と帯にはある。

筆者は京都の幕末期の文化財のデジタル化を進める中で、孝明天皇に対する歴史的評価に異議を唱えるためにこのフィクションを書いたようだ。

第1章の1866年12月から第2章では2月に遡り、以後第12章の再び12月の出来事まで、孝明天皇を中心に幕末の動乱の様子が描かれている。

民の血を引く孝明天皇は民を思い一橋慶喜に徳川幕府を終わらせるよう勧める。開国の圧力は外国からだけでなく、国内諸藩にも倒幕の気運が高まっている。

「徳川幕府滅亡の最後の謎」や「孝明天皇真実の姿」がどういうものかは私にはよくわからなかった。だが、わかったのはどうして横浜や神戸が香港のような植民(領土割譲)地にならなかったのかだ。
旧態依然とした体制を維持しようとすれば体制自体が壊される。問題の先送りはダメージを大きくするだけだ。丁髷を切り、洋服を着て西洋を受け入れる姿勢を見せることが必要だったのだ。

有名な明治天皇の肖像画は冠位束帯の姿ではない。軍服と髭のイメージキャラクターである。新時代に必要とされる新リーダーにバトンを渡せば、渡した後はトラックを去ることが必要だ。それを慶喜に説得したのが孝明天皇の業績である、としても、判断したのは慶喜である。

勝った者を強いと言うのが歴史だろうが、強いものが勝つという読者が好むお話を書けばそれは真実か?それとも真実「そう」なイメージストーリーか。
実際においしいよりも「おいしそう」なもの、実際におもしろいよりも「おもしろそう」なもののほうが消費者にはウケる。
事実は小説より奇なりというのはそういうことか。
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きよぴい
きよぴい さん本が好き!2級(書評数:16 件)

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