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大門未知子もびっくり? 「戦慄の〇〇」といえば、昔は「共産国家」。今は「東大病院」となるのでしょうか?

  • 戦慄の東大病院
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  • 出版社:飛鳥新社
戦慄の東大病院

1929年生まれ、東大医学部卒の坂本二哉氏の『戦慄の東大病院』(飛鳥新社)を読みました。

「不適切にもほどがある」と言われる昭和時代の若き医師として自ら見聞・体験した上司たちの「誤診」「手術ミス」の隠蔽等々。さらには「不適切にもほどがある」近年の医学教育。

料理人が包丁を持たないなんてありえないでしょうが、それと同じように、医師が聴診器を扱えない昨今の医者教育の腐敗堕落も問題視しています。「専門医」という名の経歴アップの裏側にある姑息な実態など。学術会議の不正投票など、自らの体験なども踏まえて、さまざまな不合理な医療実態への告発も鋭いものがあります。

高市首相ではありませんが、本当のエリート医師ならば、患者のために「働いて働いて」いくべしなのに、過労死注意報故の職場放棄的な過保護になりがちな医者の世界を一刀両断しています。ううむ、ここまで厳しいと「不適切にもほどがある」というべきものも出てくるかもしれませんが……。
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生まれてこのかた、盲腸や骨折で中学生の時(中学一年生)に一週間から一カ月前後入院した以外は、病院には、たまの風邪や鼻炎などの治療のために年に数回通院する程度。コロナにもかからず、最近は歯医者にもまる十年通っていません(私は歯医者は嫌いです。コミュニスト、ファシストほど嫌いではありませんが?)。

ですから、本書で次々と出てくる誤診や手術ミスや、偏差値の最も高い東大医学部出身という名のエリート意識の塊たちが、どんなに尊大で悪いことをしているかに関して、さほどの「実感」はないのですが、まぁ、そういうものがあるのだろうとは思いました。
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『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』は架空ドラマですが、そこで描かれたのは、大学病院などの評判ばかり気にして、有名人の手術成功のために、自前の専門医などが十分に対応できず、パート医師の大門の技術に依拠せざるをえないという世界でした。坂本さんの本を読むと、現実と「五十歩百歩」の感がします。

まもなく百歳にもなろうとしている老医師が告発した書でした。現在の医療現場のみならず、東大紛争の発火点にもなった東大医局でのスキャンダルにも、当時、その場にいたということで貴重な証言をされています。これまた、東大の恥部が昔から存在していることの証明にもなるでしょう。

最近になっても、東大医学部系関係者が、関係業界からの不法な接待を受けて逮捕されるなんてスキャンダルも発生しています。まぁ、東大病院には入院しないほうがよさそうですね?
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古森義久さんの『大学病院で母はなぜ死んだか』(中央公論社)を読んだ時にも感じたのですが、「大学病院」って、やはり官僚的なところがあるのでしょう。
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余談ですが。『戦慄の~』というタイトルで思い出した本があります。

ウォルフガング・レオンハルトの『戦慄の共産主義―ソ連・東独からの脱出』(月刊ペン社) (1975年訳出) という本です。レオンハルトには『党員はこうして鍛えられる』(時事新書)という本がありますが、これは『戦慄の共産主義』のダイジェスト版だったと記憶しています。

このほか、彼には『裏切り ヒットラー=スターリン協定の衝撃』 (創元社)などの著作があり訳出されています。左右の全体主義者(ファシスト=コミュニスト)がいかに類似しているかを実感できる書物でした。
ちなみに、このレオンハルトはアメリカに亡命し、大学教授となり、その授業をブッシュ・ジュニアは聞いて反共リベラル意識を高めています。
ジョージ・ブッシュは『決断のとき 上下』 (日本経済新聞出版社)でこう書いていました。

大学生になって「記憶に残っているのは、ソ連史の授業だった」とのこと。

「レオンハルト先生は、少年のころにナチスドイツから逃れて、ソ連で成長した。スターリンの大粛清のとき、母親が逮捕された。その後、共産党政権の役人になるよう教育されたが、西側に亡命した。ドイツ語のなまりが強い英語で、レオンハルト先生は見せかけの裁判、大量逮捕、いたるところで起きた家族との死別の話をした。その話を聞いてからは、ソ連と共産主義運動に対する見方が変わった。その授業によって、暴政と自由の激しい戦いのことをはじめて知り、それが一生私の心に刻まれた」

私は、レオンハルトさんのような戦慄の体験をした人々の授業こそ聴いていませんが、そうした体験をした人の手記・書物(訳書)を通じて、コミュニズムの犠牲となった方々の悲惨な体験・告発を読んできました。あっ、内村剛介さんの講演は聞いたことがあります。ちょっと唾を飛ばしながらしゃべっていて、一番前の席にいた私は身を引きました?

さておき、証言や書物を通じて「暴政と自由の激しい戦いのことをはじめて知り、それが一生私の心に刻まれた」のは共通していると言えますね。「反共」「反ソ」のどこがいけないのでしょうか。「百聞は一見にしかず」。そして「百見は一読にしかず」ですね。

では、ごきげんよう。
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  • 掲載日:2026/04/16
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