職場で「日経TEST」を受験する必要に迫られ手に取った。日経TESTというのは「経済知力」という、ざっくりいうと「経済に関する正しい知識をもち、その知識を適切に職場で活かせる力」を測るものだ。点数の良しあしよりも、「自分の強みと弱み」を知ることに重きを置いた試験だと思われると思われる。ゆえにそこまで肩に力を入れて勉強する必要もなさそうだったが、テキストの内容が面白くて熟読してしまった。
昔、受験対策に「週刊こどもニュース」の書籍版を読んでいた。本書はそれをほうふつとさせる内容だ。見開きで1トピック、経済用語や周辺知識の解説があり、全五章ある各章の章末に参考問題が掲載されている。テキスト自体は「これを網羅すれば満点をとれる、というものではない」と明言されている通り、テキストに記載の解説を頭に入れただけでは解けない問題が、参考問題として載っている。しかし、その分情報量は多く、参考問題の解説文を読み、それを手掛かりに経済用語を学ぼうという意欲が湧いてくる。
本書で解説されている経済用語は、「ミクロ経済とマクロ経済」「GDPとは何か?」などといった基本ばかりだ。しかし、だからこそ「いまさら聞けない」ものが多く、社会人にとって強い味方になってくれるテキストだ。本書をとっかかりにして自分なりに調べて知識を深める使い方もできる。
販売元を考えるに、本書が「日経新聞を記者たちの文意通りに読み取ってくれる読者を増やしたい」という意図の元作られていることは想像に難くない。実際のところ、日経新聞出版は本書のみならず、『日経業界地図』や『Q&A日本経済のニュースがわかる!20XX年版』、『日経キーワード2025-2026』など、日経新聞を読むうえで必要となる用語や企業名を解説する書籍を多数出版している。
とはいえ、日経新聞を購読しない人でも、本書は有用だ。幅広く日本経済の動向を把握するのに必要な情報がこの一冊で得られるため、日経以外の新聞を読んだり、ニュース記事を見たりする際にも本書で得た知識は役に立つ。
毎年目まぐるしく変化する世界情勢の中、本書に書かれている情報が1年後、2年後には役立たなくなってしまう可能性もあるのが玉に瑕だが、「今」の日本が経済的にどんな状況にあるのか、どんな企業がどんな技術で世界をリードしようとしているのか等の知識を得られるのはありがたい。
日経TESTを受けない方でも、内容に信憑性がおける時事問題の解説書として、一冊手元においておくのはありだと感じた。
(書評執筆日:2025年10月21日)
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