町田そのこさんは「52ヘルツのクジラたち」を読んだかな。今回はテイスト変わって、すごく連載、連続ドラマのために用意されたアトホーム的作品と言えるかも。
私は福岡市近隣出身で、天神中洲はふつうに行くが、同じ県内でも北九州は意外と行かないとこ。昨年小倉の市立図書館の隣の文学館を訪ねて、町田そのこさんが福岡出身というのを知った。そして同じ年の夏、初めて門司港レトロを訪れて、関門海峡花火大会を見た。そこにSNSで「コンビニ兄弟」の舞台だし行ってみたい、というコメントをいただいて作品を知ることになった次第。ぼちぼち読もうかな、とブックオフ行くときに刊行情報を調べたらテレビドラマもうすぐと分かり、こりゃタイミングいいわ、と。不思議な縁を感じます。
レトロ地区にも近いコンビニ、テンダネス門司港こがね村店には、その魔性のフェロモンで老若男女の客を惚れさせてしまうウワサの店長、志波三彦がいた。年配の婦人を中心としたファンクラブまで結成されており、クリスマスともなれば大変な騒ぎになるー。パートの中尾光莉は志波をモチーフにした漫画をwebに掲載しており人気を博していた。
いつもイートインスペースでランチを食べる老人・浦田がくも膜下出血で倒れた。大学生バイトの野宮は浦田の異常に気付けなかった自責の念から店を飛び出してしまう。中尾は店に出入りしている謎のひげもじゃ男「なんでも野郎」に連絡を取るー。
テンダネスに関係する様々な人々の悩みや身辺が描かれる。夢を追うものの挫折しそうな塾講師、カリスマ性のある幼なじみとの関係に悩む女子高校生、昭和のリタイア男性と小学生・・。
そして何か起こるたび、テンダネスをめぐる人々の関係性が描かれ、さらには謎の多い店長の一端が分かってくるー。
なんて出来たホームドラマなんだろう、と。実際に見てきた門司港レトロ地区は、関門橋が見え、大きな船も行き交い日中の景色がダイナミック。港町の風情は充分すぎる。かつ夜景もきれいで見晴らしの良い公園もある。観光地としてオシャレな上、住んでも便利そうな感もある。舞台はバッチリだ。そこへ持ってきて謎の多い魅惑的な出演者。主軸は地域住民のコミュニティの役割を果たしていて、あらゆる年代の読者に想像がしやすい。
もうシリーズ5巻まで出てるらしい。整っている、あとはストーリー次第。どんなふうに展開するのか、ドラマで門司港の切り取り方も楽しみながら、少しずつ読み進めようと思う。
この書評へのコメント