足を骨折して入院中の美人な古本店主・篠川栞子が、名探偵役で活躍するという、「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち」(三上延:メディアワークス)。
五浦大輔は、現在就職浪人中。祖母の遺した夏目漱石全集を、入院中のビブリア古書堂の店主である栞子に鑑定したもらったことがきっかけで、彼女の店で働くようになる。本作は、全部で4つの短編から成り立っているが、いずれも、古書店を舞台にするのに相応しく、本に関係する事件を扱ったものだ。栞子が、ベッドに居ながら、古書を見ただけで、その裏に隠された事件を推理すると言う、一種の安楽椅子探偵ものなのだが、これがなかなか面白い。
収録されている作品を簡単に紹介しよう。
・第1話 夏目漱石「漱石全集・新書版」(岩波書店)
祖母が遺した、漱石全集。そこに秘められた祖母の秘密。
・第2話 小山清「落穂拾ひ・聖アンデルセン」(新潮文庫)
ビブリア古書堂出入りのせどり屋・志田からの、盗まれた文庫本を探して欲しいとの依頼。
・第3話 ヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」(青木文庫)
坂口という男が売りに来た「論理学入門」。彼はその本を人生のよりどころとしていたのにどうして売りに来たのか。
・第4話 太宰治「晩年」(砂子屋書房)
栞子自身の事件。彼女の怪我の原因は、この本にあった。
ところで、この栞子、普段は極端に人見知りでおどおどとしているくせに、本に関することについては、人が変わったように饒舌になる。つまりは「本の虫」だ。一方、大輔の方は、子供の頃の出来事がトラウマとなって、本を読みたくても読めない。実は、この本は、上の4つの事件の他に、もう一つの問いを投げかけていると思う。祖母が生前に言った言葉、「本の虫ってのは同類を好きになるもの」。果たして、こんな、正反対の二人の間にラブストーリーが成り立つのか。
表紙カバーのイラストもいい感じだし、各短編の最初についている白黒のイラストも素敵だ。ただ、第1話のイラストだけは、ちょっと不気味な感じでいただけないのだが。
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