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『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』を読んで感じた「もっともな言い分」への共感と「甘え」と「尊大」への若干の疑問について!


『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』(knott books)を読みました。
何人かの書店員による「本屋からの嘆き」が綴られている本でした。

出版不況といわれて久しく、売り上げがピークの半分になってもいまだ改善する兆しは見えない。その状況はとくに紙の書籍の市場で顕著であり、人件費や賃料、光熱費の高騰もあって、新刊書店の商売はすでに成り立たなくなりつつある。現場で働く書店員は、少ない人手で、毎日大量に入荷してくる新刊をさばき、レジをまわすだけで手いっぱいで、売りたい本のための販促にまわす余力もなく、疲弊している場合も多い--とのこと。

先日、有楽町にある三省堂を久々に覗きました(神保町の三省堂もこの前立ち寄りました)。平日の午後5時ごろ。店内はそんなに混んでいませんでした。一階は有人レジ。二階は原則として無人レジ。どちらのレジも閑散としていました。
スーパーもセルフレジが増えました。書店もおおきいところは、セルフレジが増えてきました。私はスーパーはすっかりセルフレジに慣れましたが、書店でセルフレジで本を購入した体験はまだゼロです。そもそも本を本屋で買うことが減りましたから……なんて言うと叱られるかもしれませんが?
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さておき、大手書店とはいえ、セルフレジが増えれば、上記の不満の一つは多少は改善されるのではないでしょうか。

そのほか、1000円の本が売れたら220円が本屋に入るけど、その書店の取り分の比率・22%~25%前後をもう少し増やすべきだという指摘もありました。28%とか30%とか?

昔はなかったカード決済が書店でも普通になりましたが、当然、手数料が現金売買と違ってかかります。ポイント還元とやらも痛し痒しでしょう。

まぁ、その分、返品自由とかいろいろとあるのでしょうが、付録付きの雑誌や本などに関して、その設営を書店任せにしていることへの不満も綴られていました。それは当然のように感じました。そういう手間隙かけさせる本や雑誌は、すぐさまにも書店の取り分を28%とか30%にすべきかもしれませんね。

その書店の取り分が増えたら、定価を高くするとかの必要も出てくるのかもしれませんが、著者印税を見直して、実売部数で印税を払うとか、印税そのものを通常の10%を7%に減らすとか、初版は5%、二刷りは7%、三刷り以降は10%とか、していく必要があるのかもしれません。その浮いた分を書店に回すというのは合理的かもしれません。とはいえ、そうすると、書き手からの悲鳴も出てくるかもしれません。

『作家の怒りと悲しみと少しの愛』なんて本が出るかも。

大学の先生とか正業があって、副業として本を出している人はまだしも、作家やノンフィクションライターなど、正業が物書きだと、大変です。そういう人は図書館を天敵とみなす向きもあります。その理屈は十分、論理的なところもあるかと思います。
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紙代やら印刷代の値上げもあり、雑誌の売上低迷などで出版社も大手であっても四苦八苦?

「三方一両損」ではありませんが、「出版社・著者・書店」の三者も「一両損」(一両得?)になるような態勢を構築していくべきかもしれませんね。初版の印税を低くし、二刷り以降高くすれば、著者とて、販売戦線に参画して、著名人ならばSNSや講演会などでも積極的に販売していくようにするといいのかもしれません。

本をだしたら、あとは出版社、書店任せにノンビリとするわけにもいかない。すでに書籍制作編集者は次々と本を担当する合間にも刊行本を宣伝するためにいろいろとやることが必要になっているようです。著者も駆り出されて当然かもしれません。
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本書を読むと、相変わらずリベラルぶった書店員がいて、ヘイト本がどうのこうのとか尊大な言い方をしている人もいるようです。そういえば、昔、新宿のデパートに入っている大手書店で、未来カレンダーみたいなのがあって、そこに「自民党大敗」とか書いてあったのをみたことがありました。民間人の民間会社のすることですから、ご自由にということでしょうが、見苦しいなと感じたことがありましたね。

最近は「スーパー書店員」「カリスマ書店員」もいて、事前にゲラを読んでもらって、書店員のコメントを帯にのせるなんてこともやっているそうです。そういう注文を受けた書店員も本書に出ています。出版社からの「謝礼」がないことに疑問を呈していますが、当然の不満ですね。一冊の本を読むのに数時間はかかるし、コメントを書くのも少々時間がかかります。

有名人の帯・推薦文なら1万円や2万円などを支払うでしょうから、書店員に対しても、5000円とか、「薄謝」であっても、対価を払うべきでしょうね。そのあたり、書店員サマサマといいつつ、軽視している出版社社員がいるのではないでしょうか。
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売上アップにつながればということで、書店でイベントトークやらいろいろとやっているところがあります。サイン会とかも。

私はあいにく、そういうところに行ったことはあまりありません。読む本が地味というか、有名作家の何万部も売れるような小説などを愛読することがめったにないからかもしれません。

学生時代から、新刊書を新刊書店で買うこともあったし、古本屋で安く買うこともあったし、近年は、図書館検索が便利になり、図書館で借りてすませることも増えました。

「週刊ダイヤモンド」(2015・10・17号)が、「『読書』を極める!」という特集を組んでいますが、そこに登場する出口治明氏も図書館愛好家なのです。

出口さんは、ライフネット生命保険会長兼CEO。日本生命を辞めたあと、今の会社を起業したとのことで、「忙しくなって、あまり書店に行けなくなってしまいました」。

かつては、「大企業(日本生命)に勤めていたので、それほど忙しくはありませんでした。そこで、時間を見つけてはいつも」「神保町に出掛けていました」とのこと。

いまはなき?岩波ブックセンターを覗き、古本屋を流し三省堂まで行っていたそうです(「日本生命」って、そういう余裕のある会社なんですか? 幸い、私は「日本生命」などの生保商品には一切手を出していません。損する商品には関心なし?)。

でも出口さんは、今は忙しいので、自宅で読んでいる朝日・読売・日経の書評欄を週末チェックし、「これはもう読むしかない」となったら、なんと、近所の図書館にあるかないか、まずは調べるというのです。

「すでに人気で『30人待ち』というような場合には、アマゾンですぐに手配します。2~3人待てばよいのなら、待つようにしています」

出口さんは大学の学長を務めたり、大病を体験したりいろいろとその後ありましたが、お金持ちといえばお金持ちでしょう。

『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』で、自分たち書店員は低収入で、読みたい本も買えないのに、何冊もの本を買うお客さんがいて、レジで経済格差を感じるなんてぼやいている人もいました。

新刊書店で何冊もの本を買うお客さんの一人が出口さんだと思いますが(いや、多忙故にアマゾンで購入するようですから書店で書店員と遭遇する機会はゼロ?)、そんな出口さんでも図書館を愛好しているとなると、本の売上が減るはずですね。「2~3人待てばよいのなら、待つようにしています」という人は世の中には多いのではないでしょうか。

特に専門書で何千円もするような本だと、まぁ、30人待ちということもなく2~3人待ちどころか、ずっと「延長の延長」で半年ぐらい借り続けられるなんてこともあるようですから(自分の体験から?)。
自宅のパソコン(スマホでも可能)で検索して、どこの図書館にどの本があるか、何人待ちか、が瞬時にわかり、ボタン一つ押すだけでいいのですから。

さらに極端なことをいえば、土曜日(日曜日)の朝7時ごろに朝刊を手にして書評欄を見て、読みたい本があれば、検索して、歩いていける図書館に蔵書があって、借り手がゼロなら、ボタンを押せば、その日の午後には入手可能です。

また、区内の別の自宅から離れた別の図書館に本があっても、開館前に「予約」のボタンを押せば、その日のうちに近くの図書館にまで取り寄せてくれるのです。近くの図書館に着きましたという連絡が正午過ぎにメールであり、その日のうちに手にすることも可能です(電子版書籍の貸し出しも図書館はやっているそうです。私は利用したことがありませんが、これだと、図書館まで行く必要もなし?)。

アマゾンのプライム登録で即日配達云々より便利?(即日配達といってもアマゾンだと届くのは夕方7時前後でしょうから?)。

このように、新聞の書評に出たから、テレビで紹介されたから、ユーチューバーが取り上げたからといったところで、出口さんのような方が多いとなると、アマゾンはむろんのことリアル書店でも売上アップとはいかないかもしれません。
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こういう実態があるのですから、「スパ」(2015・10・27号)に、図書館批判派の急先鋒として知られる新潮社常務の石井昂氏が出ていて「このままじゃ出版社は絶滅?」「現場の悲鳴と図書館問題」について語っていたのも感情論ではないでしょう。

「出版社のインフラを支えている本が、公立図書館の貸し出しのおかけで、芽が出た途端に摘まれちゃうってことなんです。ここ2~3年はもう、スマホで簡単に調べて予約ができるようになってるから、図書館の利便性がすごく上がってるんだよね。全体の複本が少なくても貸し出しの効率が飛躍的に向上した」「今はもう、『タダで読むのが当然』という感覚になってきてる」

佐野真一氏や林真理子氏などが、講演会などで愛読者と名乗り出た裕福にみえる人が、いつも図書館で借りて読んでいます、でも先生の本は人気なのでなかなか順番が廻ってこなくて‥という趣旨のことを言われて絶句したことを述懐しているエッセイをどこかで読んだ記憶があります。
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アマゾンの取り分は、リアル書店より多いでしょうが、「送料無料」もいつまで続くか。そのうち、書籍も3000円以上購入しないと、送料をとるようになるかもしれません。だったら、リアル書店のほうがいいということにもなりかねませんが、そのあたり、資本の論理、需給の法則など、いろんな観点がでてくるでしょうね。その意味で「町中書店」は貴重なのですが……。

私の近所でも40年前にあった、パパママ書店のような個人経営書店は消滅。駅前の中規模な個人経営書店も消滅。そこそこのチェーン店も消滅。都会に住んでいる人は、まだ紀伊国屋までいかなくても、京王書店や文教堂や有隣堂などが職場周辺にあったりして用が足りるかもしれません。

まぁ、なるようになるしかないのが世の定めですから。

ただ、書店員や本屋経営者の本、いろいろと読んできましたが、そういう本の中で、書店員が検閲官のような「上から目線」で、ダサイ装幀本は売りたくないとか、ヘイト本はいやだねとか尊大に言っているようなものもありましたが、そんな本屋はさっさと潰れるほうがいいとは思いますね。

新日本出版社などの本を中心に置いていた日本共産党直轄の「人民書店」など、よくありましたが、最近は見かけません? それもまたよし?
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余談ですが、出版社もハードカバーの専門書を作る際、7000円~9000円とかそういう高い値段をつけて、1000部弱作れば、全国の大学・公立図書館需要だけで採算があうということもあるのかもしれません。専門書の書き手(共著)も、印税ゼロ、印税代わりに著書10冊とかすればなおよし? それでも出ないよりはマシ。読むほうも図書館で借りて読めるから?

では、ごきげんよう。
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  • 掲載日:2026/04/22
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