ないたカラス
真実や正義が必ずしも人を幸せにするとは限らない。坊主と寺男に成りすました幼馴染の二人が、持ち込まれる相談事を解決するうちに…。
本が好き! 1級
書評数:249 件
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読書は心のオアシスです。
真実や正義が必ずしも人を幸せにするとは限らない。坊主と寺男に成りすました幼馴染の二人が、持ち込まれる相談事を解決するうちに…。
幸福感に満たされるために必要なもの。自分が世界の一部であり、自分の世界の中心であるということ。
「イタイ」。と主人公が言っているように、女として”いたたまれない”気分になる。
『家守奇譚』のような奇想天外さはないがベースにあるものはきっと同じ。日本人の信仰というものが、時代とともに変容するのは仕方のないことかもしれないけれど、大事なものを失くしてしまった気がする。
逃れようのない運命というものがあるとしたら、人間の意思なんてなんと哀しいものだろう。欲が人を生かし、そして死に追いやるものであっても人として生きるしかない。昭和の映画を観たようだった。
探偵ものなのに事件を”解決”しないというちょっと変わったミステリー。刑事の主人公は非番の日に限ってご近所の困り事を調べる事に。この商店街、裏の顔がある人が多いみたい。でも結束力は抜群です。
よくある”お料理時代小説”だと思っていたらミステリー仕立てのストーリー。悪人っていうのはしょうがないのでしょうけどなんともやりきれない。
中宮定子の魅力の前では”才媛”と呼ばれた清少納言も色あせてしまうのか。初めのころは恥ずかしがって参内できなかったとか、歌や漢詩も得意でなかったとか。自身の一人称で語られるため謙遜かもしれないけど。
甘いもの好きで人が良いだけのおぼっちゃんだった武家の次男坊、雄征が成長するストーリー。好物が”かりんとう”というところがミソ。食べながら読むと油ジミがつくので要注意です。
お伊勢参りのお話は何編か読みましたが、女三世代の道中記、それぞれにキャラクターも魅力的で楽しめました。道中の名物や名所など、私も行きたくなりました。
新潟ー東京間を行き来する夜行バスに搭乗する人々の人生を描く。バラバラになった家族。それぞれの想いをつないでバスは走る。何度か利用したことはあるが、地方に住む者にとってある種の感慨があるなぁ。
並行して起こる出来事が複雑に絡み合い、事件は思わぬ方向へ導かれる。『指輪物語』に譬えられるように連鎖する悪、人間の性(さが)。胸が苦しくなる。最後はちょっと残念。
人が死なないミステリーって確かにかえって怖い面もある。謎の快盗レディバードが今回のキーマン。坂木さんらしい食べ物ネタも健在。このシリーズ続きますね。
あえて家計簿という設定なのに家計のことはあまり触れられていない。家計簿を書いた人物が起こした過去の事件の真相というのが、なんだか強引な感じ。様々な事情を抱える女性たちのエピソードには心が動かされる。
”カフェはたなか”に集う人たちはそれぞれに事情を抱えている。感情なしで記憶が存在すればいいのにと思う事がある。でも思い出すだけで幸せな気持ちになれる記憶もある。ポースケがそんな記憶になればいい。
かなり自分と重ねてしまいました。「思い描いたように生きなくてもいい。辛いのなら他の道を選んでもいいんだ」という言葉に慰められます。「神は食べられるあんかけしか…」という台詞に苦笑。
安易な道を選ばない。みおの潔さに頭が下がる。ラスト1巻。終わってしまうのがさみしいが、幸せになってほしい。
医者見習いの誠之助は薬問屋の薬草園の手伝いを命じられる。鬱屈を抱えるなかで出逢った早苗と用心棒の左近。そこでの生活のなかで自信を取り戻していく。交差するそれぞれの想いを映すように桜は咲いている。
”しゃべくり7”で有田さんが話しているのを聞いて読んでみた。トリックがなければ普通の恋愛小説だけど、「”まゆ”って怖い」という感想が多いみたい。ネットで解説を読んで納得。
時代小説を読んでいると働くということが本当はとても誇らしいことなのだと感じることがある。お役目に奮闘している武士たちも、懸命に働いて日々の糧を得ている庶民の姿にも同様に…。そんな事を考えた一冊。