阿蘭陀西鶴
『好色一代男』などで知られる井原西鶴の娘”おあい”は盲目だった。視覚が制限されるとその他の感覚が研ぎ澄まされるというが、おあいが感じる味や音、におい、風の感覚に、やはり西鶴の娘だと思わざるを得ない。
本が好き! 1級
書評数:249 件
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読書は心のオアシスです。
『好色一代男』などで知られる井原西鶴の娘”おあい”は盲目だった。視覚が制限されるとその他の感覚が研ぎ澄まされるというが、おあいが感じる味や音、におい、風の感覚に、やはり西鶴の娘だと思わざるを得ない。
それぞれ、生きづらさを感じて生きてきた二人。別々の人生の中で、お互いを見つけられるように”しるし”があった。『働かないアリも存在する理由がある』という一節に、励まされる人はいるんじゃないかな。
和製ファンタジーの唯一無二の書き手である梨木さんの魅力が、存分に味わえる作品集。その中に、自分の経験や想いを、映し出せるのも魅力なのかもしれない。
一見、ごく普通の家族。でも、そこには秘密が隠されていた。家族が住んでいた家が取り壊される時、その呪縛は解き放たれたのだろうか。
前作を読んで、続編を期待していました。一見たよりなく、皆から”水草”と呼ばれる水上草介。しかし草花に関する知識は人一倍で一目置かれている。男勝りの千歳との恋の行方を中心に描かれる。さわやかな読後感。
特定のヒーローがいなくても、特別の事件が起こらなくても、日々を懸命に生きている人々の生活は、昔も今も変わらない。そんな人たちに、ささやかな幸運が訪れる。あぁ、時代小説っていいな。
生きるために食べて、食べるために飛ぶことがそんなに悪いことだろうか?ただ、価値観の多様性を認める社会でありたい。
生と死、罪と罰。人間の永遠のテーマだろう。生きることは楽じゃない。だけど死ぬことでゲームのようにリセット出来る訳ではない。間違えてしまったとしても、それを抱えたまま、死ぬまで生き続けるしかないのだ。
歴史ファンタジー、という”くくり”になるのでしょうか?一本角のカモシカが乗り移ったり、河童に懸想されたり不思議なことが起こりますが、史実のように思える。東北の歴史が興味深い。
一青年のインタビューを元に書かれたという設定です。小森谷くんが小森谷くんのままでいたっていうことは、お母さんの人生はどうだったんだろう。それから別れた彼女たち…世界は語られなかった物語であふれている。
指摘されたように”ダイアナ”の存在を軽く見ていました。グリーンゲイブルスのご近所で、年齢も近かったから友達になっただけ、アンの”腹心の友”とは言うけれど、そんなに注目してなかった。読み返そうっと。
全く違う小説を想像していた。そうだった。この著者はこういった、ある種ブラックな作風の人だった。人間の深層心理、美醜の裏を、一見すると幸せそうな家族の食卓に描き出している。
人を利用したり、自分の不幸を人のせいにする人間がいる。手を振り切りはしない”草さん”ゆえに巻き込まれてしまうのだろう。その町に行けば草さんに会える気がする。おいしいコーヒーが飲みたいな。
山の本しか読まない人の本棚から拝借する。読み始めると止まらなくなった。こんな複雑な設定を書き上げたすごい筆力に脱帽する。
シリーズ物だと気付かずに読み始めてしまったが、充分楽しめる。作者は今年急逝され、続きはもう読めなくなってしまった。幕末の時代背景とともに物語が進んでゆく予感があっただけに悔やまれる。
江戸時代のお役人にも色々な職種があったんですねえ。おからを使った稲荷すし、食べてみたいです。
あぁ、よかった。最後の最後まで筋の通った、まさしく”心星”を持った小説でした。スピンオフ編もあるということなので、そちらも楽しみです。
一方的に離縁され、慣れない長屋暮らしをすることになったおえん。”男尊女卑”というけれど、江戸時代の女性たち、結構たくましく生きています。
一応、小説ということになっていますが、団地にまつわる昭和の生活事情のようなお話。主人公はちょっとした思いつきで団地に住むことになった青年。不便さも快適さも住む人自身次第なのかもしれません。
現代のおとぎ話。まさに”魔法”のように問題を解決してくれるおばあちゃん。なぜ、長い間次男家族と交流がなかったのか疑問ですが…。それにしても、足腰は健康の基本ですね。