戦後思想家としての司馬遼太郎
司馬遼太郎は、周知のように「国民文学」作家としての人気、評価を不動のものとしたといっていいだろう。ピークは1970年代である。
会社社長をはじめ、一般サラリーマンに自信と希望を与える英雄小説を数多く書き、日本国が世界史の中でも特…
本が好き! 1級
書評数:608 件
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基本的にベストセラー以外は、なんでも読む雑読派です。活字中毒ですが、最近はアルツ気味で、忘れないようにブログにメモしています。
司馬遼太郎は、周知のように「国民文学」作家としての人気、評価を不動のものとしたといっていいだろう。ピークは1970年代である。
会社社長をはじめ、一般サラリーマンに自信と希望を与える英雄小説を数多く書き、日本国が世界史の中でも特…
著者ならではの博覧狂気!マルクスの名前(と姓)のもとに召喚される古代ローマ皇帝と革命家と喜劇役者たち。マルクス・アウレーリウス、カール・マルクス、マルクス兄弟。
ひっそりと『自省録』を遺した皇帝は「畏怖すべき最後の言葉だけを声低く、しかも簡潔に語る」「けっして人…
ベストセラーは、めったに読まない私だが、春樹は例外だ。ハルキは、いまや日本文学ではなく社会現象になっている。
本書所収の最初の短編が雑誌に発表されたとき、登場人物の一人が、ある実在の北海道の地名の出身で、その人…
井沢は言う、幕末史は分かりにくいと。ホンネは開国なのにタテマエは攘夷というのがいるから。
たとえばイギリス公使館焼打ち事件というのがある。高杉晋作をリーダーに伊藤、井上も参加したテロリズムだ…
ブルクハルトの解説を書いているのが著者であるが、その中でブルクハルトは易しいと憎らしいことを言っている。こちらは何度読んでも歯が立たないというのに。
幸い本書は読みやすい。樺山の他の文章とは一味違う文体で一貫していて、優雅というか泰然としている。地中…
著者の本は随分読んできたが、本書はエッセイ集。簡潔正確な文章による好著だ。表紙を飾る写真の街は、オストゥーニとバルレッタ。プーリアが日本人観光客の注目を集めているとはいえ、知名度の低い市である。
本書のサブタイトルは「スローシティを歩く」、イタリア語でチッタズローという。人口5万ほどの街の魅力だ…
最近、人生も残り少なくなったにもかかわらず、俄然興味が出て来た手料理。本書も、そんな具合で手にしたものだ。
イタリアの諺; 「トマトが赤くなると医者が青くなる」。熟したトマトが栄養豊富で医者いらず、という意味…
本書は100ページ足らずの小冊子。安価だから図版はモノクロで小さい。だがバロック美術とは何か、という歴史背景を含む考察という点では参考になる。図版は他書にいくらでもある。
この著者は非キリスト信者である。それでもバロックに惹かれるのは何故か、と問うてもいい。解答のヒントは…
17世紀ローマ・バロックで、興味深いのは、ベルニーニとボッロミーニのライヴァル対決である。
ボッロミーニは1っ年下に過ぎないが、ベルニーニが若い頃から彫刻家として天才の名をほしいままにし、絵画…
羅馬に行きしことある人はシスティーナ礼拝堂を知りたるべし。ことに修復清掃なされしあとは、ことのほか感動を得たるべし。
本書はガイドブックでは飽き足らず、かといって専門書には手が出ない人向けの好著である。4人の専門家の論…
本書は石鍋の処女作で1985年初版、2010年復刊。信じがたいことだが、「バロックの帝王」といわれるベルニーニに、日本語はもとより外国語でも研究書が、ほとんどないということだ。
私がほかに読んだのは、マウリツィオ・ファジョーロ, アンジェラ・チプリアーニ著 ; 上村清雄訳のもの…
私が本書を最初に手にしたのは原書で90年代のことである。いったいなにが書かれているのか、サッパリわからなかった。
不快感だけが残り、映画化されても、見る気になれなかった。 それがつい近頃、TVで何度目かの再放…
須賀敦子については感想を書いたことがある。なかなか共感できない文章を書く人であった。が、この小冊子を読んで、そういうことなのか、と納得できた。
大竹は、須賀敦子の若いときと晩年の足跡を辿りながらローマを歩く。60歳を過ぎて須賀がなぜ作家になった…
東アジアにおける中国の台頭に米国や周辺国はどう対処すべきか、という問題。さまざまな思考実験が展開される。
といっても選択肢は3っしかない。今まで通り米国が覇権を維持するのか、中国が覇権を握るのか、そして3っ…
キャッチコピーは、初心者から上級者まで満足させるワイン本だという。しかも僅かに120ページ。普通ならあり得ない話だ。
執筆者は複数で、元JALのCAだった綺麗なおねえさんたちだ。 私のワイン歴は、うん十年、読んだワイ…
本書は、まことにみすぼらしい装幀だが、内容は実に豊かだ。
石鍋は日本語のローマ・ガイドブックは間違いが多いという。また、ヴェネツィアは何も知らなくても、フィレ…
この本、1992年刊だが、私は初読である。最初はローマの街案内から入るのだが、後半は驚くべき話になる。
サン・ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロのピエタ。あのマリアは聖母マリアではあり得ない、と弓削は言う…
数年前に一部で話題になった本。私は著者の料理本から遡った。
キュレーションとは、「無数の情報の海から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな…
佐藤の小説は何冊か途中で放り出している。
まともにちゃんと最後まで読んだのは、このフランス革命史の前を扱ったポンパドゥール夫人のものだけだ。だ…
数日前に、ルーヴルで見た絵の1っに「アヴィニヨンのピエタ」がある。家に戻り、書架からこの本を出して、加藤周一が書いたこの絵についての素晴らしい文章を再読した。
1985年初版のこの本で、加藤は絵の作者は不詳と書いている。しかし今は15世紀のアンゲラン・カルトン…