空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―
人間が自己を表現し他者と意思疎通する道具である言葉。 使いこなすには訓練がいる。 娑婆では鍛える機会に恵まれなかったからこそ、彼らはそこにいるのだろう。
純だなあ、素直だなあと思う。 自分に詩が書けると思わず、自然体で、小手先のテクニックや見栄に捕らわ…
本が好き! 1級
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小学校時代は図書室に入り浸って子供向け全集を読破したり、本の続きが気になってランドセルを背負ったまま読みながら歩く子どもでした。小遣いでポプラ社のルパンを全巻揃えていたので、本屋の店頭で280円が380円になっていたときは大ショックでした。
中高時代は親に貰った昼食代で文庫を買ってしまい、昼食を摂らずに読んでいたことも・・・当時の愛読書はG・K・チェスタトンと「銀の匙」。
大学進学後は生身の人間の方が面白くなり読書量は減りましたが、30すぎてからまたぼちぼち読むようになりました。
出産を機に哲学の古典をソクラテス以前から読んでみたり(途中であえなく挫折)、シェイクスピア全集を読破したりしました(もちろん日本語)。
長距離電車に乗るのに本を持っていないと耐えられない体質でしたが、最近は年をとったのか、パズルでも大丈夫になってしまいました。
息子たちも本を語れる年になってきました。
息子らはアクションが好きなのですが、私は結局のところ、北村薫やら宮部みゆきの方が落ち着きます。
人間が自己を表現し他者と意思疎通する道具である言葉。 使いこなすには訓練がいる。 娑婆では鍛える機会に恵まれなかったからこそ、彼らはそこにいるのだろう。
純だなあ、素直だなあと思う。 自分に詩が書けると思わず、自然体で、小手先のテクニックや見栄に捕らわ…
友達の過去を知っても、友達でいられるか。 その過去が、悪名高い猟奇的な殺人犯というものであっても? サスペンスものとして面白く読めるが、 同時に深く考えさせられる一冊です。 #ナツイチ2020
重い罪を犯した者が、法律上は罪を償って出てきたとしても、世間は赦さない。 受け入れてはやらない。 …
「自分の力じゃあ、しようがねえことも、そりゃあ、あるばい。 じゃけんど、自分の生き方についちゃあ、しようがねえって諦めたら、そこで終わりばい。」 宮崎の山奥の平家の落人の里で、自堕落な若者が再生する物語。
ケチな通り魔やコンビニ強盗でその日暮らしの伊豆見翔人の人生。 「自分は生涯、しゃぼん玉のように、た…
ファシズムの肝は責任感の麻痺だ。 流されずに異を唱える力を個々人が持たなければ、国は早晩亡びるであろう。
筆者は2010年から10年にわたり、甲南大学で「ファシズムの体験」授業を行ってきた。 議員のクレー…
第1次大戦後のベビーブーマー世代で、ヒトラーの時代に教師、看護師、秘書、妻などとしてナチ東部占領地域(ポーランド、ウクライナなど)に赴き、ホロコーストの目撃者、共犯者、加害者となった女性たちの実態。
1933年1月、ヒトラーは43歳でドイツ首相に任命され、部下の3分の2は40歳未満の若さだった。 …
本を読んで考える。 中高生に話した内容がもとだから、読みやすくわかりやすいのだが、読み流すのでなく考えることを要求する本である。
理解力と基礎知識はあるが人生経験の乏しい歴史研究部の中高生たちを聴き手に持ってきたのがいい。 まる…
女性の人権問題について実感の湧かない方には、このグラフィック・ノベルを手にしてほしい。 実在の生存者李玉善(イ・オクソン)の現実を、貴方の愛するひとの姿に置き換えて想像してみていただきたい。
2017年8月に韓国で出版されたグラフィック・ノベル(平たく言えばマンガ)。 フランス語、英語、イ…
イマジナリーフレンドを持っている子どもが主人公の話ではありません。 ということは? Junaidaによるカバー&表紙の絵が素敵。 カバーを外すと、現れるイマジナリーフレンドこそ主人公なのです。
イマジナリーフレンドとは、見えない友だち。 子どものころには、あなたにもいませんでしたか。 …
主人公時田秀美17歳はやけにカッコよすぎ。 学校の成績は良くないらしいが、人としての知恵みたいなものはけっこう優秀で、デキる奴。
1959年東京生まれの山田詠美、1991~2年発表の短篇9つを集めている。 主人公時田秀美17…
泣ける。 人前で読むには要注意。 壁にぶつかったり失敗したりに慣れてしまった大人世代こそ読むべき。 その先の物語。
さいはての彼女 やさしくない敏腕若手社長の鈴木涼香(すずか)が彼氏に逃げられ、有能な秘書にも…
営繕屋の尾端さん帰ってきた。 前編同様、戦うためではなく寄り添って綻びを繕うために。
営繕屋の尾端さんが帰ってきた。 前編同様、あやかしや想念と戦うためではなく、いのちに寄り添って綻び…
本能に従う野生動物と、プログラミングされたロボットとは似ている。 生きているとはどういうことなのか。 親をなくしたガンのひなの母親になったロボットのお話です。
人を殺してはなぜいけないのか。 ドラえもんは「人」だろうか。 自殺は認められるか。 いのちって…
度々発禁処分になっているというのは、人間の本音を書きすぎるからか。 中国らしい自選短篇集。
9つの短篇の題名、イラスト、本文の中の一文をあしらった表紙・裏表紙のデザインがいい。 農村もの…
何じゃこりゃ? 47の断章からなるアメリカ文学。 アメリカが舞台で、鱒を釣る場面も出てくるが、アメリカで鱒を釣る話でも、アメリカで鱒を釣る男の話でもないような。 何を言ってるかわからんと思う方は読んでみて。
鱒釣りというのは、古き良きアメリカの庶民の暮らしを象徴しているのだろうか。 1935年生まれの…
読むとパリに行きたくなります。 この本を持っていくときっと便利です。 読むとプルースト「失われた時を求めて」を読みたくなります。 長いので敬遠していましたが、そろそろ読み時のように思えてくるのです。
ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し これまでフランスには行ったことがな…
本邦初訳の11編。SF好きにはたまらないだろうな。
ハシェクやチャペックは好きだけれど、SFはどちらかというと苦手分野です。 SF雑誌「イカリエ」も知…
アンデルセン「えんどうまめの上にねたおひめさま」は、羽根布団の下の豆に違和感を持ったことで、本物の育ちの良い姫だと認められる話。 湊かなえ版は、親子・姉妹の絆の脆さに揺さぶりをかける。 本物の家族って何
大学生の結衣子が母の入院もあって2歳上の姉万佑子とのエピソードを思い出しながら帰省すると、偶然姉と連…
プロローグの、奈津子の母としての願いが、題名になっている。 これは、母たる者すべての心からの願いだろう。 「この子のもとに、幸せばかりが待っていますように。悪いものが、来ませんように。」
第1章からは、 1 庵原紗英 2 柏木奈津子 それぞれの日々が第三者目線で綴られていき、 そ…
神楽坂怪談短篇集。 一人の謎の占い師を通して緩やかに繋がる怪奇現象。
一人の謎の占い師を通して、緩やかに繋がる怪奇現象。 舞台が神楽坂。 作家の「私」が、神楽坂を…
今日まで世界中で読みつがれるイギリス児童文学の黄金時代を築いたのはおとなになれなかった5人の男たちだった。
今日まで世界中で読みつがれるイギリス児童文学の黄金時代を築いたのは、 おとなになれなかった5人の男…