騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編





漱石と同じく「ことば」というものに真摯に向き合ってきた春樹さんの、一貫した姿勢がうかがえる作品だと思うのです。
初読のときの印象をつらつらと書いています。まとまりがない、かつ長文なのはご容赦ください。 …
本が好き! 1級
書評数:382 件
得票数:2900 票
村上主義者。





漱石と同じく「ことば」というものに真摯に向き合ってきた春樹さんの、一貫した姿勢がうかがえる作品だと思うのです。
初読のときの印象をつらつらと書いています。まとまりがない、かつ長文なのはご容赦ください。 …





『倫敦塔』には漱石作品のエッセンスが原石のままに凝縮されているのだ。
明治38年(1905)1月の『ホトトギス』に掲載された『吾輩は猫である』で作家デビューした漱石は、そ…





とかく「悪妻」と評されることの多い夏目漱石の妻・鏡子の「それから」。
著者は夏目漱石の長女・筆子の娘――つまり漱石の孫で、昭和10年の生まれとある。時系列で整理してみると…



芥川賞に値しないとは言わないが、それでもどこか物足りなさを感じてしまう。
太平洋戦争の激戦地ニューギニアを舞台とした『指の骨』で、その圧倒的なリアリティを評価されて文壇デビュ…





帝一の野望はあまりにもしょぼい。「ジャンプ漫画」でありながらブラックな「ガロ」漫画でもある。この二重性が面白い。
古屋兎丸といえば「ダ・ヴィンチ」誌上で連載された『鈍器降臨』で馴染んでいたが、長編漫画を読むのは初め…




「機動戦士ガンダム」創成期を描いた実録漫画。ではあるのだけれどもギャグ漫画であった。
「機動戦士ガンダム」創成期を描いた実録漫画。ではあるのだけれども、ギャグ漫画であった。富野喜幸はあく…




地下鉄サリン事件の実行犯の一人との14年にわたる交流の記録。田口ランディはそれを私小説の形で著した。
7月6日、松本智津夫(2006年死刑確定)を始めとする死刑囚7名の死刑が執行された。早川紀代秀、井上…




そもそも「やる気スイッチ」などという便利なものがあるわけもない。それは十分わかっているのだけども「東大生」と聞くとなにか特別な方法でもあるのかしらん、などとつい思う。
そもそも「やる気スイッチ」などという便利なものがあるわけもない。それは十分わかっているのだけども、「…





2015年8月に94歳で世を去った阿川弘之は、大正9年の生まれだからじつは三島由紀夫よりも年上である
2015年8月に94歳で世を去った阿川弘之は、大正9年の生まれだからじつは三島由紀夫よりも年上である…




自分の「変わらない部分」にこだわりながら、カンチたちのように少しずつ前に進んでいけたら、少しはましな老後を送れるのかもしれない。
2016年に読み切りというかたちで復活した『東京ラブストーリー』の続編が一冊にまとまっていた。副題に…





柴田元幸「日本翻訳史」(「MONKEY」2017年夏号掲載)
柴田元幸「日本翻訳史」(「MONKEY」2017年夏号掲載) 昔の情報で恐縮なのだけど、201…

村上春樹「我らの時代のフォークロア――高度資本主義前史」(『TVピープル』所収)
「我らの時代のフォークロア――高度資本主義前史」(『TVピープル』所収) 初出は雑誌「Swit…





この物語で嫌悪されるべきなのは、聴き手である「僕自身」のほうである。
この話は聴き手である「僕」が大沢さんという人物に「これまでに喧嘩をして誰かを殴ったことがありますか」…



なるほど外国人の目から見た「ハルキ・ムラカミ」の世界はこういうものなのか??
いつかはこんな小説が出現するだろうとは思っていたが、すでに2001年にイギリスで発表されていたとは。…





親から受けた洗脳はカビのように脳の中にまで根を張っていて、そう簡単に駆除できない。「家族」というものはそれほどにやっかいなものなのである。
少し前に、女優の渡辺えりさんの新聞紙上での人生相談の回答が評判を呼んだ。相談者は「何か気に入らないこ…





村上春樹は今年69才。今でも毎朝10キロ走っているという。彼は今、自身の「老い」をどう感じているのだろうか。
タイトルの通り、村上春樹が「走る」ことをテーマに書き記したもの。本人の言によればこれは「メモワール」…





ここで描かれる「終末」はとても楽観的だけれども、あり得なくはない。むしろ閉塞感漂う今の世の中だからこそ、生まれた「終末」なのかもしれない。
ある日突然、孤島に取り残される。あるいは、人類が消失してしまう。そんなパニック映画や小説は、これまで…





チャトウィンといえば紀行文の傑作『パタゴニア』があまりに有名だが、そのレッテルに反抗するかのように書かれた最後の小説。
チャトウィンといえば、紀行文の傑作『パタゴニア』があまりに有名。とはいえ、彼がパタゴニアに赴いたのは…





朝日遊郭 二葉館 従業員 白木リンさま へ。
朝日遊郭 二葉館 従業員 白木リンさま 昨日、映画『この世界の片隅に』を観て来ました。原…





川上弘美が「ウェブ平凡」でずっと連載している「東京日記」の第五巻。
川上弘美が「ウェブ平凡」でずっと連載している「東京日記」の第五巻。これまで『卵一個ぶんのお祝い。』『…