女子中学生の小さな大発見





今年の「新潮文庫の100冊」にもラインナップされています。自由研究となるとついつい肩ひじ張って背伸びしてしまいがちだけれども、いかにもな「結論」よりも「小さな気づき」のほうがずっとずっと大切で面白い。
編者は、静岡県の私立中学の先生。毎週、科学の面白さを伝える「リカちゃん新聞」というプリントを発行して…
本が好き! 1級
書評数:382 件
得票数:2900 票
村上主義者。





今年の「新潮文庫の100冊」にもラインナップされています。自由研究となるとついつい肩ひじ張って背伸びしてしまいがちだけれども、いかにもな「結論」よりも「小さな気づき」のほうがずっとずっと大切で面白い。
編者は、静岡県の私立中学の先生。毎週、科学の面白さを伝える「リカちゃん新聞」というプリントを発行して…





この漫画のようなミラクルが起きていたら、僕の人生はどうなっていただろう。
通っていた高校には夜間部が併設されていた。とはいえ、昼間部に通う僕らと、夜間部に通う学生らが校内で交…





鎌田の目を通して見えてくる戦後日本は、とてもいびつで暴力的なものである。その延長線上に、いまだ僕たちはいるのだ。
鎌田慧のノンフィクションを初めて手に取ったのはたしか高校生の頃で、『教育工場の子どもたち』だったと記…





一般には「海洋冒険小説」という括りになるようだが、池澤夏樹はこれを〈海を舞台にして男の名誉を問う冒険小説〉と評した。
ほんとうは別の本を紹介しようと思っていたのだけども、朝起きたら突然「ジムはロード(君主)ではなか…





誰にも頼ることなくたったひとりで世界と闘うことを決意し、生き続けた女性のたおやかで美しい記録。
メイ・サートンは1912年生まれ。科学史家の父親と芸術家の母親との間にベルギーで誕生し、第一次大戦時…





漱石は『坑夫』の執筆を通して『虞美人草』の「あちら側」にある世界を覗きに行ったのである。
大学の職と地位を捨て、持てる力をすべて注ぎ込んで臨んだ『虞美人草』だったが、その評判はかんばしいもの…





津田の病室で入れ替わり立ち替わりに繰り広げられる「お延」「お秀」「吉川夫人」らの丁々発止のやりあいは、壮絶なバトルといっていい。
『明暗』は「朝日新聞」に大正5年(1916年)5月26日から同年12月14日まで連載された。しかし漱…





清子が流産後の静養のために逗留している温泉場へ津田が赴き、ようやく清子との問答が始まったところで「未完」の文字が躍るのだから、その結末を夢想したくもなる。
漱石の『明暗』は、津田のかつての恋人であり、突然に自分の前から去って行った清子との再会のシーンで途絶…




漱石は欲張り過ぎた。ヒロイン・藤尾を「近代」、主人公小野の許嫁・小夜子を「前近代」とする対立軸まで設定したものだから、全体の結構がいびつになった。
朝日新聞入社の辞で大学を悪しざまに批判した漱石は、自ら退路を断ってこの『虞美人草』の執筆に臨んだ…





女優としての成長も著しい綾瀬であるが、被爆者たちの取材もライフワークとしてぜひ続けてほしい。
広島出身の人気女優が原爆の悲劇を伝える。いかにもテレビがやりそうなことで、たしかに当初は、夏によく見…





「村上柴田翻訳堂」の一作。100年以上の時を経ても、きわめて現代的なテーマがそこにある。まったく古びていない。
タイトルだけ見るとゴシックホラー小説のようだが、著者のハーディは19世紀後半のイギリスの大作家で、本…





「村上柴田翻訳堂」の一作。ラードナーの自由奔放な作風は「小説」というよりも「話芸」といったものに近い。
リング・ラードナーは1885年生まれ。巻末の村上春樹と柴田元幸との対談によれば、十代の頃から新聞にコ…





村上春樹と柴田元幸による絶版書籍の復刊シリーズ「村上柴田翻訳堂」の一冊。『救い出される』で描かれる南部独特の濃密な空気と薄気味の悪さは『闇の奥』のクルツの狂気に通じる。
アメリカ南部の田舎町に暮らす男四人が、ある日、カヌーでの川下りを計画する。彼らはそれぞれに家庭を持ち…





第155回芥川賞受賞作。「コンビニ人間」というグロテスクな存在は、主人公を指すばかりではない。じつは我々そのものなのだ。
第155回芥川賞受賞作。主人公は36歳の女性で、学生時代の18歳のときからコンビニでアルバイトを始め…





第155回芥川賞候補作。やがて「革命家」を自称するジニからの、これは日本社会に向けた挑戦状である。
第155回芥川賞候補作。6月に発表された第59回群像新人文学賞受賞作でもあるから、この作品は世に出て…





第155回芥川賞候補作。おそらくは本作が受賞作となることだろう。
第155回芥川賞候補作の『美しい距離』は、その題名の示す通り、末期ガンと診断された妻を介護する主人公…





中上健次というひとは、これほどまでに美しい文章を書く作家だったのか。
中上健次というひとは、これほどまでに美しい文章を書く作家だったのか。読了して驚いたのは、まず、このこ…




これは面白かった。第一線で活躍するジャーナリスト10名へのインタビュー集。
これは面白かった。第一線で活躍するジャーナリスト10名へのインタビュー集。聞き手であり、編者を務める…




「iPad」デビューにまつわるエッセイ。タカハシさんは、筋金入りの「親指シフター」だったのだ。
高橋源一郎のTwitterアカウントを見ると「2009年12月に登録」とある。実際に、東日本大震災の…





つまり本作は、核爆弾の視点から見たベトナム戦争であるのだ。
「ディエンビエンフー」とは、第一次インドシナ戦争で最も苛烈を極めた戦地の名称である。1954年、彼の…