人はみな妄想する -ジャック・ラカンと鑑別診断の思想-





つまり、「性的関係における欲求」に関する要求(要求1)と「愛の要求」(要求2)のあいだには、ひとつの裂け目が存在するのである。そして、この裂け目が欲望を生じさせる。
本書は、ドゥルーズとガタリやデリダといったポスト構造主義の思想家からすでに乗り越えられたとみなされ…
本が好き! 1級
書評数:103 件
得票数:981 票
ライフワークの沖縄関係を中心に人文系を読んでいます。





つまり、「性的関係における欲求」に関する要求(要求1)と「愛の要求」(要求2)のあいだには、ひとつの裂け目が存在するのである。そして、この裂け目が欲望を生じさせる。
本書は、ドゥルーズとガタリやデリダといったポスト構造主義の思想家からすでに乗り越えられたとみなされ…




「考えることで自由になる」とは、著者の体験によると、対話が哲学的になった瞬間、体が軽くなってふっと浮く感覚なのだそうだ。それが「自由」だ、と。
みんなで集まって話し合う。一般に、それらは会議、会合、ミーティング、懇談会、ワークショップなどと呼…





当事者研究のミーティングで認知が変わるのは「話す側」ではなく「聞く側」だという。「聞く側」の認識が次々と変わり、みんなの発表が一周すると、その空間において共有していた価値観や知識がアップデートされる。
対談─来るべき当事者研究 ─当事者研究の未来と中動態の世界 熊谷晋一郎+國分功一郎 …




ほとんどの作品に「闇屋」が登場する。「闇屋」と書かれるや否や、なにか不吉な予感が行間に漂う。虚構を書く上で、魅力的なツールといえる。
なかなか面白い編集である。闇市があったのは戦後二年間あまり、ここに収められている作品のほとんどが、…





アイデンティティが同じである必要などない二人が図らずも沖縄(呼びかけ)を通し、「沖縄」に「連なる」こと。それはたんに二人が「繋がる」点ではない。
「沖縄に連なる」。なぜに「繋がる」ではなく「連なる」なのか。「連なる」とはいかなる述語か。著者がそ…




だが、「退屈」という否定形でしか現せないなにかを否定しない方がよいだろう。それを「迎えに来」るものがいるのであれば。
〈1 私たちがすごかった栄光の話〉は、地元に戻ってライターの仕事を始めた30歳の「私」が、10年間…




シャッター通りと化した商店街を舞台に、地域の活性化とは何かをテーマにしているといえる。
シャッター通りと化した商店街を舞台に、地域の活性化とは何かをテーマにしているといえる。というか、そ…





自由を巡る大澤社会学が沖縄の基地問題まで射程を拡げる。
社会が多様な人々に対して開放的であろうとすると、自由への制限は大きくなる、言い方を変えれば自由と開…





精神病理学支援者にとって必要不可欠なツール。
精神病理学には3つの立場がある。記述精神病理学、現象学的精神病理学、そして力動精神医学(精神分析)…




統合失調症を病む者の寛解期初期の状態を、著者は角を出しはじめた蝸牛にみたてる。
統合失調症を病む者の寛解期初期の状態を、著者は角を出しはじめた蝸牛にみたてる。社会の中に座を占めよ…





映画の脚本執筆に煮詰まる著者は、フリーペーパーに売買広告を出す人たちに会ってみたいという現実逃避的悪趣味からインタビューに乗り出す。
映画の脚本執筆に煮詰まる著者は、フリーペーパーに売買広告を出す人たちに会ってみたいという現実逃避的…




感嘆符「アイエナー」は容易に日本語訳できないことはもちろんだが、「戦後」沖縄を生きることの切なさとして、第一に、その切なさを共有できるであろう「他者」に向かって発せられる哀歌(ブルーズ)としてある。
表題作『六月二十三日 アイエナー沖縄』は、沖縄戦終結の日とされる6月23日が章ごとに舞台設定され、…





「女性と小説」というアクチュアルな宿命には、精神分析的な「不安定さ」が伴う。後者が前者からの「逃走」手段なのか、それとも「闘争」のための不可欠な戦略なのか。
本書はイギリスで男女平等の参政権が認められた1928年に、著者がケンブリッジ大学の女子学生たちに向…





ウルフの小説では、登場人物のいずれにも「感情移入」できない。これらの意識は内省ではないのだから。
明日灯台に行くことを心待ちにする幼い息子と息子を愛おしむ美しい母親、他愛ないそのやり取りに横やりを…





「小さな経済」とは、個人の仕事、特技、趣味などを通じて、他者とかかわろうとする営みのことを指す。
〈序章 住宅に閉じ込められた「幸福」〉をゾクゾクしながら読んだ。およそ次のよなことが書かれている。…




モダニズム作家ウルフのデビュー作本邦初訳。
モダニズム作家ウルフのデビュー作本邦初訳。ロンドン生まれで世間知らずの若い娘レイチェルを主人公とし…




二人がお互いの属性を一枚、また一枚と脱ぎ捨てていく様が読者を引き込まずにはいない。コニーが「女になる」につれ、メラーズもまた「女になる」。
第一次世界大戦後のイギリス中部を舞台に、上流階級の令夫人コニーと森番メラーズの激しい肉体の結びつき…




いとうせいこうは自らの病いを公開し、同時に病いを抱える自己をメタレベルからユーモアをもって眺める。それはコンテンツであるが薬でもある。
自分のバンドのサポート・ギタリストが精神科の主治医。それがいとうせいこうと星野概念の関係である。患…




頭の中の映像を使って思考する視覚優位と、言葉を聴覚で聴き覚え、理解し、思考する聴覚優位。発達障害に顕著なその「偏り」を、「優位性」とポジティブに表現する。
認知の方法を著者は二つのタイプに分ける。頭の中の映像を使って思考する視覚優位と、言葉を聴覚で聴き覚…



「随筆」と名乗る小説批判の小説。
およそ『日本近代文学の起源』(柄谷行人)を通過せず文学を語ることほど厚顔無恥なことはない。いわんや…