勝ちきる頭脳



平成生まれ初のプロ棋士にして、初の七冠独占の偉業を成し遂げた「魔王」井山裕太。その強さの源に迫るエッセイ。
将棋界では未だ藤井聡太の強さが目立つが、囲碁界では著者と現在の第一人者といえる一力遼ら令和三羽烏が…

本が好き! 1級
書評数:629 件
得票数:6682 票
図書館に行って、タイトルが気に入ったら何でも読みます。
書評というより感想文ですが、お目汚し程度にお読みいただけたら幸いです。



平成生まれ初のプロ棋士にして、初の七冠独占の偉業を成し遂げた「魔王」井山裕太。その強さの源に迫るエッセイ。
将棋界では未だ藤井聡太の強さが目立つが、囲碁界では著者と現在の第一人者といえる一力遼ら令和三羽烏が…





戦前の東洋史研究の第一人者の一人である著者が、長きを誇る中国の歴史を、齢若い読者のために、本文で200頁弱に収めた名著。
本書が「改訂版」となっている理由は「この書を手にされる方々へ」を読むとわかる。昭和26年に書かれた…




魏では皇族である曹爽が司馬懿のクーデターで一門ごと滅び、呉では老いた孫権によって良臣が減り幼帝を輔けるはずの諸葛恪は失政を繰り返す。孔明没後の蜀も含め三国とも風前の灯火に。
この巻の中心になるのは、魏と呉、それぞれ宮廷の勢力争いである。蜀は両国との戦争や協力で登場するくら…




万世一系を誇る天皇家。その最大の危機にあったのが、室町幕府三代将軍足利義満の時だ。皇国史観により悪人とされた父尊氏。それ以上に悪者感が強い。足利家が皇位簒奪していたら、この国はどうなったのか。
日本は天皇親政の難しい国だ。合議制の大和朝廷から始まり、皇太子、摂関、上皇、征夷大将軍など、常に天…





2億4千万の瞳、SOMEBODY'S NIGHT…、1980年代の歌謡曲をリードした作詞家は元来コピーライターで、雑誌の編集も手掛けていた。
まず、この名前が「うりのまさお」と読むのだと初めて知った。未だにカラオケでは中村雅俊「想い出のクリ…



法律を理解しているかどうかで働き方も変わる。ミステリ要素含んだお仕事小説。
朝倉雛子は26歳。新卒で就職し損ねて事務系の派遣社員で働くうち、一念発起し、合格率一割以下の社労士…



家康が朝鮮に出陣しなかった理由、千利休が切腹させられた下衆な理由など、歴史の直球から少しずれた知られざる説を多く紹介。
タイトルこそ「秀吉の側近」となっているが、別に秀吉直属の部下ばかりではない。大坂城に盗みに入ったと…


伝説の下手投げに八百長はあったのか? 自殺の原因は? そもそも本当に自殺なのか? 千五百奪三振記念ボールはなぜ出てきたのか。野球嫌いが天才投手の横顔に迫る。
1988年春季キャンプ中に下手投げ名投手K・Mが自殺した。全盛期は過ぎたとはいえ、名球会まで後26…




マラソン界の至宝、天才ランナーが怪我や実業団チームの廃部騒ぎで引退の危機に陥る。傲慢で仲間をつくらない彼のために、かつて共に箱根を走った男たちが集まってくる。
日本のマラソン選手で唯一世界に匹敵する成績を持つ、長距離陸上界の至宝山城悟。傲慢で誰も寄せ付けない…




中学生が実父を訴える。母が失踪のうえ、自殺。父と子、それに父には家族とは思われていない愛犬。家族の闇が裁判を通して浮かんでくる。
クラスメイトの原村沙紗から愛犬のリクが瀕死の状態にあると連絡を受けた中学1年の向井光一。何者かに酷…




タイトルこそ「家の中の~」となっているが、軒下や庭など、家に接する住処においてどんな動物がいるのか紹介してある。あの嫌われ者は本当に悪いことばかりするのか?
最近の都会人は虫が苦手な人が多い。私は田舎の出なので、ヒル以外の虫は特に嫌いではない。叩くものが無…




古今東西、著名人の臨終の様子だけを集め、年齢順に紹介してある一冊。上巻は、八百屋お七から大川橋蔵に至る55歳までに死んだ324人を採り上げている。諸行無常、栄枯盛衰を深く感じる。
私は現在55で、以前から気になっていたこの本を読むのに限界の齢であろう、そんな思いで手に取った。だ…



ハプスブルク家の皇帝たちの祝宴や公式晩餐会の豪華なメニューだけでなく、日常の食事にまで、その宮廷料理を丸裸にする。
ハプスブルク家の皇帝たちの肖像を見ると、どうしても三日月を連想してしまう。あの特徴的なあごは、いと…





フランス海軍将校が見た明治18年秋の日本の風景。鉄道と人力車で観光地へ、田舎へ。「日本の秋」ではなく、あくまで「秋の日本」であることが重要だ。
異文化というものは、頭でわかっていても経験しなくては納得できない。それは、現代に生きる我々でも同じ…




悪態・擬態語の歴史や用例から、日本人とこれらの言葉を考える。近年のこの国は元気が無い状態ではあるけれど、なにくそ、へこたれずやりましょう。
日本語で無くても、スラングは元の意味を考えるとかなり面白いものだが、日本には慇懃無礼という感覚があ…





貧乏長屋だからこそ身を寄せ合って生きる市井の人々の生活が見える。親子に焦点を当てた五つの短編集。
岡場所に勤めていたおぬいを身請けした大工の直五郎には先妻の産んだ乳飲み子がいた。その市太郎は、おぬ…



お酒のことならなんでも知ってるバーのマスター。様々な夫婦のために一肌脱ぐ。
中島は、仕事が忙しく、妻が楽しみにしていた結婚10周年を記念したイタリア旅行に行けなくなった。購入…


日本語との楽しい付き合い方を感じさせてくれる、エッセイ風小説といえばよいのか。日々をデジタルの文章だけですませてしまうことのできる現代だからこそ、日本語を上達させてくれるヒントがちりばめられてはいる。
読めるけど書けない漢字は多い。齢を重ねて覚えた日本語の知識以上に、膨大な言葉が日々生まれている。 …



絶海の孤島、死者からの手紙、わらべ歌の通りに一人ずつ亡くなっていく招待客。「そして誰もいなくなった」のオマージュと同時に、誰も語れなかった本能寺の変の真相。
斎藤利光は困惑していた。普段から慎重に物事を進める主君明智光秀がただ信長が憎いだけで謀反に踏み切っ…




赤い芒のある星が、東北から南西にながれて、諸葛亮の本営に落ちた。この星は落ちて二度はねかえり、そのつど小さくなった。諸葛亮が薨じた。享年は五十四である。(「孔明」の章より)
十巻は五丈原の戦いと興勢の役が中心となる。つまり、魏と蜀の話である。 本国ではいざ知らず、…