ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より




善良で誠実な人間でもトラブルから道を外してしまう。行政官が悪いとまっとうな商売もできない。生きていくのは難しい。
16世紀中葉、ブランデンブルグ。ミヒャエル・コールハースという博労が馬市のため、ライプチヒに向かっ…

本が好き! 1級
書評数:629 件
得票数:6682 票
図書館に行って、タイトルが気に入ったら何でも読みます。
書評というより感想文ですが、お目汚し程度にお読みいただけたら幸いです。




善良で誠実な人間でもトラブルから道を外してしまう。行政官が悪いとまっとうな商売もできない。生きていくのは難しい。
16世紀中葉、ブランデンブルグ。ミヒャエル・コールハースという博労が馬市のため、ライプチヒに向かっ…




「江戸人の距離感を足でつかもう!」を表のテーマに、作家と編集者が江戸時代の痕跡を求めて歩く、歩く。地図を見ながら読めば臨場感が増すかも。
皆さんは本書のタイトルで、「お徒歩」をどう読んだだろうか。 正解は、「おかち」。しかし、担当編…




誰もが経験したことのある出来事や身近なニュースから、現代社会を語る。ユーモラスを感じる文章への共感から、現代社会を生きるヒントを拾えるかどうか、これは読み手も試されている。
現代社会論がいかなるものかは正直どうでもよかった。本書に興味を持ったのは、正に「ておくれ」をどう立…




銃を自分の法律とし、いざという時その使用を躊躇わないのがガンファイターで、ガンマンはただの無法者。つまり、これは青年ガンファイターの成長を描く青春小説。ただし説話的な感動は無い。ただ笑って読めばいい。
ブロンソンを筆頭に、ゴールドスミス、マクギブンという経験豊富な腕利き3人と、今回抜擢された若干21…


各ジャンルの中から作家の資質がもっともよく現れている作品を選んだ、1冊でカポーティの魅力を満喫できる本。(裏表紙の紹介文より)
3月のある土曜日、税理士のペリ氏は、昨秋亡くなった妻の墓参に来た。妻が亡くなって初めての墓参りだっ…



祝・プロ野球開幕! しかし、昨今のNPBの扱いの酷さはどうだ…。プロ野球復権のために剛腕投手たちをおさらい。
野球は投手が投げなければ何も始まらない。それだけ投手の負荷の大きいスポーツである。登板までに調整し…




地平線ぎりぎりしか見えないカノープス。刺激を求めていた身体に、じんわりとほのかな感動を覚えた。号泣するような話では無く、少しずつ胸がぽかぽかとなっていくのが心地いい。
大学卒業後もバイトをしながら教員採用試験を受け続けた藤井映子は、結局、教員への夢を諦め、契約社員と…



川崎球場で無くてはありえなかった「10・19」、国民的行事の舞台ナゴヤ球場、鉄人衣笠も広島市民球場で無くては誕生しなかった。昭和の名勝負を彩った球場にノスタルジーを感じざるを得ない。
野球場は他のスポーツ専用競技場に較べて非常に変わっている。速さや距離を競う陸上や競泳等はもちろん条…




戦乱の時代であっても言葉を使う文化が停滞していたわけではない。コミュニケーションの道具だからこそ、古典を遺すために尽力する人々、外国語としての日本語を理解しようとする人々がいた。
本書は戦国時代の日本語がどのように読まれ、書かれ、話されていたかを考察している。もっともタイムマシ…



表紙に描かれた、薬瓶を持つ看護師は、重要なキャラだが、守られる立場ではない。ヒロインの登場はずっと後になる。
ぺリイ・メイスンの事務所に私設見習看護師のネリーが相談に訪れた。彼女の雇い主ペインが、その妻を毒殺…





横溝正史が選んだ日本の名探偵を、その代表的な短編によって紹介する。戦前篇は、捕物名人も多く登場する。
冒頭に、「編者のことば 名探偵今昔」として、曰く、小学生から旧制中学時代が「推理小説の暗黒時代」だ…




横溝正史は「本陣殺人事件」と同時期にこの作品を書いたという。自作の中で5本の指に入ると推す作品だけに、期待通りの面白さを感じた。
昭和12年10月20日、その前々日に東京での「蝶々夫人」公演を大盛況のうちに終えた原さくら歌劇団は…



大晦日の普通の人の声から30年続いた時代の変化を感じる。百人のインタビューから読み取る平成という時代。
平成元年、作家志望の俺(堂場)は新聞社の新潟局に勤める3年目の事件記者だった。12月31日、大学の…




ミステリ作家から評価の高い芦辺拓が江戸川乱歩と横溝正史に敬意を表しつつ、パステーシュに挑む。旧家、二つの家の対立、怪人二十面相…、広がる横溝と乱歩の世界。
大阪市東区道修町は谷崎潤一郎「春琴抄」でも描かれる有名な薬の町。そこに、通りを挟んで鏡に映したよう…




言葉のプロである詩人のエッセイ。アメリカ人からみた日本語はどのような言語なのか。いい悪いではなく、日本語でも英語でも詩作するからこそ、浮き彫りになる文化の比較。
外国の方が日本文化をどう思うのかはとても気になる。特に言葉はそうで、義務教育から教わる英語は別にし…




死んでも誰も悲しまない。都会で自分の居場所を見つけようとしていた娘のため、メグレ懸命の捜査が始まる。
バンティミユ広場で二十歳くらいの女の死体が見つかった。帰宅間際に電話報告を受けたメグレは部下のジャ…





「ん」「ン」は文字じゃなくて「ー」と同じ符号。こんな当たり前のことに改めて気付かせてもらった。コミュニケーションの道具としてだけではない。やっぱり日本語は面白い。
日本語をいろんな角度からとらえていく本書。まずは音から考える。 日本語の表記に濁音と半濁音と清…




堕ちた英雄が止めたくても止められなかったクスリと決別するための体験や苦悩を赤裸々に綴った一冊。煙草やギャンブルなど止められない悪癖に悩んでいる普通の人間にも感じる部分はあるだろう。
高校時代は「甲子園は清原のためにあるのか」、プロ入りしてからも西武や巨人といった常に優勝を義務付け…





安楽椅子探偵である「中野のお父さん」の名推理が光るシリーズ第二弾。主人公が文芸誌編集者だけに、読み進むうちに、本に対する知識が格段に増えていく(ような気がする)。
月刊誌編集者の田川美希は担当作家の原島から昭和33年に書かれた「春の血」が盗作の疑いをかけられ、封…




好きなことと向いていることが違うのは皆知っているが、他にやりたいことがある時どうやる気を出すのか、そんなことを改めて考えさせられる、ホテル再生の物語。
社会心理学者の元山は、28年間勤めた大学を辞めた。投資ファンドから、「先生の考えには説得力が無い。…