絶滅も進化も酸素濃度が決めた 恐竜はなぜ鳥に進化したのか




「鳥類が哺乳類にとって命取りの高さに存在できるだけなく、この酸素の乏しい空気のなかで飛翔という、動物界で知られているかぎりでもっとも過激な身体活動をおこなうこともできる。」(14頁)
正直なところ、本書のタイトルはミスリードではないだろうか。「そういえば、最近は鳥は最後の恐竜と言わ…

本が好き! 1級
書評数:689 件
得票数:8203 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。




「鳥類が哺乳類にとって命取りの高さに存在できるだけなく、この酸素の乏しい空気のなかで飛翔という、動物界で知られているかぎりでもっとも過激な身体活動をおこなうこともできる。」(14頁)
正直なところ、本書のタイトルはミスリードではないだろうか。「そういえば、最近は鳥は最後の恐竜と言わ…





父「結子、おもろい子やなー。才能あるなー」/母「なんの才能?」/父「いや、まだよう分からんけど」(52頁)
人気作家の作品を前に、「掘り出しものを読んでしまった」という感想もない気もするのですが、そんな感じ…





なんと、本書も書評の対象にしてよいのですか!? 2023年刊行の「最も面白い本」候補作品です。
2023年刊行の書籍を対象に「最も面白い本」を読者投票をするとしたら、本書は間違いなく10位内に入…




「昭菜と名づけられた私。/本岡家で生きるにはその名はあまりにも重すぎた。よじれた運命の荷車は哀しき禁断の愛を引いてコトコト進む。遥かな幸の灯火をめざし私はひとり雪道をさすらう。」(本章冒頭)
同じ作者の『雪の断章』を何の気なしに手にとって読み進めたときの衝撃は大きいものでした。著者や作品の…





ヒトの心のありようもその身体的な特徴と同じく進化の所産である、という視点に立って解説する1冊。その射程は広く、なにかと刺激的。
心理学は定期的にブームになることからもわかるように、専門家のみならず広く一般にも魅力的な学問の一つ…





「ストレスを抱え切れなくなると、咲子はいつも映画館に出向いた。/暗闇の中、シートに身を沈めると、息苦しいほどの圧迫がゆるゆると解けていくのを感じる。」206頁
「趣味は映画鑑賞」と公言するようになったのは、履歴書を書くようになってからだった。それまでは「映画…





「二度読んだ本は少ないが、三度読んだ本は意外に多い。」(「あとがき」201頁)すなわち、柳広司は忘れない。
「ジョーカーゲーム」シリーズなどの人気作品を数多く発表してきた作家による読書エッセイ集である。岩波…




「この部屋は、住んでいる人間以外には誰も訪ねてはこないことを前提にして整えられているようですな」(一宮和彦が阿南の部屋を見て、49頁)
本書は作家の看板ともいえるハードボイルドシリーズの1冊で、『刑事失格』で警官を辞した阿南の3年後を…





「その女は 町に新しい建物ができるといつも見に来ていて 気になるのだった」(5-6頁)
帯にもあるように「待望の新作」です。もともと寡作な作家ですし、再読・再再読に耐える作風であることを…





「小説家としての無力さをかかえたまま、七十歳をすぎたとき、 「『孔丘』を書かせてくれませんか」と、 文藝春秋にお願いした。」(「あとがき」575頁)
孔子の一生を小説にまとめたものだが、孔子=孔先生としての側面だけではなく、1人の人間として描くべく…




「ふと、自分の名前のことが、こんなにわからない国って、他にあるのだろうか、と考えてしまいました。」(「あとがき」159頁)
ここ数年、毎週、楽しみにしていた番組が「日本人のおなまえっ」である。最近になっての番組終了が大変残…





「ドラマチックとも言える理科教科書の内容の移り変わりをお楽しみください。」(「はじめに」、10頁)
「教科書の記述がこんなに変わった!」というのは、この十年くらいの日本史のネタではなかったろうか。た…





本書の唯一の難点は人名の漢字が難しいこと。ホームズ役が「福邇(フー・アル)」、ワトソン役が「華笙(ホア・ション)」。書けないし、読めない。どうしよう。
「香港版ホームズ ついに登場!」が、本書の帯での売り文句である。確かに、香港を舞台にしたものが今ま…





「メディアとは単純に技術装置にすぎないと思っているあなたの固定観念を壊してみてください。」(「はじめに」iip)
本書の著者は、現代日本社会学でのメディア研究の第一人者である。2023年3月には、東大・安田講堂で…





「・・・昼間だって、見えないけれど星はそこにちゃんとあります。」(188頁)
本書の表紙のイラストは『星旅少年』で注目されている坂月さかなさんによるものです。青を基調とした静か…





「私は文学とは、人間に対する興味にはじまって、さらに人間への興味に終る、つまり人間への興味に終始しているものと信じています」(66頁)
「中野好夫・訳」という本を多く読んだ記憶はあるのですが、本人自身の著作を読んだことはなかったです。…




「あんたが大切にしてきた書と、あたしがこの身を焦がしてきた恋、その二つに大切なことがわかるかい?」(春風さん、220頁)
吉原の花魁・春風を名乗る幽霊(?)に取り憑かれて、なぜだか学内で恋愛相談や応援を務めることになる大…





「本書が描いているのは、人と人との接触の記憶である。」(「あとがき」より、281頁)
最近になって、亡くなって久しい祖父が鉄道会社の役員をしていたことを知った。とても驚いた。孫としては…




「京都市在住の文筆家の端くれとして、ここは紙の上なりとも京都市美術館の在りし日の姿を記録しておかなくてはならない。これは地元の住人に課せられた義務であり、特権とはいえまいか。」(あとがき、301頁)
美術館を舞台にしたミステリーです。「館」がついていますが「館もの」ではありませんので、殺人事件は起…





もっと、もっと「エジプト人の物語」を!
2004年刊行と、類書としてはずいぶんと古い部類に入るのかもしれないが、今なお手にするに値する新鮮…