雪には雪のなりたい白さがある





「目立つことはなくても際立つことはなくても、赤や青やピンクの雪にはなれなくても、それでも、雪には雪のなりたい白さがある」(232頁)
本書の表紙イラストは、表題作「雪には雪のなりたい白さがある」に即しています。20代半ばとなった女性…

本が好き! 1級
書評数:696 件
得票数:8271 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。





「目立つことはなくても際立つことはなくても、赤や青やピンクの雪にはなれなくても、それでも、雪には雪のなりたい白さがある」(232頁)
本書の表紙イラストは、表題作「雪には雪のなりたい白さがある」に即しています。20代半ばとなった女性…




「ああ・・・ いい! 少年が男になる瞬間!」(下巻、35頁)
2014年の作品。著者の長篇本格デビュー作のようです。数年前に映画化されていますが、未見です。 …





思っている限り、人は生き続ける。/忘れること、忘れられることを恐れながら、それでも生きていこう。/私はいま、そんな風に感じている。 (著者の最後の言葉、475頁)
ここ数年、本作の著者の新聞連載をよく読むようになり、「知ってるつもり」の1人であったものの、実は彼…





「でも、ときどき不安になることがあるんだ。オレたち、ちゃんと兄妹やれてんのかなあってさ」(陽一、238頁)
しっかり者の妹・ユカリ(中3)、のんびり屋の兄・陽一(30歳、社会人)の、兄妹の2人家族である相田…




「本書『Super Crunchers』もまた絶対計算の産物だったと言えることを誇りに思う。」(104頁)
原書は2007年刊行、文庫になったのも2010年と、現在からすれば「すでに過去」の著作に過ぎない。…




「癒しの傑作感涙小説」をこえて
親本は2011年の刊行、しばらくして吉永小百合主演で映画化されたそうです。残念ながら未見なのですが…





「因果推論」ばやりのなか、「データ分析への慎重さ」を重視する姿勢にこそ本領が表れる入門書。ところで、データ分析の外部には何があるのだろうか?
2017年刊行の本書は、サントリー学芸賞と日経図書文化賞をW受賞したベストセラーである。ランダム(…




「今月のお家賃 いただきにきました・・・ちゃっちゃとお願いします」(佐久間紫)(1巻、15頁)
主人公は大家(実際には、その長女)。彼女が「運命の人」と定めて恋するのが、「コーポさくま」の一室を…




「『汚いゼニ』に対する嫌悪感は強かったものの、マネーは進歩を生む助けになってきた。」(「はじめに」、27頁)
邦題も原題もわかったようなわからないようなネーミングだが、「原題のサブタイトル」が最もわかりやすい…




「不思議な謎と向き合い、不器用な少女たちは大人になる」(帯より)
少女を主人公とした物語を得意とする作者の、全5編からなる短編集です。解説は作家の紅玉いづき氏、その…




「今日の日本の最も切実な主題を提出したのは、この網の目の構造の中に捉われていたある種の『挫折』を共有していた人達ではなかったか」(57頁)
本書(文庫版)の帯には「日本人の生き方のもう一つの可能性を探り出す」とある。魅惑的な惹句に抗い難く…




「あの子を私のところに送り届けて。絶対に、間違いなく、私の元へ、連れてきてほしいの」(水沫隠れの日々、19頁)という言葉のもつ意味を知るとき。
2020年初頭にドラマ化もされた人気の「ハムラアキラ」シリーズの1冊です。2019年12月の文庫化…




「離れ離れになった哀しみも、ともに暮らした歓びも、すべて彼女あってのことだった。(傅傑)」(308頁、「妻を語る」)
戦前の満洲事変後に結婚した傅傑と浩との夫婦の姿を、新聞やテレビなどのメディア上で何度か目にしたこと…





くま「私 今のままで十分しあわせですもん!」(第2巻、115頁)
この、猫の「くま」と、ヒトの「しんのすけ」による大人気シリーズの第1巻を手にとったのは、2020年…




「政治家の言説をつないでいくことで、政治経済が理解できるとは思えないように、デザイナーの言説をつないでいくことで、デザインが理解できるわけではない(フォーティ)」(はじめに、10頁)
著者は多くの著作にかかわり、メディアなどでもしばしばその名を目にする著名人。あらためて肩書きを確認…





やっぱり気になる金目さんのお仕事と生活
1・2巻を読んでしばらく経つのですが、時々ふと気になるのです。「金目綿花奈さんは、その後どうしてい…





「お読みいただいた皆様に、心からの感謝を。劇団φの仲間たちをどうか気に入っていただけますように」(2つの「あとがき」のラストより=作者からの「最後の願い」です)
自分が歳をとったからでしょうか。自分の親戚や知り合いだけではなく、「知っている作家」の訃報を目にす…




「4000年前から現在にいたるまで、科学の始めと失敗とブレークスルーの曲がりくねった道筋をたどろう。」(「はじめに」より、17頁)
『理科年表』といえば、国立天文台編集・丸善刊行の、言わずとしれた年鑑のロングセラーである。「翻訳も…





「一気読み必至」「最後に思わぬどんでん返しが!」「全米が泣いた」などの今風の謳い文句の対極にある作風です。
心身の体調が今ひとつすぐれないときに、ふと本書を手にとりました。心身ともに疲れていたのですが、作者…





「ある人に突然言われたことがある。どうも私と向かい合っていると変な気がする。人間ではない何者かと接しているような気がすると言うのである。」(「不思議なトリップ体験」、10頁)
講談社現代新書が創刊60周年ということで、記念冊子 「新書へのとびら」 を配布している(電子版あり…