未踏峰
笹本稜平の山岳小説。ヒマラヤ6,000m級未踏峰へ向かう者達が見る夢が胸を打ちます。但し登場人物いい人ばかりで、登攀は上手くいきすぎるところがやや甘いですね。ハッピーエンドは必ずしもおいしくはない。
日本の山岳小説の雄がリリースした最新の山岳小説と聞き期待して読み進んだのですが‥‥ 主人公のシス…
本が好き! 1級
書評数:2213 件
得票数:30098 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
笹本稜平の山岳小説。ヒマラヤ6,000m級未踏峰へ向かう者達が見る夢が胸を打ちます。但し登場人物いい人ばかりで、登攀は上手くいきすぎるところがやや甘いですね。ハッピーエンドは必ずしもおいしくはない。
日本の山岳小説の雄がリリースした最新の山岳小説と聞き期待して読み進んだのですが‥‥ 主人公のシス…
<杉村三郎シリーズ>、第4弾。これまでと違って、主人公杉村は探偵家業の看板を掲げています。そこに持ち込まれる事件を集めた中編集となっておりますがいずれも正当な推理小説として楽しめます。
4作目にして、ついに杉村三郎、探偵事務所を開きます。これまでの3作『誰か Somebody』・『名も…
宮部みゆきの時代もの。笙之介の父は身に覚えのない収賄の罪を着せられ、自宅で切腹した。冤罪の黒幕を見つけるため江戸へ出た笙之介はなれない長屋住まいをしながら、様々な事件に巻き込まれます。
さくらほうさらというのはどうやら宮部の造語で、甲州弁で「めちゃくちゃ悪いことが重なる状態」の意味の…
池井戸さん得意の金融ミステリーの短編集なのにいきなりバラバラ死体が出てくる殺人事件で始まり、連続殺人事件で終わりますます。初期の作品ですからこういう趣向もあったのですね。
5編の短編はいずれも銀行内で起こる事件で、現場が銀行だったり銀行員が犯人だったり、相変わらず銀行にま…
幕末の不遇の碁打ち幻庵因碩の一代記がたっぷり語られます。百田にしては骨太肉厚で読み応えある作品になっています。囲碁を知らなくても楽しめるところが小説版「ヒカルの碁」。本因坊秀策も登場します。
一芸に秀でた人の一代記は一般に伝記と呼ばれ、エジソンやワシントン、キュリー夫人などで幼少期からおな…
題名の「白馬山荘」の必然性が希薄、まだ「まざー・ぐーす」殺人事件のほうが親切な題名だと思われます。とはいうものの密室あり、暗号ありの連続殺人事件となっており正統派ミステリーです。
東野圭吾の初期の作品だけに、後の人情ものとかストーリー展開を重視した犯罪小説に比してわかりやすくも…
恩田陸による東京日記。決してラストに収束することがないエピソードの羅列で、久々の投げっぱなしジャーマンスープレックスホールドを味わうことができます。
小説のつもりで読み出したらエッセイ?更に読み進むとシナリオ?なるほど演劇「EPITAPH東京」のメ…
宮下奈都が読者に問いかけるテーマはそこはつかみどころがなく難しい。唯一の解ではなく哲学的な「なにか」はすぐそこにありそうなのに気づかないし姿を現さない。本作の奇妙な人々たちにとって足りない何かとは?
社会生活を送るうえで、決定的ではないが何だか支障をきたす、一風変わった人たちが登場します。決ま…
外国人が日本を旅するお話。日本を外国人の視点から描写しますが、あまりにもステレオタイプで新規性に乏しい。しかもお涙頂戴の浅田節が中途半端なので期待外れの一冊でした。
ニューヨーク育ち、祖父は退役軍人で英雄、職場はウォール街、つまり上流階級に所属するアメリカ人青年・…
重松さんはハートウォーミングな作品を書く人だと思い込んでいたので、ここまで凶暴な小説を書いていたなんてビックリしました。弱者をとことん追い詰める酷さが塩味好みで久々に☆5。
シュウジは中学生。関西の田舎町で普通に暮らしていましたが、秀才だった兄が高校で落ちこぼれ心が壊れて…
暗い目をしたキャバレーの客引きと、眼の大きさが違う素人臭いチーママ。希望はないが無垢な愛に結ばれる二人に破滅的なアンニュイさが・・・
「地下の鳩」と「タイムカプセル」の2掌編が収録されています。いずれも大阪ミナミの夜の世界を舞台に、キ…
1900年のパリを舞台に若い精神科医を取り巻く女性や友人との関係を描きますが、誘拐事件や殺人事件も絡んできて物語が重層的に展開していきます。でも結局はラブストーリーとなっているところが帚木の剛腕。
帚木さんは東大の仏文を卒業後、九州大学医学部を卒業し精神科いとして働く傍ら小説を著わした。本作「薔…
有名画家・高岡の贋作師として生きた元恋人が、自殺前に遺した傑作。絵画の修復師である成美は、その遺作を世に出そうとするのですが、有名画家の遺産を巡る陰謀に阻まれて自分も生命を狙われます
篠田さんの描く小説の主人公は医師だったり音楽家だったり、作家だったり科学者だったりと何らかのプロの…
絵を描くように文章を綴るといった私小説です。風景や季節の移り変わりを美しい文章で描きその中に夫婦(婚約者)の純愛を絡めていますが、ストーリーは平坦で今風ではありません。
この小説が発表当時の若者に爆発的に支持されたのは『風立ちぬ』が完成した1938年が第二次世界大戦の…
拳銃なし、警察手帳なし。元警官が拳ひとつでヤクザ組織と戦うというスパーヒーローの登場です。今野が警察小説を書くきっかけとなったといわれる記念作品ですが若い時の作品だけあって勢いがハンパない。。
巻末の著者自身によるあとがきによると本書は1991年5月に「聖王獣拳伝」として刊行されたそうです。…
乃南アサの短編集。短編なのに(だからこそ)ラストのオチが決まっています。ミステリーとしてのヒネリもさることながら、そこはかとなく薄暗く、陰湿な雰囲気が彼女の持ち味です。
乃南さんらしい女の陰湿な感じ₊ブラックなオチが楽しめる10の短編集。 薬缶、寝言、花盗人の3篇はい…
平和警察は危険人物を密告させ、公開処刑までする警察組織。伊坂幸太郎らしいディストピアにただ一人反旗を翻す「正義の味方」の運命は。
「ゴールデンスランバー」に代表される、国家的陰謀に立ち向かって孤軍戦う男の物語という所謂「伊坂幸太…
著者十代のデビュー作だけに文章が硬いしストーリーも平板。ヤクザと異能の勢力が混在する夢枕獏、菊地秀行っぽいストーリー。
後の名作「天地明察」に通じる理屈っぽさと、「マルドゥック ヴェロシティ」に通じる戦闘殺戮シーンを思わ…
3台同時に発生したバスジャック事件。犯人の狙いは何か?鼓動力を誇る「トカゲ」が本領を発揮します。
「天網」という題名がズバリネタバレになっていて、テーマはネット犯罪。新宿バスターミナルを出発した高速…
小説版「ワイルドセブン」ですが、きちんとした推理ものです。期待したほどバイクがか活躍しないのが少し物足りません。
今野敏さんの警察小説群の中でも「STシリーズ」同様、架空の警察組織(チーム)を登場させ活躍させる一…