遠い山なみの光
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロのデビュー長編小説ですが、後の、わたしを離さないでなどの名作と比べるといかにも読者サービスに欠けていて面白くない。
舞台はイギリスですが、回想の場面で長崎が多く登場し、日本人として生まれながらイギリス人として育った…
本が好き! 1級
書評数:2213 件
得票数:30098 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロのデビュー長編小説ですが、後の、わたしを離さないでなどの名作と比べるといかにも読者サービスに欠けていて面白くない。
舞台はイギリスですが、回想の場面で長崎が多く登場し、日本人として生まれながらイギリス人として育った…
死後はどうなっているのかという人類の永遠の疑問を、重厚に見せてくれる篠田さんはある意味一級の宗教家です。
文学を通じて神性を求めていると思われる篠田節子。そのままのテーマの死神や神の座 ゴサインタンに限ら…
どん底から食を通じて立ち直る女性の物語。失恋後の立ち直り読本とでも言いましょうか、新しい分野に目を付けましたね。経験者多いだろうから馬鹿売れしそう。
「羊と銅の森」「誰かが足りない」「静かな雨」と暗めの物語ばかり読んできたので宮下さんはそういう作風な…
ワンクリック詐欺に遭った男が詐欺集団に復讐の詐欺を謀るために集めたグループに、何故かSTの黒崎がいて…一方新宿では連続放火事件が起きており、その原因究明に出動したSTたち。本作では黒崎が活躍します。
タイトルで分かるように黒崎を中心に据えた作品です。オカルトっぽい事象を科学的に解明し、犯罪の解決に…
科学特捜班というのに、犯行の具体的証拠をあげることができず、結局状況証拠・動機やアリバイからしか犯人に近づけないところが推理ものとしては弱いですね。
色シリーズ3作目。僧侶である山吹才蔵を主役にすえたストーリーだけあって、事件は宗教がらみです。 …
1億円の名器ストラディバリウスが盗難し、その捜査に協力するSTメンバーたち。捜査が難航するなか、コンサートマスターが密室殺人の被害者となる…。事件解決のカギを握るのはは超聴力をもつ結城翠です。
色シリーズ四作目。 今回はSTメンバーの中で紅一点・翠さんの回。絶対音感と超人的な聴覚を持つ翠さん…
外れがないエンターテーメントであるSTシリーズです。今回の主人公はSTグループのリーダー格赤城さん。まさか医療ミステリーですが、医者をそこまで責めなくても‥‥
大学病院で診療を受けたインフルエンザ患者が死亡。遺族が刑事事件として訴えたため、百合根たちSTチー…
タイトル通り、青春時代の「青くて痛くて脆い」蹉跌を描いた作品。おぢさん世代が読むには、いささかこっぱずかしい燥ぎぶりで、やっぱり青春小説は嫌いです。
うーん、重いといえば重いのですが小僧たちの後先考えない暴走に過ぎないわけで、そこをいまさら後悔して…
高校生5人には人がどう思っているかを知る「能力」があるというSF的設定ながら、内容は単なる青春小説。この設定でもうちょっと引っ張れないかなぁ。
こういったラノベ的青春小説は憎んでいるといっていいほど嫌いな塩味ですが、『君の膵臓をたべたい』が思…
あの筒井康隆が神の視点でその存在を語ります。「神論」をここまで楽しく読ませてくれる神業に脱帽。ダンテ「神曲」をはるかに超えています。
私たちツツイストにとってはそもそも筒井さまは神なのですが、その筒井さまが最後の長編と語る小説で、タ…
人身売買、原発事故、レイシズム、新興宗教、情報統制、これらが行われている近未来のディストピア小説。登場人物はことごとく不幸になっていきという桐野イズムも健在で久々の胸のすく小説です。
桐野小説の醍醐味は何といっても悪漢小説と嗜虐小説。そのダークヒーローが市井の小市民であるところに親近…
6つの掌編のオムニバスですが、最終話で見事に終息するところが流石は伊坂。どうやら出会いがテーマのようですが、読後感はボクシング小説となっているところもおいしい。
何らかの特殊技能を持った主人公を中心に物語を紡いでいくのが伊坂のとくいパターンであるが、本小説には…
下町ロケット第3弾。今回はトラクターに使用するトランスミッション用バルブの開発に着手しますが、例によって大手の横やりに暗雲が立ち込めます。本シリーズは「7匹の子ヤギ」路線が人気の秘密と読みました。
前回、人工心臓弁ガウディの完成に尽力した佃製作所。しかし浮沈の多い中小製作所ですので、またもや経営…
現実社会に放り出されるまでモラトリアムな時間がある高校生の、つかみどころのないほんわかした贅沢な日々を綴った成長譚。この時代こそ人生で一番贅沢な時間かも。蠱惑的な文章で塩味を攫む川上女史です。
川上弘美さんは「センセイの鞄」に代表されるように、恋愛や出会いといった人生の大きな出来事ですら、軽妙…
日本推理作家協会は毎年アンソロジーを出していますが本企画はその中から東野が気に入った8作を収録したものです。1970年からの30年中のベストオブベストですからいずれも粒ぞろいで、お買い得感満点。
それにしても大御所揃いの8作品。個人的には赤川など好みでない作家もありましたが、それでもこのアンソロ…
圧巻の悪漢小説。しかもその悪者は地味な女性銀行員。企業の不正をメモした3冊の黒革の手帳をもとに、強請たかりで金を集め銀座のママにのし上がっていくヒロインの末路は・・・・
社会派小説で鳴らす松本清張の代表作ともいえるピカレスクドラマ。ただし主人公は悪漢ではなく悪女です。…
このシリーズはいくつかの事件が並列して進み、最後に収束するというのが特徴。本作でも3つの事件が同時並行的に発生・進行していきます。そしてそれぞれの事件中に伏線が張られている構成が実に巧みなのですよ。
神奈川県で起きた現金輸送車強盗事件で容疑者に鎌田の名前が浮かび上がります。この鎌田こそ一年前、村瀬…
いじめを苦に自殺した中学生の遺書に名前があったたのは、いじめの主犯格2人と片思いの女の子、そして親友である主人公の4人。いじめを傍観していたことで罪悪感という十字架を背負わされる主人公の物語。
イジメの話は学園ドラマや青春小説で多く取り上げられますが、ここまで深く掘り下げているものはなかなか…
拉致監禁から始まってどんどん事件に巻き込まれる、ついてないバツイチ女・夏都。とうとう有名女優のスキャンダル写真流出を止めるための片棒を担がされる羽目になるが、敵役のラスボスが意外過ぎて…
中古ワゴン車を改造し、週に三日だけ駐車場をかりてランチを販売している掛川夏都が主人公。若い女と不倫し…
「転校生」や「君の名は。」でモチーフ化されている入れ替わりもの。伊坂の手にかかると虐待や暴力犯罪をからめてとブラックで悲壮で読みごたえありです。
「魔王」「陽気なギャングが地球を回す」「SOSの猿」など伊坂作品には特殊能力を持った主人公が活躍する…