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言葉はもう一つのDNA。清少納言の言葉のDNAを確かに受け継いでいる私たち。

  • きょうの枕草子 (単行本)
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  • 出版社:中央公論新社
きょうの枕草子 (単行本)
詩人最果タヒの世界観で描く枕草子。先日レビューした酒井順子版とはひと味違ったテイストであった。原文からの自由度が増していて行間にも著者らしい感性で言葉を紡いでいる感じ。源氏物語もそうだが、様々な現代作家の感性が迸る現代語訳の読み比べは楽しい。

<参考レビュー>
「酒井順子訳 枕草子」

日常の一瞬一瞬に一人の心がそこにあって、その心が実在するということを言葉に残す。そういった文学が随筆である。誰の心にもある、ふとした瞬間の心の揺れを言葉に残す。単に思っただけでは次の瞬間に消えてなくなってしまう感動が、言葉によってこの世に残される。枕草子は1000年も残り続け、読む人に共感を呼び続けた。

『秋は夕暮れ
夕日がぐっと、山のぎりぎりのところまで来て、からすが寝床へと帰っていくところ。みっつよっつ、ふたつ、みっつ、みたいにして急いで飛んでいくのがいいなぁ。さらに言うと雁が列を作って飛んでいるのが小さく見えるのとか、すごく好き。』



日本人がこの文章を読んで誰もがある種の懐かしさを感じるに違いない。その夕暮れの場面を実際に見ていないかもしれないのに。枕草子だけに限ったものではないのかもしれないが、夕暮れの典型的な光景、眺めていても意識の中で通り過ぎていくだけになりそうな風景が言葉として残したことによって、日本人の心に深く染み込み、感性が受け継がれていったのかもしれない。

『言葉はもう一つのDNA』

見過ごされそうな些細な風景に出会った感動を「をかし」という言葉に残してくれた清少納言。その感動を「1000年後の私たちも確かに受け取っていますよ」と彼女に伝えたい。

『明け方に雨戸を押し開けてみれば、嵐がさっと顔にふれるの。すごく、それは素敵な瞬間。』

嵐の翌朝に感じるなごりの風の清々しさを私たちも感じていますよ。
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  • 掲載日:2026/04/17
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