日本は凄いなと思う。過労死の問題、ブラック企業での働き方の問題をこれほどリアルに漫画化し、それが出版され、10万部突破、ツイッターやテレビ、新聞でも話題になる、そして私ら一般人も自由に読むことができる。しかも献本でいただけてしまう。なんと自由な国なんだ。どこかの国ではきっとこれは規制され、外に出ない内容なのだ。
これもほど自由な国でありながら、その働き方はかなり厳しい状況にある職場が多々あるのが理解されない。これは海外の人にとってもそうだが、日本人であってもそうだ。本書で特に強調されている一つに日本人の精神構造がある。教育現場で働く私にとって衝撃ともなったのが、最終章の自分を犠牲にしてがんばりすぎちゃう人へ」である。そこでは、「日本の教育では、何かして褒められるより何かして叱られることの方が多いと思う」「自分で考えて動く子より、大人の望むとおり動く子が褒められる」と筆者はいう。それが、本書のタイトルにもなっている「死ぬくらいなら会社辞めればができない理由」の元凶かもしれないのだ。会社を気にし、同僚を気にかけ、世間を、家族を気にかけ、結局辞めたいにブレーキをかけてしまう。一番自分を気にかけなければいけないのに、最後の最後まで後回しにしてしまい、心身ともに病んでしまい、最悪は死に至ってしまう・・・。とても悲しことなのに。
こうしたことが、丁寧にしかも漫画で描かれている本書は異色だ。所々に精神科医のアドバイスがあり、より学際的な要素もあり、感動と共に学びも得られるのだ。きっとこのほんで勇気をもらう人は今後もたくさんいるであろう。自分の職場も例外ではない。本書は明日の我が身、明日の我が職場に静かな、しかし深く強い警告を与えてくれる良書である。
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