efさん
レビュアー:
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乱歩のミステリファン目線を感じてしまったのだ
『幻影城』を書き上げた後、その後の情報も含めてまとめられた、いわば続編的な一冊です。
本書には有名な『類別トリック集成』も収録されています。
まあ、丹念な仕事で、当時、乱歩が読み得た海外ミステリを中心として、およそ800点以上の作品を整理、分類して、使われているトリックなどをまとめています。
おそらく、当時の装幀の復刻も意識しているのでしょう。乱歩作成の表を本文で書かれている通りに折り込みの形にして装幀しています。
また、巻末の索引が相当大部になっており、この辺りからも乱歩の整理魔的な側面が見えてくるようです(乱歩はさまざまな情報を新聞等などから切り抜き、自作のメモを貼り付け、『貼雑年譜』(はりまぜねんぷ)というスクラップブックのようなものを作っていたのは有名なお話です)。
乱歩は、本文中で何カ所か触れているのですが、カーの有名な『密室講義』(『三つの棺』という作品に収録されている論考で、当時、カーが分類、整理した密室ミステリを解説したものです)に触発されていたようで、自分でも密室だけにとどまらず、ミステリのトリック全般にわたる、乱歩版『トリック講義』のようなものを書きたいと考え、色々工夫を重ねたようであります。
時には、「こんなものを作って何の役に立つのだろう?」と自虐的なことも書いていますが、作家としての乱歩が、新たな作品を生み出すために、これまでに使われたトリックを分析したという一面ももちろんあるのだろうと思います。
ただ、私、乱歩のこのような丹念な仕事を見ていて一番感じたのは、乱歩のミステリ愛のようなものなんですね~。
一ファンとして、とにかくミステリが大好きで、そんなファン目線の興味からこういったトリック分析を繰り返し行ったんじゃないかな~という気がしてならないのです。
ほら、色んなもののファンって、自分が関心があるものについて、分類したり整理したりするの大好きじゃないですか。そういう心情を感じてしまったんですね~。
そのようなトリック論の他には、この当時、乱歩が関心を持った海外ミステリ作家についての感想や紹介的な文章があります。概ね適切な分析ではないでしょうか。ただ、今となっては読まれていないな~という作家さんを結構評価しているのも時代でしょうか。
そんな中に、一稿だけH・G・ウェルズとSF作家について書いているものがあるんですね。「おや、めずらしい」と思ってしまいました。
まあね~。昔の日本の『探偵小説』というカテゴリは大変広くて、特に古い時代になるほど、SFなんかもこのカテゴリに放り込まれていた時代でもありましたからね~。
様々なところで書いた文章をまとめた一冊なので、やや重複はありますが、それも含めて乱歩の当時の仕事を見ることができます。
ミステリに興味がない方がこの大部を読み通すのはいささか退屈かと思いますが、よろしかったら当時の乱歩の『熱』を感じていただければと思います。
読了時間メーター
■■■ 普通(1~2日あれば読める)/707ページ:2026/03/10
本書には有名な『類別トリック集成』も収録されています。
まあ、丹念な仕事で、当時、乱歩が読み得た海外ミステリを中心として、およそ800点以上の作品を整理、分類して、使われているトリックなどをまとめています。
おそらく、当時の装幀の復刻も意識しているのでしょう。乱歩作成の表を本文で書かれている通りに折り込みの形にして装幀しています。
また、巻末の索引が相当大部になっており、この辺りからも乱歩の整理魔的な側面が見えてくるようです(乱歩はさまざまな情報を新聞等などから切り抜き、自作のメモを貼り付け、『貼雑年譜』(はりまぜねんぷ)というスクラップブックのようなものを作っていたのは有名なお話です)。
乱歩は、本文中で何カ所か触れているのですが、カーの有名な『密室講義』(『三つの棺』という作品に収録されている論考で、当時、カーが分類、整理した密室ミステリを解説したものです)に触発されていたようで、自分でも密室だけにとどまらず、ミステリのトリック全般にわたる、乱歩版『トリック講義』のようなものを書きたいと考え、色々工夫を重ねたようであります。
時には、「こんなものを作って何の役に立つのだろう?」と自虐的なことも書いていますが、作家としての乱歩が、新たな作品を生み出すために、これまでに使われたトリックを分析したという一面ももちろんあるのだろうと思います。
ただ、私、乱歩のこのような丹念な仕事を見ていて一番感じたのは、乱歩のミステリ愛のようなものなんですね~。
一ファンとして、とにかくミステリが大好きで、そんなファン目線の興味からこういったトリック分析を繰り返し行ったんじゃないかな~という気がしてならないのです。
ほら、色んなもののファンって、自分が関心があるものについて、分類したり整理したりするの大好きじゃないですか。そういう心情を感じてしまったんですね~。
そのようなトリック論の他には、この当時、乱歩が関心を持った海外ミステリ作家についての感想や紹介的な文章があります。概ね適切な分析ではないでしょうか。ただ、今となっては読まれていないな~という作家さんを結構評価しているのも時代でしょうか。
そんな中に、一稿だけH・G・ウェルズとSF作家について書いているものがあるんですね。「おや、めずらしい」と思ってしまいました。
まあね~。昔の日本の『探偵小説』というカテゴリは大変広くて、特に古い時代になるほど、SFなんかもこのカテゴリに放り込まれていた時代でもありましたからね~。
様々なところで書いた文章をまとめた一冊なので、やや重複はありますが、それも含めて乱歩の当時の仕事を見ることができます。
ミステリに興味がない方がこの大部を読み通すのはいささか退屈かと思いますが、よろしかったら当時の乱歩の『熱』を感じていただければと思います。
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■■■ 普通(1~2日あれば読める)/707ページ:2026/03/10
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:光文社
- ページ数:692
- ISBN:9784334736408
- 発売日:2004年03月12日
- 価格:1000円
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