ソネアキラさん
レビュアー:
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幻想・怪奇小説の名手の作品から4つの短編

『運命の時計-デ・ラ・メア ショートセレクション-』ウォルター・デ・ラ・メア作 金原瑞人訳 ヨシタケ シンスケ絵を読む。
幻想・怪奇小説の名手の作品から4つの短編を収めた。「世界ショートセレクション」、なかなかのよきラインアップ。
『アーモンドの木』
伯爵と呼ばれる男の少年時代の思い出。両親の仲は最悪だった。父親は愛人のミス・グレイ宅へ通い留守がち。耐える母親。しかし、父親への憎しみが次第に募っていく。屋敷の周囲にはヒースとトゲのあるハリエニシダが繁茂する荒涼たる英国の風景が広がるが、それよりも寒々しい家庭。父親は愛人に息子を紹介する。ごきげんとりで彼女は小遣いまで与える。切れる寸前の母親。そして雪の日、突然、屋敷前で父親が死体で発見される。こっそり葬儀に来たミス・グレイ。彼女に好意を抱いていた少年は…。少年の視点からとらえられた大人の恋愛模様。ヒースの原野というと、『嵐が丘』を思い出す。
『鼻』
サム・クックは大きな小間物商店の息子。洗礼式を迎え、大勢の親類縁者がやって来る。おばの一人がサムの鼻はロウでできていると話す。親は半信半疑で見ると、気がつかなかったが確かに鼻がろう細工っぽい。彼にそのことを話す。ロウの鼻だから火に近づくと溶けてしまう。気をつけよ。けなげなほど、そのことを守って生きる。店はたたみ、親が残してくれた遺産で家族を養う。引っ込み思案になったサムの趣味がなんと本と鼻の造形物の蒐集。サムはネルソン提督の亡霊か何かを追って荷馬車にはねられる。一晩中、暖炉のそばに寝かされる。ああ、鼻が溶けてしまう…。溶けなかった。『鼻』というと芥川龍之介の名作を思い出すが。
『どろぼう』
ロンドンの大邸宅に住む大金持ちのどろぼうがいた。もちろん、すべて盗んだものだ。あと、足りないものは奥方だ。これで幸せのピースは完璧に埋まる。貴族のお嬢さんなど次々に声をかけるが、ふられるばかり。まもなく60歳を迎える彼にとって女性のハートを盗むのは、困難だった。しまいにはどろぼうにまで入られてしまう。落胆のあまり、家財から召使いまでお払い箱にする。ところが、流し場の女の子・スーザンは追い払ってもまた舞い戻る。ぼさぼさ頭の彼女に理由を聞くと、世話をする人がいないと飢え死にしてしまうからだと。雇ってよくしてもらったお礼をしたいと。予期せぬ事故でけがをしたどろぼうは彼女に求婚する。結婚後まもなくけがが悪化して死んでしまう。玉の輿にのったスーザン。相変わらずのぼさぼさ頭で幸せに暮らしましたとさ。
『運命の時計』
イギリスから来た「ぼく」はドイツの小さな町の骨董店に入る。店主はゲッセンさんという老人。ぼくはポーリンに恋していた。たどたどしいドイツ語で話し合うとゲッセンさんもかつて恋をしていた。店で針が一本の時計が置いてあった。その時計は夢を映し出す不可思議な時計。それを胸におさめ、ポーリンと会うが、彼女との恋は結局実らなかった。同情し合う二人。時計はいつの間にか姿をくらましていた。
『アーモンドの木』ウォルター・デ・ラ・メア著 和爾桃子訳
こちらは、エドワード・ゴーリーの挿絵。
幻想・怪奇小説の名手の作品から4つの短編を収めた。「世界ショートセレクション」、なかなかのよきラインアップ。
『アーモンドの木』
伯爵と呼ばれる男の少年時代の思い出。両親の仲は最悪だった。父親は愛人のミス・グレイ宅へ通い留守がち。耐える母親。しかし、父親への憎しみが次第に募っていく。屋敷の周囲にはヒースとトゲのあるハリエニシダが繁茂する荒涼たる英国の風景が広がるが、それよりも寒々しい家庭。父親は愛人に息子を紹介する。ごきげんとりで彼女は小遣いまで与える。切れる寸前の母親。そして雪の日、突然、屋敷前で父親が死体で発見される。こっそり葬儀に来たミス・グレイ。彼女に好意を抱いていた少年は…。少年の視点からとらえられた大人の恋愛模様。ヒースの原野というと、『嵐が丘』を思い出す。
『鼻』
サム・クックは大きな小間物商店の息子。洗礼式を迎え、大勢の親類縁者がやって来る。おばの一人がサムの鼻はロウでできていると話す。親は半信半疑で見ると、気がつかなかったが確かに鼻がろう細工っぽい。彼にそのことを話す。ロウの鼻だから火に近づくと溶けてしまう。気をつけよ。けなげなほど、そのことを守って生きる。店はたたみ、親が残してくれた遺産で家族を養う。引っ込み思案になったサムの趣味がなんと本と鼻の造形物の蒐集。サムはネルソン提督の亡霊か何かを追って荷馬車にはねられる。一晩中、暖炉のそばに寝かされる。ああ、鼻が溶けてしまう…。溶けなかった。『鼻』というと芥川龍之介の名作を思い出すが。
『どろぼう』
ロンドンの大邸宅に住む大金持ちのどろぼうがいた。もちろん、すべて盗んだものだ。あと、足りないものは奥方だ。これで幸せのピースは完璧に埋まる。貴族のお嬢さんなど次々に声をかけるが、ふられるばかり。まもなく60歳を迎える彼にとって女性のハートを盗むのは、困難だった。しまいにはどろぼうにまで入られてしまう。落胆のあまり、家財から召使いまでお払い箱にする。ところが、流し場の女の子・スーザンは追い払ってもまた舞い戻る。ぼさぼさ頭の彼女に理由を聞くと、世話をする人がいないと飢え死にしてしまうからだと。雇ってよくしてもらったお礼をしたいと。予期せぬ事故でけがをしたどろぼうは彼女に求婚する。結婚後まもなくけがが悪化して死んでしまう。玉の輿にのったスーザン。相変わらずのぼさぼさ頭で幸せに暮らしましたとさ。
『運命の時計』
イギリスから来た「ぼく」はドイツの小さな町の骨董店に入る。店主はゲッセンさんという老人。ぼくはポーリンに恋していた。たどたどしいドイツ語で話し合うとゲッセンさんもかつて恋をしていた。店で針が一本の時計が置いてあった。その時計は夢を映し出す不可思議な時計。それを胸におさめ、ポーリンと会うが、彼女との恋は結局実らなかった。同情し合う二人。時計はいつの間にか姿をくらましていた。
『アーモンドの木』ウォルター・デ・ラ・メア著 和爾桃子訳
こちらは、エドワード・ゴーリーの挿絵。
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女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。
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