本書では西野さんの体験を中心に、どのような思いで新しい企画を次々と実現させてきたのか、ストレートに語られています。
2015年、渋谷のハロウィン後にゴミ拾いをするイベント「ゴーストバスターズ」は、ゴミが散乱することを逆手に取って呼びかけたイベントで、500人以上の参加者を集めます。
ゴミを出すな、と普通に警告してもゴミが散らかるという"向かい風"があるなら、その風をむりやり押し返すのではなくて利用してしまえばいい、という発想には驚きです。
また、ニューヨークで独演会を開くための資金調達の方法を思案しているときに、後輩芸人から「お笑いライブのDVDを会社が出してくれない」と相談を受けたそうです。
DVDは3000枚売れないと元が取れない、という会社の言い分に疑問を感じた西野さんは、DVDを製作している工場に直接尋ねたところ、費用の9割以上が販売委託料や流通にかかるコストであることを知ります。
それを聞いた西野さんはすぐに、流通に乗せない自分のライブDVDを作り、自らライブ後に手売りすることで、ニューヨーク公演の費用をまかなうことができたそうです。
このような、実体験に基づいた西野さんの鋭い考え方と行動力にはハッとさせられますね。
私が一番印象に残ったのが、2015年に青山で開かれた個展「おとぎ町ビエンナーレ」のエピソードです。
普通の個展ではなく、「町を作る」というテーマで作られた個展なのだそうです。
ライブステージやキッズスペース、カフェやビアガーデンがあり、アイリッシュ音楽が流れている…西野さんの感性を具体化した「町」を作り、そこに西野さんの作品が飾られます。
多様なイベントを開催する集客力、人気・信用をお金に変える資金調達力、ともに企画を盛り上げるセカンドクリエイターとの協力など、これまでのノウハウを総動員したという「おとぎ町ビエンナーレ」は、来場者数が1万人を超えたといいます。
本書を読み、私は次のことが大切だと感じました。
・既存の常識にとらわれない考え方
・周囲の批判に臆することなく、実現するまで行動する力
(西野さんは、逆に批判さえも、自分がやりたいことを世に認知させる有効な手立てだと考えているそうです。)
・信用を勝ち取る努力
私も起業した直後は集客と資金調達の基礎から学んできましたが、西野さんのように「信用」を高めて積み重ねていくことがいかに大切か、日々の仕事を通じて実感しています。
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